インタビュー

子宮内膜増殖症とは―複数の種類がありリスクも異なる

子宮内膜増殖症とは―複数の種類がありリスクも異なる
堤 治 先生

山王病院(東京都) 名誉病院長

堤 治 先生

この記事の最終更新は2014年12月14日です。

不正出血の原因検索をする場合や、子宮がん検診の結果説明において「子宮内膜増殖症」と診断されることがあります。子宮内膜増殖症には複数の種類があり、それぞれにリスクに違いがあるため、注意が必要です。この記事では、子宮内膜増殖症があると言われた方が知っておくべきことをまとめています。山王病院院長 堤治先生にうかがいました。

正常の場合、子宮内膜は月経周期に伴って分厚く増殖し、月経時にはがれ落ちて出血します。下図の月経周期の表をご参照ください。

月経周期の表

さらに詳しく述べると、月経周期前半にはエストロゲンが分泌され、子宮内膜が増殖して厚くなります。この時期は子宮内膜周期の増殖期とも呼ばれます。月経周期後半には卵巣からプロゲステロンが分泌され、子宮内膜も増殖は停止し、分泌期に入ります。プロゲステロンには子宮内膜の増殖を抑える働きがあります。その抑制がかからないとき、子宮内膜の増殖が続き、場合によっては子宮内膜増殖症と呼ばれる状態に陥るのです。この結果、症状としては、不正性器出血、無排卵周期症などが見られます。

内膜を構成する細胞が正常でない場合を、「細胞異型がある」といいます。子宮内膜増殖症では正常な細胞が増殖する場合も多いのですが、「異型がある」というケースはより悪い「前がん状態」ということができます。つまり、異型があるかないかで癌化のしやすさが大きく異なってくるのです。

●異型なしの場合:癌化のリスクは小さく、癌への進行度は1〜3%

●異型ありの場合:癌化のリスクは大きく、癌への進行度は17〜50%

子宮内膜増殖症の治療は、上記2つのどちらであるかによって選択肢が変わってきます。

子宮内膜症子宮内膜増殖症は名前が似ていますが、全く異なる病気です。

子宮内膜症は子宮内膜組織が子宮以外の部分で増殖する病気です。まれにがん化して卵巣がんが発生することがありますが、基本的には良性疾患です。これに対して、子宮内膜増殖症は子宮内膜が子宮の中で増殖し、肥厚するものです。前項で述べたように、異型が強い場合は子宮内膜がんに移行する可能性が高まります。

 

子宮内膜症について詳しくはこちら

子宮内膜増殖症の検査では、まずは超音波検査と細胞診、組織診などが行われます。ここで子宮内膜増殖症であるのかどうかを調べます。また、子宮内膜増殖症である場合、その状態を判断します。

子宮内膜が厚くなっていないかを確認する検査です。

 

経膣超音波検査について詳しくはこちら

・細胞診:子宮の内腔の表面を拭い異型があるのかどうかを見ます。

・組織診:子宮内膜の組織を直接採取して観察します。子宮内膜腺が過剰に増殖しているか、異型細胞があるかどうかを確認します。

以上のスクリーニング検査の結果異型がある場合は、次に述べる「内膜全面掻爬」という検査が必要となります。

 

細胞診について詳しくはこちら

組織診について詳しくはこちら

異型がある場合、子宮体がんのリスクが大きく上昇するため、念のために子宮の全体を調べることにより、子宮体がんの有無を確認します。

これらの検査は、治療とも密接に関係しています。

スクリーニング検査において異型があったかどうかで更なる検査の必要性や治療の方針が大きく変わってきます。また、妊娠を希望するのか、しないのかによっても治療は大きく変わります。具体的には、下図のようなフローで治療がなされます。

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