インタビュー

便秘症の治療について——生活習慣の改善が基本となる

便秘症の治療について——生活習慣の改善が基本となる
壬生 隆一 先生

みぶ博多駅前クリニック 院長

壬生 隆一 先生

この記事の最終更新は2016年04月14日です。

おなかの張りや不快感など、便秘が続くと気分まで憂鬱になってしまいます。便秘を改善するには、食生活やライフスタイルを見直すことも必要です。便秘の治療と予防について、みぶ博多駅前クリニックの壬生隆一先生にお話を伺いました。

便秘症治療の基本は、まず生活習慣を改善することから始まります。特に朝食をしっかりと摂ることは重要です。朝食を食べることで胃が拡張されることで、大腸の活動がさらに促進される(胃結腸反射といいます)からです。また、水分摂取や食物繊維の多い食事を心がけるなど食生活を見直すことも必要です。

食物繊維を多く含む食べ物

  • 豆類
  • いも類
  • 緑黄色野菜
  • 玄米
  • 海草類
  • 果物

乳酸菌を多く含む食べ物

  • ヨーグルト
  • みそ

食物繊維の摂取と便秘に関して行われた研究によると、水溶性食物繊維(保水性に富んだ食物繊維)を摂取したグループ群においては、摂取していないグループ群と比較して、86.5%において統計学的にも有意な便秘症状の改善があったと報告されています。この研究では、排便回数についても週に2.9回から3.8回へと改善されています。

また、大腸に沿って時計廻りに臍から「の」字状に円を描くように行う腹部マッサージも便秘改善に効果的です。腸のぜん動促進や便の移送時間の短縮、排便回数の増加や不快感の軽減効果があるといったことがこれまでの研究からもわかっています。そのほかにも便秘予防に向けた生活指導を行いますが、十分な睡眠をとること、運動不足にならないこと、便意を我慢しないこと、さらに排便時間は5分以内ですませるといったことに注意するよう促しています。

日本では刺激性下剤が使われることが多いのですが、過敏性腸症候群に刺激性下剤を使用すると腹痛や不快感などが続くため、使う際は慎重にならなければなりません。過敏性腸症候群であれば浸透圧性下剤や膨張性下剤、および消化管機能改善薬などを使います。また、便秘薬は長期間使うこともありますが、なかには習慣性がある薬剤もあるため用法用量は決められた量を守ることも必要です。大建中湯などの漢方薬を使うこともあります。

〈便秘症における薬物の種類〉

①浸透圧性下剤

  • 塩類下剤 酸化マグネシウム : 便を柔らかくする。長期使用に適している。
  • 糖類下剤 ラクツロース : 効果が遅い。

②刺激性下剤

  • アントラキノン系 センナ、ダイオウ、アロエ : 腹痛や残便感を生じる。耐性・習慣性がある。
  • ジフェニール系 ピコスルファートナトリウム : 習慣性は低い。
  • ジフェニール系 ビサコジル : 座薬
  • その他 グリセリン : 浣腸薬

③膨張性下剤

  • メチルセルロース(カルメロースナトリウムなど) : 排便促進効果は低いが安全性は高い。

便秘薬の新しい薬として、ルビプロストンも発売されています。腸液の分泌を増やすことで便に含まれる水分量を増して便の移送をスムーズにする薬剤です。ただし対象となる患者さんや有効性など、いまだ分かっていない部分もあるので使用に関しては注意が必要です。

モニターに肛門圧が写し出されるので、画面上の肛門圧を確認しながら、肛門の締め方を体感してもらい排便時には肛門をしめないで直腸と肛門の協調運動ができるようにフィードバックしてもらいます。直腸性の便秘のときに行う治療法です。

(※関連記事:山王病院 高尾良彦先生「便失禁の治療——多くの方が保存的治療によって改善される」

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