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アトピー性皮膚炎(こども)

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

アトピー性皮膚炎とは、強いかゆみを伴う皮膚の病気で、症状がよくなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。また、アレルギー性疾患を発症しやすい体質のことをアトピー素因と呼び、アトピー性皮膚炎の多くの患者さんがアトピー素因を持っています。

アトピー性皮膚炎に悩まれる患者さんの年齢層は小児から成人まで幅広く、小児の10%以上に発症するといわれています。アトピー性皮膚炎によるかゆみはとても強く、お子さんの成長や発達過程にも影響が及ぶこともあります。

また、特に乳幼児のアトピー性皮膚炎は、食物アレルギーと密接に関連していることもあり、皮膚だけに限った病気として捉えるのではなく、包括的な対策をとることが重要とされています。

原因

刺激物やアレルゲンが原因で皮膚に炎症が引き起こされると、ヒスタミンをはじめとしたかゆみ成分が大量に産生されるようになり、とても強いかゆみを伴うようになります。

正常な皮膚の大切な機能のひとつとして、外部からのさまざまな刺激から体を守るバリア機能を挙げることができます。

しかし、アトピー性皮膚炎を起こしている皮膚では、このバリア機能が低下しているため、外部からの刺激が皮膚のなかへ簡単に侵入して炎症を引き起こしやすい状況にあります。外部からの刺激の例として、下記のようなものが挙げられます。

  • 黄色ブドウ球菌をはじめとした細菌
  • 食物残渣(ざんさ)
  • ホコリなどのアレルゲン
  • 機械的刺激

など

特に乳幼児の皮膚はバリア機能が未熟であるため、アトピー性皮膚炎を起こしやすいといわれています。

症状

アトピー性皮膚炎では、慢性的に皮膚の炎症がよくなったり悪くなったりを繰り返し、とても強いかゆみが現れます。年齢に応じてかゆみが生じやすい部位には差があります。

たとえば、乳児であれば頭や顔に湿疹を認めることが多く、乳児脂漏性湿疹と混同されることがあります。しかし、乳児脂漏性湿疹であれば慢性的によくなったり悪くなったりを繰り返すことはなく、月齢とともに改善することが期待できます。

また、幼児であれば汗をかきやすいひじや膝関節の内側に湿疹が現れやすいです。慢性的な炎症が繰り返されていることを反映して、皮膚がごわごわと厚く硬くなってしまう(苔癬化(たいせんか))こともあります。

小児の場合

小児では、アトピー性皮膚炎により成長や発達に影響が出ることがあります。アトピー性皮膚炎によるかゆみは非常につらいものであり、夜間の睡眠が障害されることもしばしばあります。寝不足から日中の集中力が低下することもあります。

この場合には、幼稚園や小中学校といった集団生活の場における人間関係の構築に影響が出ることもあります。また、睡眠不足から学業に支障をきたすこともあります。

さらに、治療がうまくいっていないときには特に、バリア機能が障害された皮膚から栄養喪失が生じてしまい、年齢相応の成長を達成することができないこともあります。

乳幼児の場合

乳幼児においては、食物アレルギーと関連してアトピー性皮膚炎の皮膚症状が現れることがあります。アトピー性皮膚炎に対して治療をしているにもかかわらず皮膚症状がなかなか改善しないときには、背景に食物アレルギーが隠れていることを疑う必要があります。

アトピー性皮膚炎では、皮膚がかきむしられることで皮膚に細菌が付着しやすくなり、細菌感染を併発することもあります。

また、ヘルペスウイルスが増悪し、カポジ水痘様発疹症と呼ばれる重篤な皮膚感染症をきたすこともあります。さらに顔のかゆみが強いときには、慢性的に目に対して外的な刺激を加えることもあり、網膜剥離をきたすこともあります。

検査・診断

アトピー性皮膚炎の診断は、症状(かゆみ・特徴的な湿疹の分布・慢性的な増悪、寛解)、本人または家族のアトピー素因の有無をもとになされます。しかし、診断や重症度の参考になる検査がいくつかあります。

具体的には、末梢血好酸球数・血清総IgE値・LDH値・TARC値などがあります。これらは血液検査により測定されます。

短期的な重症度合いを評価する検査としては、LDH値・TARC値などが挙げられます。特にTARC値は重症度を敏感に反映する値として有用な検査です。

治療

治療目標は、皮膚の状態を正常に近づけ、かゆみのない生活を送ることができるようにすることです。

この目標を達成するためには、下記3つの治療が柱になります。

  • 皮膚の炎症を抑えるための薬物療法
  • 皮膚をよい状態に保つためのスキンケア
  • 皮膚の炎症を起こす悪化因子の排除

上記のどれかひとつが欠けてもアトピー性皮膚炎の治療はうまくいきません。

皮膚の炎症を抑えるための薬物療法

炎症を抑えるためには、ステロイド・免疫抑制剤の外用剤が主体になります。炎症の症状や湿疹が生じている部位に応じて、外用剤の種類や使用方法が検討されます。

皮膚をよい状態に保つためのスキンケア

アトピー性皮膚炎においては、皮膚のバリア機能が障害された状況にあります。そのため、障害された皮膚を守るために、保湿剤を使用します。保湿剤の使用により、かゆみを抑えることも期待できます。

皮膚の炎症を起こす悪化因子の排除

アトピー性皮膚炎の皮膚症状を増悪させる何かしらのきっかけが特定されることもあります。ダニやホコリ、汗などは代表的な増悪因子です。就寝前にしっかりとお風呂に入り、体の清潔を保つことが症状抑制に有効なことも多いです。

そのほか、心理的なストレス(仕事が忙しい、試験前で緊張しているなど)がアトピー性皮膚炎を増悪させることもあります。

このほか、乳幼児においては食事による影響も考えられます。適切な薬物療法やスキンケアを行っているにもかかわらず、アトピー性皮膚炎の症状が改善しない場合には、食事との関係性を疑うことも大切です。

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