さるもねらちょうえん

サルモネラ腸炎

最終更新日:
2021年01月20日
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2021/01/20
更新しました
2017/09/13
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概要

サルモネラ腸炎とは、サルモネラという細菌によって引き起こされる腸炎のことを指します。細菌が原因である食中毒の1つです。

現代の日本においてもサルモネラ菌による食中毒はまれではなく、食中毒発生件数に比し患者数がノロウイルス、カンピロバクター、ウエルシュ菌に次いで多く、一度発生すると多くの人が同時にサルモネラ腸炎を発症する集団食中毒になることがあります。

サルモネラ菌は、多くの細菌と同様に高気温・高湿度で活発になり夏に多い代表的な食中毒の原因菌といえます。

原因

サルモネラ菌に汚染された食品を経口摂取することで腸炎が発症します。

サルモネラ菌は河川・下水など自然界に広く生息している細菌で、家畜(トリ、ブタ、ウシなど)の腸管内にも存在しています。そのため、たとえば卵やウシのレバーなどの食物がサルモネラ菌に汚染されていることがあり、これらの食材を調理不十分な状態で摂食するとサルモネラ腸炎を発症します。

また、サルモネラ菌はペットとして飼育される犬や猫、カメなどの動物に生息することもあります。ペットとの濃厚接触によりサルモネラ菌が人の体内に入り込む可能性があります。このように、食品の摂取からおこる食中毒とは違った状況で、サルモネラ腸炎が発症するケースもあります。

症状

原因となるサルモネラ菌を体内に入ってから、通常8~48時間ほどの潜伏期間を経た後に症状が出現します。

サルモネラ菌はいわゆる胃腸炎症状を引き起こします。具体的には、吐き気や嘔吐など上部消化管症状からはじまり、時間経過とともに腹痛、下痢などの症状が現れ、時に血便が見られることもあります。下痢の程度は人によってさまざまですが、時に1週間以上継続することもあります。また、一日に10回以上の下痢が起こることもあり、サルモネラ腸炎の経過中に重い脱水状態に陥ることもあります。特に小児や高齢者では発熱やけいれん、意識障害などの症状を伴い重篤化するリスクが高いといえます。

なお、前述の胃腸炎とは異なり、サルモネラ菌感染症には菌が血液中に入り全身感染症をきたし、腸出血や腸穿孔(ちょうせんこう)(腸に穴が開く)を起こす腸チフスパラチフスという病態があります。

検査・診断

サルモネラ腸炎の診断は、便の中に含まれるサルモネラ菌を培養検査で特定することでなされます。また、炎症状態が酷く症状が重篤(非常に重い)な場合には、全身状態をより正確に確認することを目的として、血液検査や尿検査などを行います。

血液検査では、炎症反応(白血球やCRPなど)、電解質異常(ナトリウムやカリウムなど)、腎機能障害(クレアチニンなど)などの項目を確認します。

治療

発熱や胃腸炎症状に対しての対症療法(原因ではなく症状に対しての治療)が中心です。脱水にならないような対応を行い、発熱に対しては場合によって解熱剤の使用が検討されます。

脱水対策としては、水分や電解質、糖分をバランスよく摂取することが重要です。病気の発症初期は特に吐き気が強く、多くの水分や食事を摂取することが難しいことがあります。この状況であっても、経口補液を少量ずつであっても構わないので可能な量を摂取することが重要です。経口摂取がままならない場合や下痢が重篤な場合には、点滴で水分・電解質・糖分の補給が検討されます。

また、下痢症状が重篤化することもありますが、原則的に下痢止めの使用は行いません。下痢止めを使用するとサルモネラ菌の体外への排泄が遅れてしまい、サルモネラ腸炎が完治するまでの時間がより長くなることが懸念されるためです。

さらに、サルモネラ腸炎では抗菌薬の使用も検討されます。抗菌薬を使用するかどうかは、全身の状態や経過などによっても異なるため、医師の指示を守ることが大切です。

予防

サルモネラ腸炎を予防するためには、日常生活の中で注意を払うことも大切です。たとえば、サルモネラで汚染されている可能性がある食品に対しては、しっかりと加熱処理(中心部が75℃1分間以上)を行うことが大切です。生肉や卵を扱った手指や調理器具はその都度洗浄・消毒します。

日本では生卵を食べる食文化がありますが、この摂食方法はサルモネラ菌を体内に取り込むリスクを伴います。生食が可能な卵であることを確認のうえ、消費期限を遵守し卵の割り置きを絶対しないで食べることが大切です。

 

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