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ヘモクロマトーシス

最終更新日:
2024年05月01日
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2024/05/01
更新しました
2017/04/25
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医師の方へ

概要

ヘモクロマトーシスとは、鉄がスムーズに代謝されなくなることで臓器に鉄がたまり、さまざまな障害を引き起こす病気です。

酸素を全身に運搬するはたらきがあるなど、鉄は人間の生命を維持するために欠かせない元素ですが、体の中に存在し過ぎると臓器などに沈着し、心不全不整脈、肝不全などさまざまな臓器障害を引き起こします。そのため、健康な人の体内では鉄は適切に代謝され、その量が制御されています。

しかし、何らかの原因で鉄の量を調節するはたらきが崩れ、体の中の鉄が異常に増えて臓器に沈着することにより、心臓や肝臓などのさまざまな臓器に支障をきたします。鉄が沈着しても数十年単位で無症状であることが多く、ヘモクロマトーシスの発症年齢は40~60歳に多いといわれています。

原因

ヘモクロマトーシスには、生まれつき発症する“特発性ヘモクロマトーシス”と、生まれた後に発症する“二次性ヘモクロマトーシス”があります。日本では、輸血後鉄過剰症*を原因とした二次性ヘモクロマトーシスがほとんどを占めるといわれています。

*輸血後鉄過剰症:鉄過剰症のうち、輸血による鉄過剰と考えられるもの。肝臓や心臓、膵臓、下垂体などに障害が生じるといわれている。

特発性ヘモクロマトーシス

特発性ヘモクロマトーシスは、“HFE”や “トランスフェリン受容体2”、“フェロポルチン1”などの鉄代謝に関連する遺伝子に生まれつき異常があることによって生じます。HFE遺伝子の異常によるヘモクロマトーシスは、欧米の白人で多くみられます。そのほかの遺伝子異常によるヘモクロマトーシスは、欧米、日本ともに存在するものの、極めてまれです。

二次性ヘモクロマトーシス

二次性ヘモクロマトーシスとは、長期間、輸血が行われた場合、慢性の肝臓病やアルコールの過剰摂取などが原因となって引き起こされるものをいいます。もっとも多いのは、原因不明の貧血など病気の治療のために繰り返し大量の赤血球を輸血される場合です。大量にアルコールを摂取した場合も、鉄が過剰に摂取されて引き起こされます。また、貧血の治療として鉄剤の投与を漫然と繰り返した場合にも起こることがありますので、注意が必要です。

症状

ヘモクロマトーシスでは、主に糖尿病肝硬変、皮膚の色素沈着心不全がみられます。ほかにも甲状腺機能低下症や関節症、肝細胞がんなど、鉄が蓄積する臓器によってさまざまな症状が現れます。

そのほか、性機能の低下によって性欲減退、脱毛、無月経睾丸萎縮(こうがんいしゅく)などが現れる人もいます。

なお、臓器に鉄が沈着しはじめても、一般的には20~40年間は無症状で経過するといわれています。発症しても初期では慢性的な疲れやすさなど症状が曖昧で、病気であることに気付かなかったり、ほかの病気が疑われたりすることも少なくありません。

検査・診断

ヘモクロマトーシスが疑われる場合、血液検査、肝生検、画像検査を行い、遺伝性ヘモクロマトーシスが疑われる場合は遺伝子検査も検討されます。

血液検査

血液検査では、血清鉄・血清フェリチン・総鉄結合能・トランスフェリン飽和率の値が増加します。特に血清フェリチンの増加が顕著にみられます。

肝生検

肝細胞の一部を採取し、細胞内の鉄沈着の有無や鉄含有量の測定を行います。この数値によって確定診断となります。

画像検査

臓器への鉄沈着の様子を観察するために、CT検査・MRI検査を行うことがあります。

遺伝子検査

採取した血液を使い、HFE遺伝子などのヘモクロマトーシスの原因となる遺伝子の変異があるかどうか、DNAの塩基配列を解読する装置を使って解析します。

治療

臓器に沈着した鉄を取り除く治療と、鉄沈着による臓器障害の治療が行われます。

鉄を取り除く治療

鉄を取り除く治療には、体から大量の血液を抜く“瀉血(しゃけつ)”と、薬物を投与して鉄の排泄を促進する“薬物療法”があります。

瀉血で血を抜いた直後は軽い貧血になりますが、その分体が血を作ろうとすることで臓器に沈着していた鉄が血液に流れ込み、結果的に臓器への鉄沈着の軽減が期待できます。

薬物療法では鉄排泄促進薬である鉄キレート薬を投与し、尿や便を通じて鉄の排泄を促します。以前は皮下注射・静脈注射を行って尿中に鉄を排泄させる治療が一般的でしたが、近年は飲み薬が使用できるようになり、効率よく便に鉄を排泄させる治療が広まってきています。

臓器障害に対する治療

心不全などの臓器障害がある場合、それぞれの病状に合わせた治療を検討します。

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