かしじょうみゃくりゅう

下肢静脈瘤

最終更新日:
2020年02月14日
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2020/02/14
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概要

下肢静脈瘤とは、脚の表面近くを通っている静脈がこぶのようにボコボコと盛り上がる、あるいはクモの巣状または網目状に浮き上がる病気です。

静脈弁自体に問題がある場合のほか、深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)などの病気が原因となり発症することもあります。また、妊娠が原因になるケースもあります。基本的に自然に治ることはなく、時間の経過と共にゆっくりと進行します。

原因

脚の静脈血が心臓に戻る際には、血液の逆流を防止する静脈弁が重要な役割を果たします。しかし、静脈弁の機能が低下し逆流する血液が多くなると、血液が脚の下のほうにたまり血管が拡張します。このように拡張した血管が表面に太く浮き出たり、こぶのように盛り上がったりする状態が下肢静脈瘤です。
静脈弁自体に問題がある場合のほか、深部静脈血栓症妊娠、骨盤内腫瘍など静脈以外に原因があり静脈瘤ができる場合もあります。

症状

症状としては主に以下が挙げられます。

など

また、こぶのように浮き上がった見た目に精神的苦痛を感じる方もいます。しかし、下肢静脈瘤そのものによる痛みを感じることは少ないといわれています。

検査・診断

検査方法としては、以下が挙げられます。

ドプラー血流計

血管に超音波を当てて、血液の流速の変化を音としてあらわすことで、血管内で逆流が起きているかどうかを調べる検査です。探触子(プローブ)という器具を皮膚の上から当てて検査を行います。

カラードプラー検査

超音波を利用して血液の流れをカラー画像で表示するもので、血液の逆流が視覚的に分かります。ドプラー血流計と同様に探触子を皮膚の上から当てて検査をします。

血管の内径や、血流の流速を測定することもでき、ほとんどの下肢静脈瘤の診断はこの検査のみで可能です。

容積脈波検査

ドプラー血流計やカラードプラー検査が血液の逆流を調べるのに対し、容積脈波検査は、静脈の機能を詳しく調べる検査です。

脚にマンシェットという空気で膨らませるカバーを巻いてつま先立ち運動をします。運動による静脈の容積変化を調べることで、筋肉のポンプ機能や血液の逆流の有無が分かります。

短時間でできる簡易な検査ですが、下肢静脈瘤が発生している部位などを詳しく調べる目的には向いていません。

その他の検査

近年、超音波検査の補助的な検査として、CTやMRI検査が行われることがあります。

治療

さまざまな治療法がありますが、静脈瘤の状態にあわせて単独または、複数の治療法が用いられます。

保存的治療(圧迫療法)

弾性包帯や弾性ストッキングなど、医療用の弾性着衣で脚全体を圧迫することで静脈の還流を助け、血液の循環をスムーズにします。ただし根本的な原因である血管の治療ではなく、あくまでも予防や進行の防止、術後の再発防止を目的として使用します。

硬化療法

静脈の中に硬化剤を注射した後、皮膚の上から圧迫して血管の内側の壁をくっつけます。閉塞して固くなった血管はやがて組織に吸収されて消えます。

注射による施術のため治療時間も短時間で済み、手術のような傷を残さず体への負担が少ないというメリットがあります。ただし、治療後も硬化するまで2日間ほど圧迫を続ける必要があります。また、デメリットとして色素沈着が残る場合があります。

高位結紮(けっさつ)

鼠径部(そけいぶ)(脚のつけ根)にある深部静脈と表在静脈の合流部分を縛り、血管を部分的に切除して断端を結紮(けっさつ)(縛ること)し、血液の逆流を止める治療方法です。

ストリッピング手術

脚のつけ根と足首または膝直下の2か所を切開し、血管の中に通した手術用ワイヤーを用いて、弁不全を起こした静脈を引き抜く手術です。 血管内レーザー治療(後述)で対応できない大きな静脈瘤にも対応できる治療方法です。

しかし、術後の痛みや出血、神経障害などの合併症が起こるリスクがあります。腰椎(ようつい)麻酔や硬膜外(こうまくがい)麻酔、大腿神経ブロックなどの麻酔法を用いて行われます。

血管内焼灼術(ラジオ波、レーザー)

超音波で確認しながら血管の中にカテーテルを挿入し、高周波やレーザーによって静脈の内側を焼灼(しょうしゃく)(熱で焼くこと)して血管の内腔を閉鎖し、逆流を止める治療法です。局所麻酔や大腿神経ブロックなどの麻酔法を用いて行われます。

体外照射レーザー治療

下肢静脈瘤の一種で、青や赤の細かい血管拡張を網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤といいます。これらの静脈瘤の治療には、従来は硬化療法が行われてきましたが、赤い血管拡張に対しては近年、体外照射タイプが用いられるようになってきました。

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