せんてんせいむがんまぐろぶりんけっしょう

先天性無ガンマグロブリン血症

最終更新日:
2020年04月17日
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2020/04/17
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概要

先天性無ガンマグロブリン血症とは、体内に侵入した細菌などの病原体を攻撃する“免疫ガンマグロブリン”が生まれつき産生されない病気のことです。そのため、細菌感染を起こしやすく、母体から移行した免疫ガンマグロブリンが消失する生後6~12か月頃からかぜを引きやすい、悪化しやすいといったことが繰り返されるようになります。ときには肺炎髄膜炎敗血症などの重篤な感染症に進行することも珍しくなく、命に関わることも多々あります。また、気管支炎中耳炎を繰り返すことで、気管支拡張症による呼吸困難や難聴などの後遺症が残ることも多いとされています。

この病気は免疫グロブリンを産生するための遺伝子に異常が生じることが主な原因となって発症しますが、特に性染色体(性別を決める染色体)に存在する遺伝子の異常によるものが多く、男児に遺伝されやすいのも大きな特徴のひとつです。

治療方法は、不足した免疫ガンマグロブリンの補充がメインであり、正しい治療を続ければ健常者とほぼ変わらない生活が送れるとされています。しかし、診断が下される前の乳児期に予防接種を受けると重症な感染症を起こしやすいため、家族内で幼少期に感染症で亡くなった人がいる、この病気と診断された人がいる、といったケースでは注意が必要です。

原因

先天性無ガンマグロブリン血症は、細菌などの病原体を攻撃する免疫グロブリンが生まれつき正常に産生されないことによって発症します。

その主な原因は遺伝子の異常であり、特に免疫グロブリンの産生情報が含まれる遺伝子“BTK(ブルトン型チロキシナーゼ)”の異常によるものが多いとされています。このBTK遺伝子は性染色体の一種であるX染色体上に存在し、遺伝する性質を持ちます。基本的には性染色体が“XY型”の男児のみに発症するのが特徴です。

なお、このような原因で引き起こされる先天性無ガンマグロブリン血症は“X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)”と呼ばれ、日本での発症率は男児の10万人に1人とされています。

症状

先天性無ガンマグロブリン血症は、病原体を攻撃して体を守る免疫ガンマグロブリンが産生されないため、細菌感染を繰り返し重症化しやすいのが特徴です。

多くは母体から移行した免疫が消失する6~12か月頃からかぜを引きやすくなり、中耳炎副鼻腔炎気管支炎肺炎など重篤な感染症に移行していきます。なかには髄膜炎敗血症に進行し、命の危険にさらされることも少なくないとされています。

また、抗菌薬などによる治療によって感染症がその都度回復したとしても、中耳や気管支などに繰り返し炎症が生じることで、呼吸困難を引き起こす気管支拡張症難聴などの後遺症が残ることも少なくありません。

検査・診断

先天性無ガンマグロブリン血症が疑われるケース、近い親族がこの病気を発症しているようなケースでは第一に血液検査が行われ、血液中に含まれるIgG、IgA、IgMなどの免疫グロブリンの量が測定されます。これらの免疫グロブリンが血液中に存在しないことが分かると、先天性無ガンマグロブリン血症の可能性が高いと考えられます。

また、そのほかにも免疫反応に関わるT細胞やB細胞などの特殊な細胞の数が調べられたり、詳しい病気のタイプを調べるために染色体検査などが行われたりすることがあります。

治療

先天性無ガンマグロブリン血症の根本的な治療方法は今のところ存在せず、第一の治療は体内に存在しない免疫グロブリンの製剤を投与する“補充療法”です。

補充療法は感染症を発症しているときのみに行うのではなく、3~4週間ほどの間隔で定期的に投与を行い、免疫の状態を常に正常に保つことが必要となります。

また、気管支炎中耳炎を発症しやすいケースでは、上で述べたような後遺症を防ぐためにも予防的に抗菌薬の投与が行われることも少なくありません。

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