ふくびくうがん

副鼻腔がん

最終更新日:
2021年10月19日
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2021/10/19
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概要

副鼻腔がんとは、副鼻腔(上顎洞、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞、蝶形洞)に発症するがんのことを指します。そのうち上顎洞にもっとも多く発生します。副鼻腔がんの原因は正確には分かっていませんが、喫煙や職業関連の化学物質(木材やニッケル、クロニウム、ホルムアルデヒドなど)が危険因子の1つといわれています。

副鼻腔がんの頻度は高くありませんが、病気を発症することで重篤な病状がもたらされる可能性が生じます。具体的な症状としては、鼻血や鼻水などが生じる可能性があります。また、副鼻腔が周囲に目や顔面、口腔、脳と隣接する関係から、治療後さまざまな生活の質や審美性への影響が問題となる場面もあります。

副鼻腔がんの治療は、手術や放射線療法、化学療法を組み合わせて行われます。がんの完治を目指すことはもちろんのこと、機能喪失を最低限にする、美容的な障害を最小限にするなどの視点も加味したうえで治療計画を立てることが求められます。

多方面にわたる知識が要求される副鼻腔がんの治療に際しては、高い専門性が要求されます。そのため、専門家の指示に従ったうえで治療に向き合うことが重要です。

原因

副鼻腔がんは、病気の発生に際してはっきりとした危険因子はまだ明らかになっていませんが、いくつかの危険因子が可能性としてあることが知られています。

たとえば、習慣的な喫煙は、がんの発生リスクを高めると想定されています。たばこの煙の中には数多くの発がん性物質が含まれており、副鼻腔がこうした物質と接することで副鼻腔がんが引き起こされる可能性があります。ほかには、いくつかの化学物質や粉塵(ふんじん)などの影響で引き起こされることもあります。

副鼻腔がんの発症リスクを高める物質に対して、職業柄接する機会が多い人もいらっしゃいます。たとえば、木材やニッケル、クロニウム、ホルムアルデヒドなどを使用する機会が多い状況では、発症リスクが高まります。また、一部の副鼻腔がんではヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルスの感染が発がんに関与することがあります。

症状

副鼻腔のうち、がんが発生する頻度がもっとも高い亜部位(さらに細かな部位)は上顎洞です。ただし、進行した状態で発見される場合がほとんどで、発見時に上顎洞や篩骨洞など複数の亜部位にまたがるものも多いです。

症状としては、がんが広がった部位に応じた症状が引き起こされます。鼻血や鼻水、鼻詰まりなどを例に挙げることができますが、がん以外の病気でもしばしば起こる一般的な症状です。

一方で副鼻腔の周辺には、目や歯などの臓器が多く位置しています。そのため、がんが進行し、その広がる方向によっては、周辺臓器に関連した症状が引き起こされることもあります。

たとえば、目に影響が及ぶと、目が飛び出る、目が思ったように動かない、ものが二重に見えるなどの症状が生じる可能性があります。がんが前方向に広がると、頬が腫れる、顔が痛むなどの症状がみられることがあります。他人から見てもその病変が見えるため、美容的な意味合いで大きな障害がもたらされることもあります。口側へ進むと、歯の痛み、歯肉の腫れ、出血などがみられます。頭側へ進むと、嗅覚の低下、頭痛などの症状が生じる可能性があります。これらの症状はがんを強く疑う症状です。

検査・診断

副鼻腔がんが生じる部位は、顔の骨の中に存在します。初期の場合には外表から見て病変を観察することができないため、各種検査を行うことが必要です。

具体的には、病変が副鼻腔に存在することを確認するために、CT検査、MRI検査、PET検査などの画像検査が行われます。こうした画像検査は、副鼻腔そのもののみを評価するだけではなく、がん細胞が体の中のどこまで広がっているかを確認するためにも行われます。

また、副鼻腔を含めて鼻や口の奥の状況を評価するために、ファイバースコープによる観察も行います。この検査を通して病変を確認し、病変から組織採取を行います。こうして得られた病変を顕微鏡で観察し、がん細胞の存在を確認します。がんの組織型の種類はほかの頭頸部がんと同様に扁平上皮がんがもっとも多いですが、副鼻腔がんはそのほかの組織型を現すことも多々あり、この顕微鏡検査での組織型確定は治療方針を決めるうえでも必須です。

治療

副鼻腔がんが発生する部位は、眼球や口、脳などのさまざまな器官が密接に存在する部位です。がんの存在そのものはもちろん、治療によってこれら器官の機能が喪失せざるを得ない可能性があります。そのため、副鼻腔がんの治療を行う際には、がんを根治させるという視点を持つことはもちろん大事ですが、それと同時に周囲の器官における機能をいかに温存するか、審美的な面が著しく損なわれないようにできるかということも考慮に入れながら治療方針を決定していきます。

手術、放射線治療、化学療法などを用いて治療が行われます。どのような治療を行うかは患者によって大きく異なり、年齢や全身状態、がんの広がり具合、病理組織型などを総合的に加味したうえで決定されます。一部の場合、カテーテルを用いた超選択的動脈注射による化学療法を併用した放射線治療を行い、良好な成績が得られています。一方で、拡大切除が避けられない場合は欠損部に遊離皮弁(ご自身の他部位からの組織を移植する)ことが行われます。

副鼻腔がんは、手術や放射線療法、化学療法といった治療を組み合わせて治療が行われます。副鼻腔がんが生じる部位は、ものを見ることや食事を食べること、においを嗅ぐことなど、生命活動に基本的な動作に重要な役割を担っています。進展範囲によっては視力、嗅覚なども犠牲にせざるを得ない場合があります。副鼻腔がんの治療に際しては、がんの根絶を目指すことはもちろんのこと、こうした機能を可能な限り残すことも大切です。機能を改善させるために、リハビリテーションが必要な場合もあります。

副鼻腔がんの治療に際しては、上記に記載したような特徴があるため、高い専門性が要求されます。また、副鼻腔がんでは、初期の段階では症状が出現しにくく、受診のタイミングが遅れる可能性もあります。そのため、疑わしい症状がある際には症状を放置するのではなく、副鼻腔がんの可能性も加味したうえで、専門の医療機関を受診することがとても大切です。

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