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外胚葉形成異常

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概要

外胚葉異形成症とは、皮膚や歯、毛髪など「外胚葉」と呼ばれる組織に由来する部位に異常を来たしている疾患を総括した病名です。代表的な疾患としては、「無汗性外胚葉異形成症」があります。その名前から推察されるように、汗が少ない、という特徴を有します。また、皮膚や歯の異常、汗の低下などの症状に加えて、重篤な感染症を合併することもあり、「免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症(Anhidrotic ectodermal dysplasia with immunodeficiency; EDA-ID)」と呼びます。

外胚葉異形成症では170種類以上の病気が存在しており、原因となる遺伝子異常も数多く存在します。特に免疫不全を併発する場合においては、感染症のコントロールが重要であり、造血幹細胞移植療法が選択されることもあります。

原因

外胚葉異形成症とは、皮膚や歯、毛髪など「外胚葉」と呼ばれる組織に由来する部位に異常を来たしている疾患を総括した病名です。精子と卵子が受精した受精卵は、しばらくすると、外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる三つの部分に分かれます。

外胚葉からは、皮膚、汗腺(汗を作ります)、皮脂腺(皮膚の脂を分泌します)、毛、歯、水晶体、内耳などが形成されることになります。外胚葉がこうした各種部位に発生する段階には数多くの遺伝子が関与していますが、遺伝子異常が存在すると発生段階に異常が生じ、外胚葉異形成症が発症することになります。

外胚葉異形成症のなかには、免疫機能に障害を受けるものもあります。現在までにNEMO(IKBKG)遺伝子とNFKBIA 遺伝子の異常が、免疫不全症を引き起こすことが報告されています。いずれの遺伝子も「NFκβ」と呼ばれるタンパク質を産生するのに重要なはたらきをしています。NFκβはDNAに結合することで、さまざまな種類の遺伝子のはたらきを調節をしており、特に免疫細胞に関連した炎症反応と深く関係しています。NEMO(IKBKG)遺伝子もしくはNFKBIA 遺伝子に異常が存在すると、NFκβに異常が生じることになり免疫不全が生じます。

遺伝子異常の生じ方はさまざまであり、障害を受ける部位もさまざまです。そのため、外胚葉異形成症では170種類以上の病気が存在することが知られています。免疫不全を伴う外胚葉形成異常症では、NEMO(IKBKG)遺伝子もしくはNFKBIA 遺伝子に異常が生じることになります。前者の遺伝子異常に関連した遺伝様式は「X連鎖性劣性遺伝」、後者に関連しては「常染色体優性遺伝」とそれぞれ呼ばれています。X連鎖性劣性遺伝形式では基本的に病気を発症するのは男性であり、女性が異常な遺伝子を有する場合は病気の保因者になります。常染色体優性遺伝形式では、両親いずれかが病気を有していると、次の世代に病気が理論上50%の確率で伝播することになります。

症状

外胚葉異形成症では、外胚葉系に由来する組織に異常を認めるようになり、具体的には髪の毛、爪、歯、汗、皮膚などを例に挙げることができます。髪の毛は薄く粗になりますし、色素も薄くなります。爪は形が曲がったり、そもそも爪が存在しなかったりすることがあります。歯は最大で32本まで形成されるのが通常ですが、歯の本数が足りていなかったり形が変形したりすることがあります。汗をかくことができなくなることもあり、体内に熱がこもることにつながります。皮膚は発疹が生じやすくなり、日焼けや感染症に弱くなります。

その他の部位にも障害が生じることがあります。たとえば、耳垢が溜まりやすくなり聴力障害を発症することがありますし、涙が少なくなりドライアイを呈することもあります。 外胚葉異形成症ではさらに口蓋裂、免疫不全症、成長障害などの障害をみることもあります。特に免疫不全症は重篤になることがあり、死につながることもあります。

検査・診断

外胚葉異形成症の診断は、身体所見から得られる症状をもとになされます。外胚葉異形成症には、170種類以上のものが知られており、どの組織が障害を受けているかに応じて最終診断が下されることになります。また、外胚葉異形成症は遺伝子異常をもとに発症する病気です。したがって、原因となる疾患が疑われた際には遺伝子検査を行うことになります。

治療

治療に関しては、最終診断がついていない場合でも行うことが可能であり、対症療法が中心になります。汗をかきにくい症状を伴う場合には、熱を体内に溜め込むリスクが高いことになりますので、熱い環境を避けるような生活スタイルを構築する必要があります。歯に異常を認める場合であれば、歯科矯正や入れ歯インプラントなどの歯科治療を行うことがあります。ドライアイを呈するようであれば、目薬を使用することになります。

外胚葉異形成症には免疫不全症を伴うこともあります。代表的には、免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症を例に挙げることができます。細菌感染やウイルス感染を繰り返すことがありますし、通常では問題とならない病原体に対して日和見感染症を呈することもあります(たとえばニューモシスチス肺炎)。その都度、抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬などを選択することになります。感染症が重篤化する場合には、造血幹細胞移植が行われることもあります。

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