しつどくしょう

失読症

最終更新日:
2022年11月14日
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2022/11/14
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概要

失読症とは、会話をすることは普通にできるのに対し、文字を正しく読むことだけができない状態のことです。

これは脳の文字の読みに関わる部位の損傷により生じます。脳梗塞(のうこうそく)脳出血、神経変性疾患などの病気、交通事故や転倒などの事故により脳が損傷し、それに伴い言語や記憶、空間認知などの機能が障害されるものを高次脳機能障害といいますが、失読症はその一部に含まれます。

失読症の治療として主にリハビリテーションが行われます。慎重に経過を見ながら、症状の変化によって対応を変えていくことが大切です。

種類

失読症は大きく分けて2つの種類に分類されます。

症状が文字を読むことができなくなったことだけに限定される場合は“純粋失読”と呼びます。一方、文字が読めない以外に書くこともできなくなった場合は“失読失書”と呼びます。

原因

失読症は脳の文字の読みに関わる部位の損傷により生じます。この損傷の原因には脳血管障害脳梗塞脳出血)、神経変性疾患、交通事故や転倒による頭部外傷などが挙げられます。

文字の読みに関わる主な部位は後頭葉の内側にある“一次視覚野“と左右の大脳半球をつなぐ神経線維の束である脳梁(のうりょう)の後半部分、“脳梁膨大部”です。一次視覚野は目から入ってきた視覚情報を大脳で最初に処理する場所です。脳梁膨大部では視覚情報を反対側の大脳半球に伝える役割を担います。左後頭葉の内側と脳梁膨大部が同時に障害されると、残存している右後頭葉内側からの文字の視覚情報が脳梁膨大部を経由して左大脳半球に存在する言語野に伝えることができなくなり、その結果文字として認識できなくなるのです。

また、紡錘状回(ぼうすいじょうかい)、側頭葉後下部などが損傷した場合も失読症になることがあります。

症状

失読症では話し言葉の理解、復唱、書き取り、自発書字、自発話などにはほとんど異常がないにもかかわらず、文字を正しく読むことができず、他人が書いた文字はもちろんのこと、自分で書いた文字も、しばらくすると読むことができません。日本語には漢字と仮名(ひらがな・カタカナ)がありますが、漢字はある程度読めても仮名が読めない場合もあれば、仮名は読めても漢字が読めない場合もあります。また、文字を指でなぞることで読める場合など、失読のパターンはさまざまです。

軽症の場合、テレビのテロップを追うことができず、内容を理解できないと訴える人もいます。また、1文字ずつたどり読み(逐字読み)すると意味が分かりますが、文字数が多くなると読む時間が長くなって間違いが増えていきます。多くの場合漢字や仮名の失読はあっても、不思議なことにアラビア数字(0・1・2・3など)だけは読むことができます。障害される部位(左角回など)によっては、文字が読めないだけでなく書くこともできなくなる場合もあります(失読失書)。

そのほか、視野の右側半分が見えなくなる(右の同名半盲)、色を呈示してもその色の名前を答えられない(色名呼称障害)、絵の細部は理解できるのに、全体像を把握できない(同時失認)などの症状を伴うこともあります。

検査・診断

失読症では、医師が問診により症状や生活上の問題を確認します。さらにほかの異常がないかを確認するため、詳細な神経学的診察を行います。そのうえで、頭部CT検査や頭部MRI検査を行い、文字の読みに関わる脳の部位に損傷が起こっていないかを調べます。続けて言語や思考、知能などに関わる障害を詳細に調べて数値化する神経心理学的検査が行われます。

治療

失読症の治療はリハビリテーションが中心です。全ての患者に効果が現れるとは限りませんが、言語訓練を行うことで脳機能が回復し症状が改善する場合があります。

リハビリでは主に読む訓練が行われ、具体的な方法については個人の症状に合わせて言語や発声などに関するリハビリの専門家である言語聴覚士により決められます。

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