じょせいがただつもうしょう

女性型脱毛症

同義語
FAGA,FPHL
最終更新日:
2020年10月26日
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2020/10/26
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概要

女性型脱毛症とは、男性の男性型脱毛症に対する女性に発症する薄毛のことですが、前頭部や頭頂部に特に薄毛がみられる男性型脱毛症とは異なり、頭頂部を中心に比較的広い範囲にハリとコシが失われた細く柔らかい髪の毛が多く生えるようになることで、全体的な髪の毛のボリュームが少なくなるパターンの脱毛です。

女性型脱毛症は“女性に発症する男性型脱毛症”と考えられていたこともありましたが、男性ホルモンの影響だけでは病態が理解できないことがあり、現在では男性型脱毛症とは発症機序などが異なる薄毛と考えられています。また、女性の薄毛や脱毛は橋本病などの自己免疫疾患、過度なダイエットや鉄欠乏、亜鉛欠乏など栄養バランスの崩れによって引き起こされる休止期脱毛症との鑑別を要するケースも多いため慎重な診断が必要となります。

原因

現在のところ、女性型脱毛症の明確な発症メカニズムは解明されていません。

更年期前に発症した女性型脱毛症は男性ホルモンによる影響が否定できず、男性ホルモンが過剰に産生される多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)では女性型脱毛症が発症することがあり、若年で進行した女性型脱毛症の人についてはホルモン異常を念頭におく必要があります。一方、更年期後の発症例では女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量の低下を含めて、さまざまな要因が発症に関与していると思われます。

エストロゲンには卵子の成熟や子宮内膜の増殖といった性機能に関わる作用以外にも全身にさまざまな作用をもたらします。ハリやコシのある健康的な髪の毛の生育にも関与していると考えられており、エストロゲンの分泌が低下すると細く柔らかい髪の毛が目立つようになると考えられているのです。

症状

女性型脱毛症の特徴は、細く柔らかい髪の毛が頭頂部を中心に多く見られるようになることです。髪の毛の全体的なボリュームは少なくなって頭頂部の地肌が見えやすくなりますが、男性型脱毛症とは異なり、髪の毛が完全に抜け落ちることはまずありません。

また、女性型脱毛症は年齢を重ねるごとに症状が進行していくことも特徴の1つです。

検査・診断

女性は、橋本病全身性エリテマトーデスなど自己免疫疾患による薄毛、高熱や急激なダイエット、出産、多量出血などによる急性休止期脱毛症、慢性的な鉄欠乏や亜鉛欠乏、薬剤、長期の全身状態の悪化などによる慢性休止期脱毛症など、女性型脱毛症以外にもさまざまな原因で薄毛や脱毛が引き起こされます。

女性型脱毛症の診断自体には特別な検査は必要ありませんが、なかには思わぬ病気が背景にあるケースもありますので、これらの病気との鑑別を下すためにも次のような検査を行う場合があります。

抜毛試験

数十本の毛髪を軽く引っ張り、抜けてくる髪の毛の本数を確認します。正しくは5〜6日シャンプーをしない状態で行うことがすすめられます。

女性型脱毛症では引っ張った髪の毛の本数の1割以下の本数にとどまりますが、1割以上の毛髪が抜けてくる場合には休止期脱毛症を鑑別する必要があります。

ダーモスコピー検査

頭皮や毛髪の太さなどを観察します。女性型脱毛症では毛の太さにばらつきが目立ちます。

また、軟毛が2割を超える場合には女性型脱毛症が疑われます。毛孔周囲に淡い色素沈着を認めることがあります。

血液検査

女性ホルモンのエストロゲンやプロラクチン、男性ホルモンであるテストステロン、甲状腺ホルモン、自己免疫疾患に関連した自己抗体の有無、血清鉄やフェリチン、ヘモグロビンといった貧血の検査、血清鉄や血清亜鉛などを評価する目的で血液検査を行うことがあります。

治療

現在、女性型脱毛症には次のような治療が行われています。治療効果は個人差があるため、複数の治療法を併用するケースも少なくありません。

薬物療法

女性型脱毛症では、OTC医薬品として1%ミノキシジルの外用が日本皮膚科学会のガイドラインで強く推奨されています。ミノキシジルは髪の毛のもととなる毛根の毛母細胞にはたらきかけて細胞の増殖を促進させて成長期を維持する作用と頭皮の血管を拡げて血行を改善する作用があるとされています。購入には薬剤師による確認が必要です。

5%カルプロニウム塩化物外用薬は病院でも処方可能な医薬品で、アセチルコリン様の作用により自律神経に作用して血行を改善することが期待されます。

また、アデノシンはミノキシジルに類似した作用機序をもち、男性に対する試験では有効性が確認されています。女性も医薬部外品としてドラッグストアなどで購入が可能です。

LED・低出力レーザー照射

頭皮にLEDや低出力レーザーを照射して頭皮を刺激し、健康的な髪の毛の生育を促す治療法です。治療は一度だけでなく、定期的に継続する必要があるため通院にかかる手間はありますが、さまざまな実験で発毛効果が証明されています。

自毛植毛

薬物療法など、現時点で有効性が証明されている治療を行っても十分な効果が得られず、さらに見た目が気になって日常生活に支障をきたしているようなケースでは、植毛によって髪の毛にボリュームを出す外科的治療が行われることがあります。

ウイッグ・かつら

ウイッグを使用することも選択肢の1つです。ウイッグを使用することで精神的な不安が取り除かれ、生活の質が上がることが証明されています。

予防

女性型脱毛症は明確な発症メカニズムが解明されていないため、確立した予防方法はないのが現状です。

しかし、発症には女性ホルモンバランスの乱れが関与しているとの説もあるため、ストレスや疲れなどをためず、規則正しい生活を送ってホルモンバランスの乱れを防ぐことが発症予防につながると考えられます。また、たんぱく質や亜鉛など髪の毛のもととなる栄養素をバランスよく摂る食生活を心がけることも大切です。

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