きはつげっけい

希発月経

同義語
稀発月経
最終更新日:
2023年08月29日
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2023/08/29
更新しました
2023/08/22
更新しました
2017/04/25
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概要

希発月経とは、月経周期が39日以上3か月以内と、正常の月経周期よりも長い周期で起こる月経不順の1つです。卵胞の成熟の遅れや、月経の出血はあるものの排卵が伴わない“無排卵”などが原因といわれており、体質やホルモンバランスの異常のほか、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)PCOS)などの病気などが関係しています。

希発月経のうち、51日以上月経のない人の30%が無排卵だといわれています。排卵を伴わない希発月経は、不妊や3か月以上月経がない続発性無月経につながる可能性もあります。

原因

希発月経の原因は、ホルモンバランスの乱れや病気による排卵障害です。

ホルモンバランスの乱れ

月経周期は、複雑なホルモンの作用によって調節されています。しかし、卵胞の成熟にかかわるホルモンを分泌する視床下部は無理なダイエットやストレス、環境の変化などの影響を受けやすく、こうした要因によってホルモンバランスが乱れる恐れがあります。その結果卵胞の発育に影響が現れ、排卵が遅れて月経周期が乱れることがあります。

病気

排卵障害を招く病気には多嚢胞性卵巣症候群甲状腺疾患高プロラクチン血症卵巣機能不全などが挙げられます。

多嚢胞性卵巣症候群とは多数の小さな卵胞が卵巣に存在し、卵胞が十分に発育しない病気で、20歳代~45歳の女性の5~8%にみられます。甲状腺は女性ホルモンの分泌に関係しているため、甲状腺に異常が生じると月経異常につながる可能性があります。

プロラクチンは母乳分泌に関わるホルモンで、数値が高いと卵胞発育を抑制し、無排卵となります。また卵巣が正常にはたらかなくなる(卵巣に卵子が極端に少ない)と排卵が乱れます。

そのほかの原因の場合

上記のほか、以下の要因も排卵障害の原因となります。

  • 極端な体重の増減……視床下部ホルモンの分泌障害や、末梢でのエストロゲン上昇による下垂体ホルモン分泌異常を伴うため
  • 抗うつ薬といった精神安定薬の服用……高プロラクチン血症につながる可能性があるため
  • がん薬による化学療法……卵巣機能不全を生じる可能性があるため

など

症状

正常な月経周期は25~38日周期ですが、希発月経は39日以上3か月以内と月経周期に遅れがみられます。基礎体温に変化が生じない場合は無排卵周期症である可能性があり、その場合は妊娠を希望していてもなかなか妊娠に至らないケースもあります。

多嚢胞性卵巣症候群が原因の場合は、初経から月経不順であるケースが多いほか、男性ホルモンの分泌が過剰なため、多毛やにきびなどがみられることもあります。また肥満は症状を悪化させる恐れがあります。

検査・診断

問診や血液検査のほか、必要に応じて超音波検査などが行われます。

問診では、初経以降の月経傾向や直近数周期の月経周期、基礎体温、生活習慣などを聴取します。

血液検査では、ホルモンの数値に異常がないかなどを確認します。卵胞刺激ホルモンであるFSHのほか、性腺刺激ホルモンのLHや乳汁分泌ホルモンのプロラクチンの値を測定します。また、どのようなタイプの月経不順を生じているのか調べるため、黄体ホルモンを投与し、性器から出血が誘発されるかを確認します。

多嚢胞性卵巣症候群の場合は卵巣内に未発達の卵胞が多数存在するため、この病気である疑いがある場合は超音波検査で確認します。

治療

希発月経の治療は原因によって異なるほか、妊娠を希望するか否かでも異なります。

希発月経でも基礎体温が低温期と高温期の二相性を示している場合は排卵があるといえるため、必ずしも治療が必要となるわけではありません。思春期では排卵周期が定まっていない可能性があるため、成長を待って治療を検討する場合もあります。

妊娠を希望していない場合は女性ホルモンの分泌有無によって女性ホルモンと黄体ホルモンの周期投与法(カウフマン療法)や黄体ホルモンの周期的投与法(ホルムストローム療法)、低用量ピルの内服を行って経過観察し、妊娠を希望する場合は排卵誘発薬を使用します。また、40歳代前半の場合で更年期障害のような症状がみられる場合には、漢方薬による治療のほか、血栓リスクに注意しながら低用量ピルを用いることもあります。

多嚢胞性卵巣症候群で肥満を伴う場合は改善するために減量を行います。このほか、ホルムストローム療法、低用量ピルや漢方薬の処方をはじめ、卵巣に複数の(あな)を開けて排卵を促す(ふく)(くう)(きょう)()手術(しゅじゅつ)(ドリリング)が行われる場合もあります。

そのほか、病気に応じて治療を行います。高プロラクチン血症の場合はドーパミン作動薬が有効で、薬剤性の場合は薬剤の変更の考慮などを行います。

予防

希発月経は、無理なダイエットやストレスによって生じる可能性があります。そのため、過度な食事制限などは控え、規則正しい食生活を心がけましょう。

ストレスの対策としては、趣味や生きがい、相談できる人をもつことが重要です。また、専門家のカウンセリングを受けることで不安の軽減にもつながります。

基礎体温をつけておくと月経周期の把握に役立ちます。3か月ほど付けても体温が上がらず、低体温が続く一相性を示す場合は無排卵の可能性があるため、基礎体温の異常に気付いたら医療機関を受診しましょう。さまざまな病気が隠れていることがありますし、無排卵が続くことは若年性の子宮体がんのリスクとなります。

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