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まんせいこつずいせいはっけつびょう

慢性骨髄性白血病

最終更新日:
2024年04月18日
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2024/04/18
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2020/03/27
更新しました。
2017/04/25
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概要

慢性骨髄性白血病とは、白血球、赤血球、血小板など血液中の細胞のもととなる“造血幹細胞”に異常が生じ、がん化した異常な血液の細胞が増殖する病気です。

白血病の中では非常に進行が遅く、時間をかけてさまざまな症状が現れるため“慢性”とされています。発症初期の段階ではほとんど症状が現れないため、血液検査で白血球数の異常な上昇などが確認され、偶然発見されるケースが多いとされています。次第にがん化した細胞が増加すると、数か月から数年にわたって疲労感や体重減少などの症状が進行し、貧血や出血しやすい、風邪を引きやすくなるなどの症状が現れるようになります。症状は比較的落ち着いていることが多いものの、なかには症状が急激に悪化する“急性転化”を生じることもあり、重篤な感染症や出血などが起こり命に関わるケースも少なくありません。

慢性骨髄性白血病のほとんどは染色体の異常によって引き起こされると考えられており、50代以降の男性に多く発症し、成人の白血病の約20%を占めるとされています。

原因

慢性骨髄性白血病の原因は、23対46本存在する染色体の9番と22番の一部が入れ替わって“フィラデルフィア染色体”が形成されるためであると考えられています。フィラデルフィア染色体には“BCR-ABL遺伝子”があり、これが造血幹細胞にはたらきかけることで異常な血液細胞を増殖させ、慢性骨髄性白血病を発症します。

なお、慢性骨髄性白血病は染色体上の遺伝子の異常によって引き起こされますが、これは突然変異によるもので親から子へ受け継がれることはありません。

症状

発症したばかりの頃はがん化した白血球が異常増殖することが多いものの、正常の白血球とほぼ同じようなはたらきを持つため自覚症状はほとんどありません。

しかし、がん化した白血球がさらに増殖することで、疲労感や無気力、食欲低下、体重減少、夜間の寝汗などの症状が現れることがあります。また、古くなった血液の細胞を処理する脾臓が腫れやすくなるため、左のみぞおち周辺の痛みや膨満感を覚えることもあります。さらに、全身に酸素を運搬する赤血球、出血を止めるための血小板もがん化して正常に機能しなくなるため、貧血あざができやすいといった症状が現れるようになります。

慢性骨髄性白血病は数か月~数年かけてこれらの症状がゆっくり現れますが、がん化した血液細胞が急激に増え、重篤な状態になる“急性転化”と呼ばれる状態になることもあります。この状態になると治療を行っても十分な効果が得られにくく、感染や出血を起こしやすくなる“急性白血病”の特徴的な症状が現れるようになり、命に関わる危険が高いとされています。

このような経過をたどることから、慢性骨髄性白血病は“慢性期”、“移行期”、“急性期”と三つの段階に分類されます。無治療の場合は数年で命に関わる状態となるため、移行期や急性期に進行する前に適切な治療を開始することが望まれます。

検査・診断

慢性骨髄性白血病が疑われた場合は次のような検査が行われます。

血液検査

血液中の赤血球、白血球、血小板の数を調べる検査が行われます。特に白血球には成熟段階によっていくつかの種類があり、どの成熟段階のものが多くなっているのか詳しい検査が実施されます。“慢性期”には全ての成熟段階の白血球が満遍なく増殖しますが、“移行期”や“急性期”には未熟な白血球が増えるため、診断だけでなく病気の経過観察にも有用な検査といえます。

骨髄検査

骨盤の骨に針を刺して骨髄液を採取し、顕微鏡などで詳しく観察する検査です。骨髄の状態を観察することで重症度などを評価することができます。

遺伝子検査・染色体検査

慢性骨髄性白血病はフィラデルフィア染色体が原因で生じるため、確定診断のためにはその存在を証明する検査が必要となります。

具体的には、採取した末梢血あるいは骨髄血を用いてBCR-ABL遺伝子の量を測定する検査、染色体の異常を調べる検査が行われます。フィラデルフィア染色体以外の異常もある場合(付加的染色体といいます)は、一般的に予後不良とされています。

治療

慢性骨髄性白血病の治療では、第一選択としてBCR-ABL遺伝子のはたらきを抑える分子標的治療薬であるBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬が用いられます。

現在日本では、6種類のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、アシミニブ)が利用できますが、一次治療ではそのうち4種類(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)の使用が可能です(2024年4月現在)。しかし、副作用が強いときや急性転化などで十分な治療効果が得られないときなどは、まだ使用していない他のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬に変更したり、造血幹細胞移植を行ったりすることがあります。また、全身状態などから造血幹細胞移植が難しいと判断された場合は、白血球数をコントロールするために抗がん薬を併用することもあります。

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