しゅしくっきんけんそんしょう

手指屈筋腱損傷

最終更新日:
2024年06月07日
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2024/06/07
更新しました
2017/04/25
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概要

手指屈筋腱損傷とは、前腕(肘から手首まで)にある筋肉(屈筋)と手指をつなぐ(けん)(屈筋腱)が断裂し、指が曲がらなくなる状態です。

屈筋腱には、指を曲げるための指屈筋腱や手首を曲げるための橈側手根屈筋腱(とうそくしゅこんくっきんけん)尺側手根屈筋腱(しゃくそくしゅこんくっけんきん)長掌筋腱(ちょうしょうきんけん)があります。また、親指(母指)にはIP関節(指節間関節)を曲げるための長母指屈筋腱、人差し指(示指)から小指にはDIP関節(第一指節間関節)を曲げるための深指屈筋腱とPIP関節(第二指節間関節)を曲げるための浅指屈筋腱があります。

これら屈筋腱は前腕の筋肉から指先まで延びて骨に付いており、指を曲げた際に腱が浮き上がらないよう、腱鞘(けんしょう)と呼ばれるトンネルのような組織の中に存在しています。

手指屈筋腱損傷は、腱がガラスや刃物で切れたりすることによって屈筋腱が断裂して起こります。屈筋腱が断裂すると筋肉の力が指に伝わらなくなるので、指が曲がらなくなります。

受傷後早期の場合には、屈筋腱を縫い合わせる手術が行われます。一方、受傷から数週間以上経過している場合などには、腱を移植する手術が行われることもあります。いずれの場合も、癒着予防などのため術後にリハビリテーションを行うことが重要です。

原因

多くは指や手のひら、手首の辺りなどをガラスや刃物で切れたりすることが原因で起こります。また、指を強く握っているときに反対方向に指が強制的に伸ばされたりすると、腱が指の骨から剥がれて発症することもあります。

症状

手指屈筋腱損傷では、一般的に指が曲げられなくなりますが、どの屈筋腱を断裂したかによって指の曲がり方が異なります。

人差し指(示指)から小指のDIP関節(第一指節間関節)を曲げるための深指屈筋腱を断裂した場合には、手を握ったときに第一関節のみ曲がらなくなります。一方、PIP関節(第二指節間関節)を曲げるための浅指屈筋腱と深指屈筋腱の両方を断裂した場合には、第一関節、第二関節のいずれも曲がらなくなります。

検査・診断

指や手のひら、手首などにけがを負い、指の関節が曲げられなくなっている場合には手指屈筋腱損傷が疑われます。問診で受傷時の様子を確認したり、視診や触診で指が曲がらないことを確認したりして診断することができます。

治療

手指屈筋腱損傷では、原則として外科的手術が行われます。いずれも術後はリハビリテーションなどの後療法が行われます。

外科的手術

屈筋腱が完全に断裂している場合には外科的手術が考慮されます。受傷から早期(3週間)の場合には、断裂した屈筋腱を縫い合わせる手術(腱縫合術)が行われます。

一方、受傷から数週間以上経過している場合や、屈筋腱が引きちぎられたり鈍器などによって潰れたりしていると縫い合わせることが困難な場合があります。このような場合には、長掌筋腱(ちょうしょうきんけん)などの腱を移植する手術(腱移植術)が行われることもあります。

後療法

術後は後療法が行われます。屈筋腱を縫い合わせた後はすぐに十分な強度を得られるわけではなく、ある程度自由に動かせるようになるまでには3週間程度必要です。

一方で、屈筋腱にかかわらず、術後は治癒の過程で腱と周囲の組織が癒着してしまうことがあります。そのため、癒着予防のためにも早期から後療法を行うことが大切です。

後療法には、術後3週間程度の間ギプスなどで固定する方法や、装具を用いて早期から指を動かすためのリハビリテーションを行う方法などがあります。

癒着のリスクが高い場合には、早期運動療法が行われることもあります。早期運動療法には、ゴムの力を利用して縫い合わせた部分に余計な力を加えず腱を動かすKleinert法や、手術で強固に縫合したうえで軽い屈伸運動を行う方法などがあります。

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