概要
母斑とは、胎生期に遺伝子異常で生じた母斑の基となる細胞が徐々に増殖して、周辺の組織と組み合わさって形成された皮膚の奇形です。一般的に「ほくろ」や「生まれつきのあざ」と呼ばれるものです。メラノサイト、血管細胞、表皮細胞、などさまざまな細胞に由来します。
母斑症とは、母斑に全身の各臓器の種々の病変を伴う症候群の総称です。
原因
各疾患に特有の遺伝子変異によって発症します。
症状
代表的な母斑症についての主な症状を以下に記します。
神経線維腫症I型 (フォンレックリングハウゼン病) 常染色体優性遺伝
約3,000出生に1例の割合で生じます。半数以上は突然変異による孤発例です。
- カフェオレ斑、雀卵斑様色素斑(褐色の色素斑)
- 神経線維腫:思春期ごろから目立ってくる大小さまざまな柔らかい皮膚腫瘍で、巨大化してびまん性神経線維腫となることがあります。脳神経、脊髄神経にも発生してけいれんや精神遅滞を生じることもあります。
- 虹彩の小結節
- 脊椎側彎、頭蓋骨の欠損など
神経線維腫症II型 常染色体優性遺伝
約4万人に1人の割合で発症します。
結節性硬化症(プリングル病)常染色体優性遺伝
- 皮膚症状:鼻の周りの米粒大の多発する丘疹、爪周りの腫瘍、白斑などがあります。
- 脳の結節や石灰化によるけいれん、知能障害
- 多発する心、腎腫瘍による症状
色素失調症 伴性劣性遺伝
ほとんどが女子に発症します。
検査・診断
各疾患の原因となる遺伝子異常が判明しており、その検査法が確立されていれば遺伝子検査を行って診断します。
各臓器の症状の精査を専門の診療科に依頼して、必要な対処とフォローアップを行います。
治療
治療法はありませんが、QOLを維持するための対処療法を行います。
必要に応じて、遺伝カウンセリングなど本人や家族のケアも行います。
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