きかんしはいいけいせいしょう

気管支肺異形成症

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概要

気管支肺異形成症とは、低出生体重児早産児に生じる呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)に続発する慢性的な肺疾患です。新生児で生後28日を超えても呼吸障害が続き、酸素の使用が必要な状態を指します。

呼吸窮迫症候群は、サーファクタントと呼ばれる物質が不足することから発症する急性期の病気であり、人工的なサーファクタントを投与することで呼吸障害の改善が期待できます。しかし、急性期を経たあとも呼吸状態が改善せず、慢性的に酸素を使用せざるを得ない状態を気管支肺異形成症と呼びます。

気管支肺異形成症を発症すると、長期間に渡って酸素や人工呼吸器に頼る必要があり、RSウイルス感染症を代表とする風邪にかかるだけでも呼吸状態が悪くなりやすい傾向があります。そのため、風邪を引かないような一般的な予防策(手洗いやうがい)に加えて、予防接種を徹底することが求められます。

原因

気管支肺異形成症は、低出生体重児早産児にみられる呼吸窮迫症候群(こきゅうきゅうはくしょうこうぐん)に続発する慢性肺疾患です。呼吸窮迫症候群は、出生週数が早いほど発症するリスクは高くなります。

肺が呼吸機能を発揮するためには、サーファクタントと呼ばれる物質が十分量存在していることが必要です。肺は、風船のような構造をした肺胞と呼ばれる構造物が数多く存在していますが、酸素や二酸化炭素のガス交換をするためには肺胞が膨らむ必要があります。サーファクタントとは界面活性剤の一種類であり、肺胞が膨らむためには必要不可欠な物質になります。

サーファクタントは妊娠週数が進み、予定日が近づくと十分量つくられます。しかし妊娠週数が早い時期に出生すると、サーファクタントが不十分な状態で出生することになります。サーファクタントが不十分な肺は十分膨らむことができず、ガス交換を適切に行うことができずに呼吸障害(呼吸窮迫症候群)を発症します。

人工的なサーファクタントを投与することで呼吸窮迫症候群は治療可能であり、出生後間もなくの呼吸障害は改善が期待できます。しかし、早産による肺の未熟性は残存しています。

早産児はしばらくの間、集学的な治療が必要であり高濃度酸素の投与や人工呼吸管理が行われます。こうした医療行為は生存のために必要ですが、未熟な肺を損傷するリスクも伴います。

また、感染症を併発することもあります。未熟な肺に、さまざまな刺激が加わることで呼吸機能が低下し、結果として気管支肺異形成症を発症します。

症状

肺の機能低下のため、1回の呼吸で交換できる酸素・二酸化炭素の量が低下し、呼吸の回数を増加させることで代償しようとします。

また、少しでも空気の通り道の抵抗を減らすために、鼻の孔(あな)を膨らませる呼吸(鼻翼呼吸)をするようになります。

さらに、肩で大きく呼吸する肩呼吸や肋骨の間がへこむ陥没(かんぼつ)呼吸、喘鳴(ぜんめい)などの症状がみられます。肺の予備機能が低下している状態であり、風邪を引くと呼吸状態が悪化しやすい傾向にあります。

検査・診断

気管支肺異形成症は、呼吸窮迫症候群からの続発症として臨床経過をもとに診断します。

胸部単純レントゲン写真で肺全体にわたり泡沫状(ほうまつじょう)変化や不規則な索状気腫状変化を確認することもありますが、全ての症例でこうした画像上の変化をみるわけではありません。

また、先天性心疾患肺高血圧症などでも類似した呼吸障害を示すことがあります。こうした病気を除外する目的で心臓超音波検査が行われることもあります。

治療

酸素投与やCPAP(シーパップ)(持続陽圧呼吸療法)などの人工呼吸管理が必要になります。また、気管支拡張薬や吸入ステロイド、利尿剤、抗生物質などの薬剤が使用されることもあります。呼吸機能をサポートするための理学療法を行うこともあります。

気管支肺異形成症の呼吸症状は、風邪を引くと悪化することがあります。そのため、手洗いうがいなどの一般的な感染症予防策を講じることが重要です。

特に、RSウイルスと呼ばれるウイルスに罹患(りかん)すると呼吸症状が非常に重い状態になる可能性が高いです。RSウイルスが流行している時期には、気管支肺異形成症のお子さんに対して予防接種を受けることが重要です。呼吸器を刺激しないよう、周囲の大人が禁煙することも大切です。

気管支肺異形成症は、肺や身体の成長と共に改善することが期待できます。栄養をしっかり摂るようにミルクや母乳の摂取を促すことも重要です。

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