とくはつせいはいけってつしょう

特発性肺血鉄症

別名
特発性肺ヘモジデローシス
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

特発性肺血鉄症とは、肺の中での出血を繰り返す病気です。出血を繰り返すことで、赤血球の中に存在するヘモグロビン由来のヘモジデリンと呼ばれる物質が肺の中に沈着します。沈着する物質に由来して、「特発性肺ヘモジデローシス」と呼ばれることもあります。

小児期に診断されることが多い病気です。肺に出血が起こることと関連して、血液の混ざった痰の排泄、呼吸障害、貧血などの症状が現れます。出血を繰り返し引き起こしうる病気が他に見つからない場合に、特発性肺血鉄症と診断されます。

特発性肺血鉄症は、主にステロイドを用いて治療します。再発を繰り返すこともまれではなく、ステロイドの副作用を懸念する関係から別の免疫抑制剤の使用が検討されることもあります。出血を繰り返すことで呼吸機能が徐々に低下することもあるため、慎重な経過観察をとることが重要な病気です。

原因

特発性肺血鉄症の原因は完全には解明されていません。しかし、ステロイドをはじめとした免疫抑制剤に治療効果を示すことから、何かしらの免疫学的な機序が発症に関与していると推定されています。免疫学的な機序が発症に関与するというのは、特発性肺血鉄症を有する方がその他の自己免疫疾患にかかることもあるという事実にも裏付けられています。

また、食事によって摂取されたタンパク質と関連していると考えられることもあります。食事制限(たとえばグルテンフリー)を取り入れることで、特発性肺血鉄症の症状が改善したとする報告もあります。ただし、先にも述べた通り、確実な原因はまだ特定されていません。

症状

多くの場合、小児期から症状が現れます。慢性的な咳から発症し、徐々に血液まじりの痰も現れます。出血を繰り返すと貧血が進行し、疲れやすさ、動悸、顔色不良などの症状がみられるようになります。また、成長障害を伴うこともあります。突然大量の出血がみられることもあり、血液が空気の通り道を遮断してしまうと、窒息に至ることもあり得ます。
 

検査・診断

特発性肺血鉄症は、単純レントゲン写真やCTなどの画像検査を行います。出血している部位に一致して異常な像が認められ、病気の進行により肺が固くなっている状態も評価することが可能です。

痰や胃液を用いて、出血を思わせる変化が細胞レベルで生じていないかを確認することもあります。また、貧血の進行がみられるため、血液検査を行うことで貧血の状態を評価することも重要です。

特発性肺血鉄症以外にも、肺に出血を起こす病気があります。たとえば、血液の病気によっては出血をきたしやすくなる場合もあるため、そういった別の疾患が隠れていないか鑑別するため、血液検査が行われます。また、自己抗体の存在と関連して肺出血を起こすこともあるため、関連する自己抗体を血液検査で確認します。そのほかにも、心臓エコーや尿検査なども必要に応じて適宜実施されます。

治療

治療は、ステロイドを用いておこなわれます。ステロイドの容量は、症状や画像上の変化を確認しながら調整します。初期治療としての反応は期待できますが、ステロイドの使用が長期間に渡ることもあるため、副作用が懸念されます。特に小児に発症することが多い病気であるため、成長障害や内分泌に対しての影響、骨密度への影響など、全身に副作用が生じる可能性も出てきます。そのため、ステロイドの副作用を少しでも軽減することを目的として、ステロイド以外の免疫抑制剤が検討される場合もあります。

特発性肺血鉄症は、セリアック病という病気と関連して発症することもあります。この場合は、グルテンフリーの食事を取り入れることで、血痰などの症状が改善することが期待されます。また、急性出血が起こったり慢性的に肺障害が進行したりすることで、呼吸不全に陥ることがあります。病気の状態に応じて、酸素投与、人工呼吸管理、体外式膜型人工肺などが使用されます。

特発性肺血鉄症は、ステロイドを中心として治療を行いますが、再発を繰り返すことも少なくありません。副作用の早期発見のためにも、定期的な経過観察がとても重要です。

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