こうじょうせんしゅよう

甲状腺腫瘍

最終更新日:
2018年09月12日
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2018/09/12
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概要

甲状腺腫瘍とは、首の前面に位置する甲状腺に生じた腫瘍を指します。良性腫瘍のこともあれば、悪性腫瘍(いわゆるがんのこと)が生じる場合もあります。

甲状腺に腫瘍ができると、声のかすれや物が飲み込みにくくなるなどの症状が現れます。また、甲状腺ホルモンに関連した症状が現れることもあります。

良性、悪性により治療方法も異なるため、首の腫れなど気になる症状がある場合には早期に医療機関を受診することが大切です。

原因

甲状腺腫瘍は、大きく良性疾患と悪性疾患に分けることができます。

良性

甲状腺の一部に結節様の(しこりのような)できものが生じることがありますが、多くの場合は良性です。ヨードの不足を原因としてしこりが生じることもあります。

また、甲状腺が全体的に大きく腫れることもありますが、この場合には橋本病バセドウ病などの可能性もあります。

悪性

甲状腺には悪性腫瘍が生じることもあります。がんの種類としては、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、低分化がん、髄様(ずいよう)がん、未分化がんなど多くのものが含まれます。

種類によって病気の進行度や随伴症状が異なります。放射線が原因となることもあれば、橋本病に続発する形で悪性腫瘍が生じることもあります。

また、生まれつきの遺伝子異常を原因として甲状腺にがんが生じることもあります。たとえば、多発性内分泌腫症と呼ばれる病気を挙げることができます。この場合には、家族性に甲状腺がんがみられることもあります。

症状

甲状腺に腫瘍ができると、首の腫れを指摘されることがあります。がんの場合には腫瘍そのものが大きくなり周囲の組織に浸潤(しんじゅん)(広がること)することがあります。

これによって、声がかすれる、ものが飲み込みにくくなる、息がしにくい、などの症状が現れることもあります。

また、甲状腺に腫瘍が生じた場合には、甲状腺ホルモンに関連した症状が現れることがあります。

甲状腺ホルモンが過剰になった場合

発汗や疲れやすさ、動悸、下痢、体重減少、手足の震えや食欲亢進、眼球突出などの症状がみられることがあります。

甲状腺ホルモンの作用が低下した場合

脱毛や皮膚の乾燥、体重増加やむくみ、しびれ、眠気や便秘、記憶力の低下、うつ症状、などが出現することがあります。

検査・診断

甲状腺腫瘍では、腫瘍の性状を詳細に評価することが重要です。診察において甲状腺を触知し、腫瘍の固さやサイズ、周囲の組織との可動性、痛みの有無などを評価します。

さらに、甲状腺の腫瘍を評価するために、超音波検査、CT検査、MRI検査、シンチグラフィーなどの検査も行われます。

病変部位から組織、細胞を採取して顕微鏡で評価をする病理検査が行われることもあります。また、血液を用いた検査により甲状腺機能や腫瘍マーカーを評価したりすることもあります。

治療

甲状腺腫瘍の治療は、良性か悪性かによって大きく異なります。

良性の甲状腺腫瘍

しこりなどによる症状がない場合には、経過観察となることもあります。甲状腺機能亢進症に対しては、内服薬や手術療法、アイソトープ療法が選択されます。

一方、甲状腺の機能が低下している場合には、甲状腺ホルモンの補充療法が行われます。

悪性の甲状腺腫瘍

悪性腫瘍に対しては、がんの危険度に応じた対応が重要となります。危険度が低いがんに対しては過剰な治療介入にならないよう、経過観察をすることもひとつの選択肢です。

一方、がんの危険性が高い場合には、手術に加えて放射線ヨウ素治療、TSH抑制療法などの全身療法を取り入れた治療が検討されます。

甲状腺の存在する部位は、声を出す、食べ物を飲み込むなどの動作に重要な部位です。手術の際はこうした機能がなくならないように注意しながら行われます。

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