はいすいしゅ

肺水腫

最終更新日:
2023年02月20日
Icon close
2023/02/20
更新しました
2017/04/25
掲載しました。
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

肺水腫とは、肺を取り巻く毛細血管から水分が漏れ出して肺の中に水がたまる状態のことです。肺は呼吸によって取り入れた酸素を血液中に取り入れ、体内で作られた二酸化炭素を排出するはたらきを担っています。肺水腫を発症すると、肺での酸素の取り込みが十分にできなくなるため、息苦しさや喘鳴(ぜんめい)などの症状が現れ、進行すると呼吸状態が悪化して、低酸素状態に陥って意識を失うことも少なくありません。

肺水腫の主な原因は、心不全によって心臓の血液を送る力が低下し、肺に血液が過剰にたまること、または肺炎などで肺を取り巻く毛細血管自体にダメージが生じることとされています。いずれのケースでも、重症化すると命を落とすこともあるため、早急に適切な治療を行うことが大切です。

原因

肺水腫は、肺の表面を取り巻く毛細血管内の水分が漏れ出し肺に水がたまっていく状態のことを指します。

肺の毛細血管の水分が漏れ出す原因は大きく2つに分けられ、1つは心臓の機能低下によって心臓から全身へ血液を送る力が低下することで肺に血液が貯留してしまい、肺の毛細血管に物理的な圧がかかることとされています。このような肺水腫を“心原性肺水腫”と呼び、心筋梗塞(しんきんこうそく)不整脈など心臓の機能を低下させる病気が原因となります。

もう1つの原因は、肺炎敗血症などによって肺の毛細血管にダメージが及ぶことであり、このような肺水腫を“非心原性肺水腫”と呼びます。また、非心原性肺水腫のまれな原因としては重症な高山病、免疫抑制剤や抗がん剤による副作用などが知られており、非心原性肺水腫の原因は多岐にわたります。

症状

肺水腫の状態に至ると、肺に水分がたまることで肺の機能低下が生じます。

肺は、体に必要な酸素を取り入れて、酸素を消費して作られた二酸化炭素を排出する臓器です。そのため、肺水腫によって肺の機能が低下すると十分な酸素が取り込めなくなるため息苦しさを自覚するようになります。息苦しさは横になると悪化するのが特徴で、ゼイゼイという喘鳴やピンク色の泡沫状の痰がみられることもあります。

また、重症な場合には体内の酸素が大幅に不足し、皮膚や唇が紫色になる“チアノーゼ”や冷や汗、血圧低下などの症状が現れ、進行すると救命が困難になることも少なくありません。

また、肺水腫は心不全肺炎などの病気によって引き起こされるため、肺水腫自体の症状だけでなく、全身のむくみや発熱など原因となる病気によってさまざまな症状が現れます。

検査・診断

肺水腫が疑われるときは次のような検査が行われます。

画像検査

肺に水がたまっているかを確認するためX線やCTによる画像検査を行う必要があります。また、上述したように肺水腫はさまざまな病気が原因となるため、肺炎や心拡大の有無などを評価するためにも画像検査が必要です。心原性肺水腫が疑われる場合は、心臓の機能を評価するために心エコー検査を行います。

血液検査

炎症や心不全の程度などを評価したり、全身の状態を把握したりするために血液検査を行います。

動脈血ガス分析検査

採取した動脈血中の酸素分圧などを測定する検査です。肺水腫になると呼吸状態が悪化するため、体に酸素が不足しているかを評価する基準となります。最近は、経皮的酸素飽和度で簡単に測定が可能になっています。

治療

肺水腫は上述したように心不全肺炎などの病気が原因となって引き起こされます。そのため、治療はそれらの病気の状態を改善することが優先されます。具体的には、心不全に対する利尿薬や強心薬の投与、肺炎に対する抗菌薬の投与などが行われます。また、肺にたまった水分を減らすために、最近ではさまざまな心不全の薬が使われるようになりました。

一方で、肺水腫は重症化すると呼吸状態が悪くなるため、十分な酸素を取り入れることができない場合は酸素吸入が必要となり、酸素吸入のみで補うことができない場合は人工呼吸器が使用されます。

予防

肺水腫はさまざまな病気によって引き起こされるため、発症を予防するには原因となる病気を予防することが大切です。心原性肺水腫は心筋梗塞不整脈などによって心臓の機能が低下することが原因で引き起こされます。心筋梗塞などは生活習慣病の1つであり、食事、運動習慣、睡眠、喫煙など生活習慣全般を見直すことが予防につながります。また、不整脈は明確な予防法がないケースが多いため、脈が乱れる・脈が飛ぶといった症状がある場合はできるだけ早く医師の診察を受けましょう。

一方、非心原性肺水腫は肺炎敗血症、重症な外傷など原因は多岐にわたります。日頃から感染対策を徹底するなどの対策も有効ですが、不調を感じたときは軽く考えずに医師の診察を受けて重症化を予防することが大切です。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「肺水腫」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

実績のある医師をチェック

肺水腫

Icon unfold more