ちょうかんゆちゃくしょう

腸管癒着症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

腸管癒着症とは、腹腔内に炎症が生じて腸管と他の器官が癒着し、嘔気や腹痛などの腹部症状をきたすことをいいます。腸管癒着症では、腸管同士、腸管と腹腔内の他の臓器(肝臓や膵臓など)、腸管と腹膜が癒着することがあります。

腹部症状は、癒着によって腸管の動きが妨げられたり、通過障害が生じたりすることで起こります。

このように、腸管癒着症とは「腸管の癒着により腹部症状をきたすこと」をいい、腸管がくっついている状態を示す腸管癒着とは異なります。

原因

腸管癒着症の多くは、開腹手術などをきっかけに起こります。開腹手術は、虫垂炎や胆嚢炎、がんや婦人科疾患などに対して行われることがあります。

このほか、腹腔内の炎症性疾患や何らかの炎症が原因となることもあります。炎症により癒着が起こると、腸管には屈曲やねじれが生じるため、消化管運動障害や通過障害をきたし、腹部症状を引き起こします。

癒着とは

癒着とは傷が治癒する過程で起こる現象であり、それ自体が異常な反応ではありません。術後の腸管癒着症は以前から問題となっており、予防法やメカニズムなどの研究が重ねられています。

症状

消化管運動障害や通過障害により、以下の症状が現れます。

  • 腹痛
  • 腹部の膨満感
  • 悪心(おしん)
  • 嘔吐
  • 食指不振
  • 下痢便秘などの便通異常

腸管癒着によりイレウスをきたすと排ガス(おなら)、排便がなくなり、腹部膨満、嘔吐を繰り返すため、排ガスの有無も重要です。

検査・診断

触診や聴診

腹部の状態や手術痕の確認が行われます。

腹部レントゲン検査

腸管ガスの状態の確認が行われます。

画像検査

他の病気との区別や、癒着、狭窄、炎症の有無を確認するためにCTやMRI検査が行われます。腸管癒着症が疑われる場合は、造影剤を用いた消化管造影検査によって、腸管の走行異常や狭窄、腹部の運動や通過障害などを調べます。

腹腔鏡を用いた検査

症状が強く現れているものの、上記の検査では「癒着の有無と症状の因果関係」がわかりにくい場合など、特別なケースでは腹腔鏡を使って直接腹腔内を観察する検査が行われることもあります。

検査で区別すべき他の病気

女性の場合、月経不順妊娠閉経子宮内膜症などでも似た症状が現れるため、婦人科疾患との鑑別(見極め)が重要です。 また、腸管癒着症は手術後に多くみられるため、手術後の心的要因による不定愁訴とも区別することが必要です。

治療

基本的には症状に対する対症療法が中心となります。

生活指導

食べ過ぎを避け、規則正しい食生活を心がけるための生活指導が行われます。

薬物治療

通常は、内服薬による保存的治療が選択されます。症状に応じて使用される薬は変わります(たとえば、嘔気に対して制吐剤を用いるなど)。

腸管癒着症による症状はさまざまであり、同じ治療薬を使用すると逆効果になることがあるため、処方される薬は検査結果や症状などを総合的にみて決定されます。たとえば、腹痛がある場合は蠕動運動を抑える薬を用いることがありますが、これにより通過障害が悪化する症例もあるのです。

手術治療

癒着によりイレウスを繰り返す場合や、症状が重く、薬によるコントロールが困難でQOL(生活の質)が著しく損なわれている場合は、手術により癒着を剥離することもあります。

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