きんしせいもうみゃくらくまくいしゅく

近視性網脈絡膜萎縮

同義語
近視性網脈絡膜萎縮症,近視性網脈絡膜萎縮病変
最終更新日:
2024年05月15日
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2024/05/15
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概要

近視性網脈絡膜萎縮とは、強度の近視によって目の網膜と脈絡膜が萎縮し、機能しなくなる状態を指します。網膜は眼球の奥で光を感じ取る透明な薄い膜で、脈絡膜は網膜の外側から眼球を覆う膜です。近視性網脈絡膜萎縮の原因は完全には解明されていませんが、眼球の前後方向が伸びることで網膜と脈絡膜が引き伸ばされて薄くなる“強度近視”が関係していると考えられています。

通常、近視性網脈絡膜萎縮が生じても自覚症状は現れません。しかし、萎縮の範囲が広がって黄斑*が障害されると視力の低下を自覚し、進行すると失明に至ることがあります。

近視性網脈絡膜萎縮に対する根本的な治療法は現時点(2024年5月)で存在しないため、近視の進行を防ぐことが大切です。

*黄斑:網膜の中心に位置し、見ているところからの光が当たる部位。物を鮮明に感じ取ることができる。

原因

近視性網脈絡膜萎縮の原因の1つは近視と考えられています。

近視とは、眼球の形が前後に長くなることで目の中に入った光が網膜より前方で焦点が合う状態です。通常、光は網膜上で焦点が合いますが、近視の場合は焦点が合う位置が網膜よりも前方になるため、焦点が合わず遠くの物がぼやけて見えます。

近視性網脈絡膜萎縮では、眼球の形が前後に引き伸ばされる際に、眼球を覆う網膜や脈絡膜も引き伸ばされて薄くなります。発症の原因は十分に解明されていませんが、眼球が伸びることで網膜や脈絡膜が伸びて薄くなり、網膜に栄養が届きにくくなって萎縮すると考えられています。

なお、近視の強さはジオプトリー(屈折度の単位:D)で表され、度数が-6.0Dを超えている状態を強度近視といいます。また、強度近視の進行によって眼球後方にある網膜や脈絡膜、視神経などが大きく引き伸ばされ、近視性網脈絡膜萎縮をはじめさまざまな眼疾患が生じる状態を病的近視といいます。

近視の原因は遺伝のほか、野外活動の減少やゲームなど近くを見る作業の増加などが挙げられます。

症状

通常、近視性網脈絡膜萎縮が生じるだけでは自覚症状はありません。網膜の中心に位置する黄斑に萎縮が広がると視力低下が生じます。場合によっては視野が欠け、進行すると視野欠損の範囲が広くなることもあります。一般的に症状は両目で進行するため、視力の低下や視野欠損が生じた場合は日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。

また、病的近視は、将来的に網膜剥離(もうまくはくり)緑内障など失明の可能性のある病気を合併しやすいといわれています。

検査・診断

近視性網脈絡膜萎縮の疑いがある場合は、網脈絡膜の萎縮を確認するために眼底検査を行います。眼底検査では、瞳孔を広げる散瞳薬を点眼した後に眼底カメラや眼底鏡を使って眼球の奥にある血管や網膜、脈絡膜、視神経などの状態を調べます。

より詳しく調べるために光干渉断層計(OCT)を使用することもあります。光干渉断層計では、近赤外線を照射して網膜の断層画像を撮影します。眼底検査では分かりづらい網膜の状態を鮮明にとらえることができるため、さまざまな網膜疾患の診断に有用です。

治療

現在のところ、近視性網脈絡膜萎縮に対する効果的な治療法はなく、萎縮した網膜や脈絡膜を再生させることはできません。萎縮が進行すると最終的には失明する可能性があるため、近視を進行させないことが重要です。

屋外活動の減少やスマートフォンの普及などによって、近年は子どもの近視患者が増加しています。近視は進行すると、中高年期に近視性網脈絡膜委縮をはじめとする目の病気になる可能性が高まるといわれています。海外では子どもの近視を防止・抑制させるために国家規模の研究や取り組みが行われている国もあり、日本においても同様の取り組みが進むことが期待されます。

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