どうけしようぎょりんせん

道化師様魚鱗癬

最終更新日:
2024年06月06日
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2024/06/06
更新しました
2018/08/24
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概要

道化師様魚鱗癬は“先天性魚鱗癬”の一型で、生まれつき全身の皮膚が厚く、板のような角質に覆われる病気です。

先天性魚鱗癬は、全身の皮膚が赤くなり、鱗状の鱗屑(りんせつ)が付着する病気で、水疱(すいほう)が生じる場合もあります。先天性魚鱗癬の中で、水疱形成が著しい道化師様魚鱗癬は、もっとも重症度の高い病型です。

皮膚は、外側から表皮・真皮・皮下組織で構成されています。表皮は5層で成り立ち、一番外側の角質層には、体内の水分を保持したり、細菌や紫外線、化学物質などから体内を守ったりするバリア機能が備わっています。

道化師様魚鱗癬では、遺伝子の変化によって出生前から皮膚のバリア機能が障害され、皮膚表面を覆う角質層が厚くなります。バリア機能が障害されると皮膚は乾燥するため、生じた亀裂から細菌などの外敵が侵入して感染症を発症したり、体内の水分が失われて脱水が生じたりすることもあります。このほか、耳の変形や瞼の外反、唇の突出、開口障害なども認められます。

道化師様魚鱗癬は、出生時に呼吸障害や脱水によって重篤な状態に陥るリスクが高いため、以前は生後数日で命を落とすこともありましたが、現在では治療法の進歩に伴って長期生存する症例が増えています。

治療は対症療法が主体で、輸液や呼吸の管理、感染予防対策、保湿薬の塗布などが行われます。

原因

道化師様魚鱗癬は“ABCA12”というタンパク質をコードする遺伝子に変化が生じることで発症します。ABCA12は角質層のバリア機能に重要な脂質を輸送するはたらきがあります。道化師様魚鱗癬は、ABCA12の機能不全によって表皮の角質層に脂質の層が十分に作られないため、バリア機能が障害されさらに角質層が厚くなると考えられています。

症状

道化師様魚鱗癬は胎児のころから角質層が厚くなり、出生時には皮膚表面が厚く板のような角質層で覆われています。唇や瞼が反り返り、耳が変形するなどの症状も認められます。皮膚以外の臓器には障害を認めないものの、新生児期には呼吸不全が生じることもあります。

皮膚は出生後時間の経過とともに乾燥し、表面に亀裂が生じます。さらに、角質層のバリア機能障害によって体内のタンパク質や水分が失われたり、さまざまな感染症を発症したり、角質層の肥厚のために体温調整が困難になったりします。また、足の裏の角質層が厚くなることで歩行が困難になるほか、姿勢に影響を及ぼして成長障害を招くこともあります。

検査・診断

道化師様魚鱗癬は、その特徴的な皮膚症状と遺伝学的検査によって診断します。

出生後、全身の皮膚が厚い角質で覆われることに加え、瞼や唇の反り返り、耳の変形などが認められる場合には、遺伝学的検査を検討します。検査の結果、ABCA12遺伝子の変化が認められれば道化師様魚鱗癬と診断されます。ただし、ABCA12遺伝子の変化が認められなくても、道化師様魚鱗癬を否定することはできません。

治療

道化師様魚鱗癬では症状を和らげるための対症療法を行います。

新生児期には、皮膚バリア機能の障害に伴う感染や脱水を防ぎ、体温をコントロールするため、輸液投与や呼吸管理を徹底して行います。皮膚には、白色ワセリン、サリチル酸ワセリン、尿素配合薬、活性型ビタミンD3製剤などの外用剤を使用します。サリチル酸ワセリンや活性型ビタミンD3製剤は、使用量の増加に伴い発熱や脱水、吐き気、血液中のカルシウム濃度上昇などのリスクがあるため、副作用に注意しながら用います。また、成長障害がみられる場合は栄養管理も必要です。

内服薬では、道化師様魚鱗癬にはビタミンA誘導体“レチノイド”の投与が有効です。ただし、レチノイドは唇の荒れや精子や卵子の形成に異常をきたす可能性があり、子どもに投与した場合は骨の成長障害が起こることもあります。そのため、内服中は副作用に十分注意することに加えて、内服期間終了後も一定期間は避妊する必要があります。

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