いでんせいけいせいついまひ

遺伝性痙性対麻痺

同義語
家族性痙性対麻痺,HSP,FSP
最終更新日:
2024年03月22日
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2024/03/22
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概要

遺伝性痙性対麻痺とは、遺伝子の異常が原因で両脚の運動麻痺を中心としたさまざまな機能障害が生じる病気です。

遺伝性痙性対麻痺は、両脚の麻痺のみを主症状とする純粋型と、両脚の麻痺に加え、感覚異常や手の震え、知覚障害、難聴などの症状を伴う複合型があります。いずれの場合も、徐々に症状が進行して筋力が低下します。

症状から遺伝性痙性対麻痺の診断を行うことは困難であり、さまざまな検査によってほかの病気と鑑別したり、遺伝子検査を行ったりすることで確定診断が行われます。

現在、遺伝性痙性対麻痺に有効とされる治療法は確立されておらず、治療は症状に対する対症療法を中心に行います。

原因

遺伝性痙性対麻痺は、遺伝子の異常によって発症します。原因となる遺伝子は、現在までに80種類以上が特定されています1)。遺伝子に異常が起こり、脳から脊髄(せきずい)、そして筋肉へと電気信号を伝える神経細胞の一部が変性*することで発症すると考えられています。

*変性:正常な組織や細胞の機能・形状が何らかの障害を受けて変化し、機能不全や萎縮(いしゅく)が生じた状態のこと。

症状

両脚の筋肉が過剰に緊張した状態となり、突っ張り(痙縮(けいしゅく))、ひきつり、けいれんなどの症状が生じます。これにより、歩き方がぎこちなくなり、次第に筋力が低下して歩行が困難な状態になります。

純粋型では、このような両脚の麻痺症状のほか、脚の振動を感じる感覚の低下、尿や便を出しにくくなる膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)をきたすこともあります。

複合型では、全身のさまざまな部位に症状が出現します。主な症状として、以下のようなものが挙げられます。

検査・診断

遺伝性痙性対麻痺は症状のみでの診断が難しく、また似たような症状を示すほかの病気との鑑別が重要とされています。そのため、以下のような検査を行い複合的に診断します。

  • 問診:同じ病気を持つ血縁者(家族歴)の有無、病歴などの聴取
  • 血液検査、尿検査、髄液検査
  • 画像検査:頭部・脊髄MRI
  • 神経生理学的検査*

なお、原因となる遺伝子を特定するために遺伝子検査**が行われることもあります。

*神経生理学的検査:脳や筋肉などの神経に電気刺激を与え、それに対する反応を観察する検査

**遺伝子検査:採血を行い、血液中の細胞に含まれる遺伝子の異常の有無を調べる検査

治療

現時点で、遺伝性痙性対麻痺の根本的な治療法はなく、症状に対する対症療法が治療の中心です(2024年3月時点)。

対症療法としては、運動機能の支援・改善を目的としたリハビリテーション、医療用の歩行介助装置を用いた治療のほか、両脚のつっぱりを和らげるための薬物療法などが行われます。なお、薬物療法は内服薬(飲み薬)による治療が中心ですが、状況に応じて、筋肉や脊髄に注射で薬を投与することもあります。

参考文献

  1. Meyyazhagan A, Orlacchio A. Int J Mol Sci. 2022; 23(3): 1697.

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