PET検診では糖代謝を調べるFDG(エフディージー)と呼ばれる薬剤を注射し、撮像します。多くの場合、PET装置とCT装置が一体化となったPET/CT装置が用いられています。

PETの本来の用途は、がん患者に対してがんの進行度、転移・再発を診断することですが、これとは別に、多くのがんを比較的早期の段階で発見できることから、健常者のがん検診でも実施されています(PET検診)。前者は保険適用になっていますが、後者は自費診療になります。

従来のがん検診は臓器別に行われますが、PET検診では多数の臓器を一度に検査できることが特徴です。PET/CT検査で発見されるがんを表に示しました。

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PETでがんを発見するにはある程度の腫瘍体積(しゅようたいせき)が必要で、1cm3に満たないミリ単位の大きさのがんの検出には向きません。また、がんの糖代謝が高いこと、背景 (background)となる組織のFDG集積が高くないことなども、PETで発見しやすいがんの条件となります。

PET/CT検査でのがん発見率は約1%ですが、がん以外に以下のような良性病変が19%の頻度で指摘されます。合計すると20%、つまりPET/CT検査を受けた方の5人に1人が何らかの指摘を受けることになります。

  • PET/CT検査で指摘されることのある良性病変

下垂体腺腫/副鼻腔炎(ふくびくうえん)/唾石/慢性甲状腺炎(橋本病)/肺気腫/肺炎/非結核性抗酸菌症/サルコイドーシス/冠動脈硬化症/(きょう)腹部大動脈瘤(ふくぶだいどうみゃくりゅう)/大動脈炎/高度脂肪肝/カルシウムを含む胆石/腎・尿路結石/副腎腫瘍/潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)(活動期)/大腸ポリープ(10mm以上)/五十肩(肩関節周囲炎)/関節リウマチ(活動期)/肋骨骨折(ろっこつこっせつ)腰椎(ようつい)すべり症/脊椎圧迫骨折など。

一般的には50歳を過ぎたら、1~2年に1回の検査がすすめられます。60歳代以降は、がんのリスクが高くなるので、1年に1回受けるのもよいでしょう。40歳までの若年者は、がんの頻度が低いこともあり、強くはすすめられません。

放射線検査では、発がんへの影響が問題になります。1回に100~200 mSv(ミリシーベルト)を超えると、発がん率が高くなります。しかしこれ以下の線量では、成人の発がん率増加は確認されていません。もしあってもわずかなので証明は困難です。PET/CT検査での被ばく量は10数mSvとわずかですので、健康への影響を過度に心配しなくてよいでしょう。

検査室には、放射線管理区域であることを示す黄色い表示がみられます。FDGは静脈注射されますが、放射線の量はごくわずかです。注射後は1時間ほど安静にしますが、これは注射した薬剤が体内に広がり安定するのを待つためです。

撮影台に乗る直前には、排尿して膀胱を空っぽにします。これは尿中に排泄されたFDGで、周辺の画像にゆがみ(アーティファクト)が生じるのを防ぐためです。

撮影時間は15~20分です。体を動かすと画像にぶれが生じることがあるので、力を抜いて楽にしています。

撮影後のおよそ20分間は、安静室で待機します。体内に残存する薬剤からの放射線が低下するのを待つためです。

検査前4~6時間程度は食事を控えます。検査時に高血糖だと、画像に影響が生じるためです。糖分を含まない飲み物はまったく差支えありません。スポーツドリンクは糖分(炭水化物の表示がある)を含んでいることが多いので避けましょう。

また、当日の激しい筋肉運動は、その部位にFDGが高集積するため避けましょう。ガムを噛んでいると筋肉運動で咬筋が濃く写ったり、声をよく使うと喉頭部(こうとうぶ)の筋肉が濃く写ったりする場合もあります。

放射線検査のため、妊娠中は検査を受けられません。また、閉所恐怖症や注射で失神を起こす方は、事前に相談するとよいでしょう。胃、大腸のバリウム検査後は、腸内のバリウムで画像が不良になる場合もあるので、1週間程度は間隔を開けるのがよいでしょう。

ペースメーカー、ICD(植込み型除細動器)を装着している場合、一部の機種によっては本体にX線が照射され、設定に影響が生じる恐れがあるため事前に申告し、当日はペースメーカー手帳、ICD手帳を持参します。  

糖尿病で治療中の場合は、禁食に合わせ検査直前の治療薬を休薬するのが一般的ですが、主治医と検査施設に確認しておきましょう。糖尿病のコントロールが不良で血糖値が高いと(200mg/dL以上)、検査ができない場合もあります。

授乳中は乳腺全体が濃く写るため、乳がんは検出できません。また検査直後は乳腺にFDGが残っているので、授乳は避けるのがよいでしょう。なお乳汁中にFDGは分泌されないため母乳を絞って胸から離して飲ませることは可能で、数歩離れるだけで問題ありません。注射後半日で放射能はなくなるので、乳児を胸に抱くことは問題ありません。

1人で移動ができない方は、付き添いが必要かどうかをあらかじめ確認するのがよいでしょう。

検査着に着替える場合があるので、脱ぎ着しやすい服装がよいでしょう。

検査の当日中には、画像が院内画像通信システムで読影医のもとに送られます。読影医は当日、または翌日には読影できますが、検査施設によっては読影医が非常勤だったり、2人の読影医が別々に読影(ダブルチェック)したりする場合もあり、そのような場合には検査結果(読影レポート)が出るまでに1週間程度かかることがあります。

検査をオーダーした診療科の医師は読影レポートに沿って所見の確認をし、患者さんに説明します。異常が写っている部位があれば、目で確認できます。

PET検診で異常があっても、その結果だけでがんとは断定できません。炎症や良性腫瘍でも異常になる場合があるためです。異常があった場合はほかの検査を行って確認することになるので、医師の指示にしたがうとよいでしょう。

異常がなくても、その時点で発見できるがんがなかったということで、定期的ながん検診は続けるのがよいでしょう。

国がすすめるがん検診は、科学的に有効性が証明されています。その証明は、大規模な臨床研究で、たとえば検診群数千人と非受診群数千人を5~10年経過観察し、死亡率を比較したものです。このような直接証明は実施困難のため、間接的証明法もあります。たとえば大腸内視鏡検査による大腸がん検診は、直接法で検証されていませんが、大腸がん発見の精度は高いので、有効であろうと評価されています。

PET検診以外に受けるとよいがん検診としては、PETが不得意で頻度の高いがんを念頭に、上部内視鏡検査や尿検査(血尿)と、男性は前立腺の腫瘍マーカー(PSA)、女性は子宮頸部(しきゅうけいぶ)の細胞診を受けると安心です。

参考として、以下は国がすすめる5つのがん検診です。多くの場合で、自治体や加入している医療保険組合から費用補助があるので、利用するのがよいでしょう。

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本記事で採用している検査名称はより一般的な表現を採用しておりますが、医療機関や検査機関によって異なる場合があります。また名称が異なる場合、検査内容も一部異なっている場合があります。