インタビュー

てんかんの治療法について

てんかんの治療法について
赤松 直樹 先生

福岡山王病院 神経内科、日本神経学会 代議員

赤松 直樹 先生

この記事の最終更新は2016年02月09日です。

てんかん治療には薬物治療と外科的治療があります。手術の対象となるのは薬が効かない難治性のてんかんですが、手術をすれば治るにも関わらず外科的治療を受けていない患者さんの推定数は、2000人ほどにものぼるといわれています。てんかんの治療法について、福岡山王病院てんかん・すいみんセンターの赤松直樹先生にお話を伺いました。

てんかん治療の中心は抗てんかん薬による薬物療法です。電気的な異常興奮を止めることで発作を抑える抗てんかん薬を毎日服用することで1年以上発作が止まる、つまり効果がみられる患者さんは70%程度です。ひとつめの薬でピタリと発作が止まる患者さんが5割程度。薬を2種類、3種類と組み合わせて併用することで効果が得られる方が7割程度と有効性が高く、てんかんの重要な治療法となっています。

抗てんかん薬は少しずつ進歩しており、現在日本では10種類以上の薬剤が承認されています。しかし、これらはてんかんの原因がはっきりしない特発性てんかんには効きやすい反面、脳の異常によって起こる症候性てんかんには効かない傾向があります。また、抗てんかん薬は、焦点発作に効きやすいもの、全般発作に効きやすいものなど、発作のタイプによって有効性も異なりますので、全般発作の患者さんに焦点発作の薬を処方しても効果は得られません。このように、抗てんかん薬を処方する際には、てんかんのタイプを正確に診断して、その患者さんに合った薬を処方することがとても重要になります。

てんかん薬で効果のないてんかんを薬物抵抗性、あるいは難治性てんかんといいます。てんかんの約3割が難治性てんかんにあたりますが、これらの患者さんの治療法で次に検討されるのが外科的治療です。

てんかんの手術には、発作が起こっている部分(てんかん焦点)を切除する焦点切除術や、焦点を取ってしまうのではなく、電気回路を遮断する脳梁(のうりょう)離断手術などがあります。しかし、外科的治療にまで到達できる患者さんは非常に少なく、その割合は福岡山王病院では難治性てんかんの1~2割程度です。

現在、日本国内でてんかんの外科治療を受けている患者さんは年間に400~500人程度です。しかし、アメリカなどてんかんの先進国によると、日本には、手術の適応となる患者さんが年間に2000人はいると推定されています。

現在の日本の問題点は、外科的治療を行えば治る患者さんたちが手術可能な施設へとたどりつくためのルート、つまり構造的なシステムがないということです。それ以前に、これは医療界の問題でもありますが、大部分の先生方がてんかん外科とはどういったもので、どのような患者さんが手術の適応となるのかということを知らないことです。

福岡山王病院を受診される患者さんの半数は自らインターネットなどで専門医を探して来られる方です。残りの半数は薬がうまく効かないため、「何かいい薬はありませんか?」と他院の先生から相談されるケースです。その中には手術の適応となる患者さんもおられます。

福岡山王病院での私の役割は、外科的治療を行えば治る難治性てんかんの患者さんをいかに手術へとつなげるかということです。現在は「てんかん睡眠センター」を掲げていますが、将来的には「てんかん科」を作りたいと思っています。

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