院長インタビュー

大腸・肛門病領域に特化した医療を提供する松島病院

大腸・肛門病領域に特化した医療を提供する松島病院
松島 誠 先生

医療法人恵仁会松島病院 理事長

松島 誠 先生

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松島病院は、1924年の開設以来、大腸・肛門病領域に特化した医療を提供している病院です。2024年で100周年を迎え、その歴史と経験に裏打ちされた医療で大腸や肛門の病気で悩む人々を支え続けています。松島病院の特徴や今後の展望について、理事長である松島 誠(まつしま まこと)先生にお話を伺いました。

当院は、神奈川県横浜市西区に位置し、100年にわたり大腸・肛門病領域を専門とした医療を行ってきた病院です。開院後約 50年間 1970年代まで“松島病院”は、など肛門の病気を中心に診療を行っていましたが、肛門科として診療を行うなかで、直腸がんをはじめとする大腸の悪性疾患や、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)クローン病などの炎症性腸疾患が発見されることが少なくありませんでした。さらに、日本人に大腸がんが増えたという疫学的な背景もあったことから、1980年より大腸がんを早期発見するための診療を開始し、1987年には大腸内視鏡検査を専門とする“松島クリニック”を開設しました。

松島病院では、大腸や肛門の病気を中心に診療を行い、分院の松島クリニックでは大腸内視鏡検査はもちろん、胃の内視鏡検査や肛門疾患診療で日常的に遭遇する潰瘍性大腸炎やクローン病に対応するため、炎症性腸疾患(IBD)の特殊外来を設置し、検査から治療まで広く対応してきました。こうしてそれぞれ積み重ねてきた多くの知見と技術を融合させ、大腸・肛門病領域の診療をさらに発展充実させるべく、2023年に松島病院と松島クリニックを統合し、新生“松島病院”として新たなスタートを切りました。

前述のとおり、当院では大腸や肛門の病気を専門に診療を行っています。特に、肛門の3大疾患といわれる“(じかく)(いぼ痔)、痔瘻(あな痔)、裂肛切れ痔)”では、根治手術だけで年間3,000件以上の手術を行っており、その他外来手術約2,500件*を行っています。もちろん手術以外のさまざまな治療法を駆使し、病状によっては保存的な治療を行って、一人ひとりに合わせ治療を行っています。また、最近増えてきているのが直腸脱排便障害など機能性疾患です。当院では特に、現院長の宮島 伸宜(みやじま のぶよし)先生が腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)を得意としていることもあり、直腸脱や排便障害に対して体への負担が少ない腹腔鏡下手術を行っています。

検査の部分では、大腸内視鏡検査はもちろん、胃内視鏡検査やカプセル内視鏡検査、大腸肛門機能検査など、お腹やお尻の病気や機能を調べる各種検査を行っています。さらに、過敏性腸症候群IBS)外来、炎症性腸疾患(IBD)外来、排便機能外来という3つの外来も設けており、より専門的な治療を行っております。

肛門病の患者さんの男女比はほぼ同数ですが、女性には恥ずかしさなどから受診をためらっている方も少なくありません。そのため当院では、初診時のみですが、ご希望のある方に対して、火曜日と金曜日に女性医師による診察を行っています(2024年1月時点)。

*手術実績について:

2020年度実績/3,172件(痔核根治手術(脱肛根治含む):1,987件、痔瘻根治手術:1,048件、裂肛・肛門潰瘍根治手術:137件)、その他外来手術:3,613件

2021年度実績/3,296件(痔核根治手術(脱肛根治含む):2,191件、痔瘻根治手術:1,007件、裂肛・肛門潰瘍根治手術:98件)、その他外来手術:3,376件

2022年度実績/3,245件(痔核根治手術(脱肛根治含む):2,068件、痔瘻根治手術:1,096件、裂肛・肛門潰瘍根治手術:81件)、その他外来手術:3,008件

核、痔瘻裂肛の中でも痔核や裂肛の原因には排便習慣が大きく関わっています。そのため当院では、入院される患者さんに排便習慣改善のための指導も行っています。これにより再発を防ぎ、当院で治療を受けてよかったと思ってもらえることを目指しています。

また、子どもたちは学校など公共の場での排便をためらってしまう傾向がありますが、排便習慣が乱れることによって将来的に痔核(いぼ痔)など肛門の病気につながる可能性があります。そのため、子どものうちから正しい排便習慣を身につけられるような取り組みや、学びの機会を増やせていけたらと考えています。

松島誠先生

“自分の家族や、愛する人に自信をもって行える治療をする”という信条を持って、治療や病院の運営を行っています。だからこそ、自分たちの専門性を大切に、自信を持って治療を行えるよう努めています。また、肛門の病気の大半は毎日のようにそして長い年月にわたって悩んでいる方が多く、治療によって生活の質が改善し、悩みから解放されることで喜んでいただけることも多く、やりがいにもつながっています。

当院の位置する横浜は交通の便もよいので、東京など隣接する地域や、さらに遠方から患者さんが来ることも珍しくありません。ただ、肛門の病気は特に命に関わる、一刻を争うということが少ないため、やはり地域の病院にかかることが一般的です。当院は、この横浜の地でこれからも肛門や大腸の病気で悩む方に安心して来ていただけるよう、専門性という軸をぶらさずに診療を行っていきたいと考えています。