ぎゃんぶるいぞんしょう

ギャンブル依存症

最終更新日:
2021年05月28日
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2021/05/28
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概要

ギャンブル依存症とは、競馬・パチンコ・宝くじなどの“賭け事”を続けたいという欲求が抑えられなくなる病気のことです。これらの賭け事は趣味や娯楽の範疇(はんちゅう)に入りますが、賭け事に熱中するあまり日常生活の中で経済的・社会的に支障をきたしているにもかかわらず、賭け事をしたいという衝動が抑えられなくなるのが、この病気の特徴です。

賭け事がやめられなくなるというメカニズムはアルコール依存症薬物依存症と似たような脳の高揚感を感じる仕組みに異常が生じているからであると考えられており、1970年代に“病的賭博(びょうてきとばく)”という正式な病名として認められるようになりました。

主な治療は主として心理社会的治療(心理療法や自助グループ)ですが、賭け事への依存を断ち切るには金銭管理の徹底など、賭け事をしにくい環境づくりも必須であり、治療には長い時間がかかるケースも少なくありません。

原因

ギャンブル依存症の明確な発症メカニズムは解明されていないのが現状です。

しかし、賭け事への依存はアルコール依存症薬物依存症の発症メカニズムと同じく、脳内の“脳内報酬系”と呼ばれる部位の機能に異常が生じることが原因の1つと考えられています。

脳内報酬系とは、気分の高揚感、幸せ、気持ちよさなどを感じる部位であり、この部位からはドーパミンと呼ばれる神経伝達物質が放出されます。賭け事をやり続けると脳内報酬系は賭け事から得られる高揚感などに鈍感となり、絶えず賭け事をしたいという欲求に駆られるようになるばかりでなく、食事やほかの娯楽など日常生活の楽しみとなっていた事柄に対する高揚感を覚えにくくなるとされています。その結果、日常生活が賭け事を中心に回るようになってしまうと考えられているのです。

また、そのほかにパーキンソン病などに用いられるドパミンアゴニストと呼ばれるタイプの治療薬の副作用でギャンブル依存症を発症することがあります。

症状

ギャンブル依存症は、競馬・パチンコ・宝くじなどの賭け事をしたいという衝動が止められず、経済的・社会的な支障が生じているにもかかわらず賭け事を繰り返すようになる病気です。

賭け事は娯楽の1つではありますが、依存状態になると日常生活に重大な影響を与えるようになり、金銭を使い果たしてしまったり、仕事や学校に行けなくなってしまったりするだけでなく、借金を繰り返して破産に追い込まれるケースも少なくありません。また、盗みや詐欺など犯罪行為に至ってしまうケースもあります。

その結果、通常の社会生活を送ることができなくなり、抑うつや希死念慮などの精神的症状、食事の極端な偏りや睡眠障害などによる身体的な症状を引き起こすこともあります。

また、ギャンブル依存症を発症するとアルコールや薬物などほかの依存症や、気分障害、不安障害(不安症)など精神的な病気を併発しやすくなるとの報告もあります。

検査・診断

ギャンブル依存症は、賭け事を行う際の心理的な状況、賭け事の頻度、賭け事による日常生活への支障などの状況を丁寧に聞き取り、総合的な判断によって診断されます。

一方で、ギャンブル依存症は気分障害などほかの精神疾患を合併することも多いため、心理検査、頭部CT検査などが行われることもあります。

ギャンブル依存症とギャンブル愛好家とを見分ける尺度として、“LOST”という自記式尺度(スクリーニングテスト)があります。

  1. ギャンブルをするときには予算や時間の制限を決めない、決めても守れない(Limitless)
  2. ギャンブルに勝ったときに『次のギャンブルに使おう』と考える(Once again)
  3. ギャンブルをしたことを誰かに隠す(Secret)
  4. ギャンブルに負けたときにすぐに取り返したいと思う(Take money back)

上記のうち2つ以上あてはまった場合にギャンブル依存症の可能性あると判定されます。

治療

ギャンブル依存症には精神療法が効果的であるとされています。特に、問題となる賭け事に暴露させることで賭け事をしたいという衝動を抑える術を身につける“行動療法”、賭け事に対する衝動に対する対処法を身につける“認知行動療法”などが有効とされています。

また、ギャンブル依存症は気分障害や不安障害などの精神疾患を合併するケースも多く、それらの病気に起因する症状が賭け事への依存を助長したり、精神的・身体的症状を悪化させたりすることもあるため、抗うつ薬や気分安定薬などを用いた薬物療法を並行して行うこともあります。

そのほか、ギャンブル依存症は賭け事をしにくい環境づくりを継続していくことも大切です。全国にはギャンブル依存症に対する専門医療機関が広がりつつあり、ギャンブル依存症からの回復のための自助グループ(Gamblers Anonymous:通称GA)、あるいは、入所型の民間リハビリ施設が徐々に増えつつあります。

予防

ギャンブル依存症は賭け事をやりやすい環境にあると発症リスクが高まるとされています。また、家族に賭け事の問題を抱えている人がいる場合もリスクが高いとの報告もあります。

賭け事は趣味や娯楽の1つではありますが、適度な頻度で行うよう心がけ、過度にのめりこんだり金銭を使い過ぎたりすることがないよう気を付けることが大切です。特に家族に賭け事の問題を抱えている人がいる場合、気分障害などの精神疾患がある場合、アルコールや薬物などへの依存症状がある場合は、できるだけ賭け事にアクセスできない環境を作るようにしましょう。

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