すてぃーぶんす・じょんそんしょうこうぐん

スティーブンス・ジョンソン症候群

同義語
SJS,皮膚粘膜眼症候群
最終更新日:
2023年03月29日
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2023/03/29
更新しました
2017/04/25
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概要

スティーブンス・ジョンソン症候群とは、薬や感染症などが原因となって、高熱などの全身症状や重篤な粘膜・皮膚症状が現れる病気です。医薬品が原因になることが多く、抗生物質、解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬などの幅広い医薬品で起こることがあります。

主な症状は、高熱、目・口唇・陰部のただれなどの粘膜症状、皮膚の広範囲な赤みや水疱(すいほう)などの皮膚症状です。これらの症状が突然現れ、持続したり急激に悪くなったりすることがあります。

発生頻度は人口100万人あたり年間1~6人程度と高くはありませんが、市販の風邪薬などでも起こり得る病気です。医薬品を服用してから2週間以内に起こることが多いとされています。

原因

スティーブンス・ジョンソン症候群の原因としてもっとも多いものは医薬品です。そのほかに、一部のウイルス感染やマイコプラズマ感染が原因になることもあります。スティーブンス・ジョンソン症候群の原因となる医薬品の種類は幅広く、抗生物質、解熱消炎鎮痛薬、抗てんかん薬などさまざまです。

医薬品の成分やウイルスに対するアレルギー反応がきっかけとなって、スティーブンス・ジョンソン症候群が引き起こされると考えられていますが、詳しい発症メカニズムについては、まだよく分かっていません。

症状

スティーブンス・ジョンソン症候群の主な症状には発熱などの全身症状、粘膜症状(目、口唇・口腔、外陰部など)、皮膚症状があります。

薬が原因の場合は、原因となる医薬品を使用してから1〜3週間(2週間以内に起こることが多い)後に、発熱や頭痛、咳などの全身症状の出現とともに、目、口唇・口腔、外陰部の粘膜に紅斑、びらんがみられます。また皮膚病変は、全身に水疱・びらんを伴う紅斑あるいは赤紫色~褐色の斑が多発します。症状が現れ始めるまでの期間は個人差があり、数日以内に現れる場合もあれば、薬の使用から1か月以上たってから起こることもあります。

皮膚の病変は治癒後に色調の変化などが残ることもありますが、時間の経過とともに正常な皮膚の色に近づいていきます。ただし、爪の周囲に病変ができた場合の爪の変形や爪の脱落、目の症状(視力低下、まぶたの癒着、ドライアイなど)は後遺症として残ることがあります。

また、呼吸器や消化管の粘膜が障害されることもあり、この場合は呼吸器症状や消化管症状が起こることもあります。

検査・診断

スティーブンス・ジョンソン症候群は、実際の症状やきっかけとなりやすい医薬品の服用の有無、感染症の有無などをもとに医師が評価して診断することになります。病変がみられる皮膚を採取して顕微鏡で調べる皮膚生検が行われることもあります。

また、スティーブンス・ジョンソン症候群とよく似た病気に中毒性表皮壊死症(ちゅうどくせいひょうひえししょう)と呼ばれる病気があります。これらは重症多形滲出性紅斑と呼ばれる同じグループの病気で、びらんや水疱などの皮膚症状が全体表面積の10%未満のときにスティーブンス・ジョンソン症候群と診断され、10%以上の場合は中毒性表皮壊死症と診断されます。

検査の結果からスティーブンス・ジョンソン症候群が疑われる場合、原因を特定するための検査が行われることがあります。細菌やウイルスなどの感染症が疑われる場合は、病原体を検出する検査や抗体価の測定などを行います。薬剤が原因として疑われる場合は、症状が発現するまでにどのような薬剤をどれくらい使用していたか、過去に薬剤を服用して発疹(ほっしん)などの副作用が出たことがあるかどうかということなどが参考になります。

原因がはっきりしない場合は、患者から採取した血液と疑わしい薬剤を混ぜてリンパ球が増えるかどうかを確認する検査(薬剤添加リンパ球刺激試験)や、パッチテストを行うこともあります。

治療

スティーブンス・ジョンソン症候群が疑われ、何らかの薬が原因と考えられる場合は直ちに疑われる薬の使用を中止します。

そのうえで、原則として入院して治療を行います。治療期間は症状によって異なりますが、1か月以上に及ぶこともしばしばです。重い基礎疾患がある場合や、高齢者ではより治療期間が長くなることがあります。

スティーブンス・ジョンソン症候群の入院治療

ステロイド薬の全身投与に加えて、発疹の局所的な治療、目の症状の管理、補液・栄養管理、呼吸管理、感染防止などの全身管理が行われます。

ステロイド薬の全身投与はこの病気の中心となる治療で、特に重症の場合は発症から7日前後に治療を始める必要があります。

ステロイド薬による治療としては、ステロイドパルス療法と呼ばれる、多量のステロイド薬を投与する治療が行われることがあります。治療により症状の改善がみられたら徐々にステロイドの量を減らします。

このような治療でも効果がみられない場合は、免疫グロブリン製剤大量静注療法や血漿(けっしょう)交換療法と呼ばれる治療法が行われることもあります。

スティーブンス・ジョンソン症候群の後遺症の治療

目の症状が重篤な場合は後遺症を残すことがあります。目の後遺症に対しては、輪部支持型角膜形状異常眼用コンタクトレンズと呼ばれる特殊なコンタクトレンズを使用することにより視力を改善したり、ドライアイ症状を緩和できることがあります。

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