にゅうせんしょう

乳腺症

最終更新日:
2021年10月07日
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2021/10/07
更新しました
2017/04/25
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概要

乳腺症とは、乳腺にしこりや痛みが生じたり、乳頭から分泌物が出たりなど様々な症状を伴う、30~50歳代の女性に多い良性疾患の総称です。乳がん乳腺炎などの明確な疾患とは異なり、大部分は女性ホルモンのバランスが乱れることによって発症すると考えられており、近年では“病気”ではなく“生理的な変化”の1つと捉えられることも多くなっています。

乳房には母乳を産生するための乳腺という組織が多く存在しますが、乳腺組織は女性ホルモンのバランスによって大きくなったり小さくなったりします。乳腺症はこのような生理的な変化が強く現れて一部がしこりのようになったり、痛みを引き起こしたりすると考えられています。そのため、一般的には生理前に症状が悪化し、閉経を迎えて女性ホルモンの分泌が少なくなると自然に改善していきます。治療は必要ないことがほとんどですが、症状が強い場合は痛み止めを使用することがあります。一方で、乳がんと似たような画像所見となることもあり、詳しい検査が必要になる場合もあります。

 

原因

乳腺症の原因は明らかにはなっていませんが、女性ホルモンのバランスが崩れることによって生じる生理的な変化であると考えられています。乳腺は“エストロゲン”と呼ばれる女性ホルモンのはたらきによって容積が大きくなります。女性ホルモンは月経周期にあわせて増減するため、エストロゲンが増える生理前や排卵時などは乳房が張ったり痛みを感じたりしますが、生理が終わると乳房の張りや痛みがなくなることが多いです。乳腺症は、このような生理的な変化が強く生じたことによるものであると考えられています。

症状

乳腺症では乳房の一部にしこりや痛みを感じます。また、乳頭から分泌物が出ることもあります。生理前や排卵のタイミングでしこり感や痛みが強くなるのが乳腺症の特徴です。また更年期にも女性ホルモンがアンバランスになるため症状が強くなることがあります。一方で閉経を迎えると症状は徐々に治まっていくとされています。

また過度なストレスや疲れなど女性ホルモンのバランスが崩れやすい状態が続くと、症状が強くなると考えられています。

検査・診断

乳腺症が疑われたときは次のような検査が行われます。

画像検査

乳房にできたしこりの状態を確認するため、マンモグラフィ検査(乳房のレントゲン検査)、超音波検査(エコー)などが必要に応じて行われます。

また、乳腺症は良性の変化であり乳がんになることはありませんが、乳腺症と診断された場合は1年に1度はこれらの画像検査を行って経過を見ていくことがすすめられています。

生検・病理検査

乳腺症でも乳がんと似たような画像所見になることもあります。画像検査を行っても乳房のしこりが乳がんか乳腺症かはっきりと区別がつかないときや、経過観察中にしこりが大きくなっていくときなどはエコー検査で確認しながらしこりに針を刺してしこりの細胞を採取(生検)し、顕微鏡で詳しく調べる検査(病理検査)が行われることがあります。

治療

乳腺症は良性の変化であり、基本的に治療の必要はありません。痛みが強い場合は一般的な痛み止め(消炎鎮痛薬)などが用いられることがあります。

予防

乳腺症は生理前や更年期など女性ホルモンのバランスが乱れることによって引き起こされる生理的な変化であるため、明確な予防方法はありません。

しかし、女性ホルモンのバランスの乱れはストレスなど好ましくない日常生活上の習慣によって引き起こされることがあります。そのため、規則正しい生活を心がけ、お酒やカフェインの過剰摂取を避けるなどで症状が改善することもあるとされています。

乳腺症が乳がんのリスクになることはほぼないといわれていますが、画像所見が乳がんに似ていたり、もともとしこりがあったりすると、その後、乳がんを発症したときに発見が遅れる可能性があります。乳腺症と診断されたら良性だからと放置せず、半年~1年ごとの定期検査を受けることが推奨されています。

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