だいのうひしつきていかくへんせいしょう

大脳皮質基底核変性症

同義語
CBD
最終更新日:
2024年05月15日
Icon close
2024/05/15
更新しました
この病気の情報を受け取るこの病気は登録中です

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

医師の方へ

概要

大脳皮質基底核変性症とは、大脳の皮質と基底核(黒質、淡蒼球(たんそうきゅう)など)という部位の神経細胞が変性*・脱落して、神経細胞やその周囲の細胞に異常リン酸化タウと呼ばれるタンパク質が蓄積する病気です。典型例では、左右非対称に大脳の萎縮がみられるのが特徴です。ただし、発病メカニズムは現在も解明されていません。

中年以降に発症するケースが多く、緩やかに病状が進行します。進行するにつれ、体の片側の筋肉が硬くなる、動作が遅くなる、正常な歩行ができなくなる、思うように手や足が動かせなくなるといった症状が現れます。そのほか、認知機能の低下や言語の異常などを伴うこともあります。

根本的な治療法はなく、治療は症状を和らげるための薬物療法とリハビリテーションが主体となります。

*変性:正常な組織や細胞の機能・形状が何らかの障害を受けて変化し、機能不全や萎縮(いしゅく)が生じた状態のこと。

原因

大脳皮質基底核変性症は、脳の大脳に存在する皮質と基底核(黒質、淡蒼球など)という部位の神経細胞が変性・脱落し、神経細胞やその周囲の細胞(グリア細胞)に異常リン酸化タウというタンパク質のうち4リピートタウが蓄積することで発病します。

典型例では左右非対称性に大脳の病変(萎縮)がみられるのが特徴です。

異常リン酸化タウが蓄積し神経細胞が変性・脱落する原因は、現時点で明らかになっていません。

ごくまれに同じ家系内で複数の発症者がいるケースも報告されていますが、一般的には遺伝性はなく、中高年に好発します。

症状

大脳皮質基底核変性症を発症すると、以下のような運動機能の異常が現れるようになります。

  • 筋肉が硬くなり、動作が遅く鈍くなる
  • 正常な歩行ができなくなる
  • 姿勢が保てず転倒しやすくなる
  • 思うように手足が動かない
  • 動作がぎこちない

典型例では、大脳の病変が非対称に出現し、症状も体の片側に集中して現れます。

また、認知機能の低下も生じやすく、言葉が出にくい、片方の空間を見落とす(半側空間無視*)、食事や着替えなどの日常の動作が思うようにできなくなる、性格や行動の異常、気分が落ち込むなどさまざまな症状が引き起こされます。さらに進行すると、物が飲み込みづらくなり、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスクが高くなるため注意が必要です。

症状は緩やかに進行し、多くの場合発症から寝たきりの状態になるまでの期間は5~10年程度です。

*半側空間無視:片側の空間が視界に入っても、それを認識できない(見落とす)症状のこと。脳の一部が障害されることで生じる症状の1つ。

検査・診断

症状、経過、診察の所見から大脳皮質基底核変性症を疑います。通常、血液検査や脳脊髄液検査(のうせきずいえきけんさ)では異常を認めません。そのため、以下のような検査が診断に有用とされています。

画像検査

頭部のMRIやCT検査で、脳の前頭葉と頭頂葉という部位に目立つ左右非対称性の萎縮がみられます。

また、脳血流SPECT*という検査では、同部位の左右非対称性の血流低下がみられることが特徴です。そのほか、ドパミントランスポーターSPECT**では脳の線条体という部位の片側に集積低下を認めます。

*脳血流SPECT:脳の血流を測定し、脳の各部位における血流の状態や血流低下を伴う脳機能の低下が起こっていないか調べる検査。

**ドパミントランスポーターSPECT:123I-FP-CIT SPECTと呼ばれる検査で、脳の線条体という部位でのドパミン神経の状態(密度)を調べる検査。パーキンソン病レビー小体型認知症や大脳皮質基底核変性症など黒質のドパミン神経細胞が障害される病気では集積の低下がみられる。

治療

現在、大脳皮質基底核変性症の根本的な治療法はありません。そのため、それぞれの症状を和らげる治療(対症療法)やリハビリテーションが治療の中心となります。

具体的には、筋肉の硬さ、動作の遅さ、歩行障害などの症状(パーキンソン症状)に対してはパーキンソン病で用いられる治療薬(レボドパ製剤)が使用され、ある程度の効果がみられることがあります。筋肉のぴくつきなどの症状があるときは抗けいれん薬などを使用して症状を軽減させます。

そのほか、関節が硬くなるのを予防し運動機能を保つためにリハビリテーションを行うほか、病気が進行すると物を飲み込む機能(嚥下(えんげ)機能)も低下するため嚥下訓練を行います。

医師の方へ

医師向けの専門的な情報をMedical Note Expertでより詳しく調べることができます。

この病気を検索する

「大脳皮質基底核変性症」を登録すると、新着の情報をお知らせします

処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

関連の医療相談が10件あります

※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

実績のある医師をチェック

大脳皮質基底核変性症

Icon unfold more