概要
大脳皮質基底核変性症とは、大脳の皮質と基底核(黒質、淡蒼球など)という部位の神経細胞が変性*・脱落して、神経細胞やその周囲の細胞に異常リン酸化タウと呼ばれるタンパク質が蓄積する病気です。典型例では、左右非対称に大脳の萎縮がみられるのが特徴です。ただし、発病メカニズムは現在も解明されていません。
中年以降に発症するケースが多く、緩やかに病状が進行します。進行するにつれ、体の片側の筋肉が硬くなる、動作が遅くなる、正常な歩行ができなくなる、思うように手や足が動かせなくなるといった症状が現れます。そのほか、認知機能の低下や言語の異常などを伴うこともあります。
根本的な治療法はなく、治療は症状を和らげるための薬物療法とリハビリテーションが主体となります。
*変性:正常な組織や細胞の機能・形状が何らかの障害を受けて変化し、機能不全や萎縮(いしゅく)が生じた状態のこと。
原因
大脳皮質基底核変性症は、脳の大脳に存在する皮質と基底核(黒質、淡蒼球など)という部位の神経細胞が変性・脱落し、神経細胞やその周囲の細胞(グリア細胞)に異常リン酸化タウというタンパク質のうち4リピートタウが蓄積することで発病します。
典型例では左右非対称性に大脳の病変(萎縮)がみられるのが特徴です。
異常リン酸化タウが蓄積し神経細胞が変性・脱落する原因は、現時点で明らかになっていません。
ごくまれに同じ家系内で複数の発症者がいるケースも報告されていますが、一般的には遺伝性はなく、中高年に好発します。
症状
大脳皮質基底核変性症を発症すると、以下のような運動機能の異常が現れるようになります。
- 筋肉が硬くなり、動作が遅く鈍くなる
- 正常な歩行ができなくなる
- 姿勢が保てず転倒しやすくなる
- 思うように手足が動かない
- 動作がぎこちない
典型例では、大脳の病変が非対称に出現し、症状も体の片側に集中して現れます。
また、認知機能の低下も生じやすく、言葉が出にくい、片方の空間を見落とす(半側空間無視*)、食事や着替えなどの日常の動作が思うようにできなくなる、性格や行動の異常、気分が落ち込むなどさまざまな症状が引き起こされます。さらに進行すると、物が飲み込みづらくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高くなるため注意が必要です。
症状は緩やかに進行し、多くの場合発症から寝たきりの状態になるまでの期間は5~10年程度です。
*半側空間無視:片側の空間が視界に入っても、それを認識できない(見落とす)症状のこと。脳の一部が障害されることで生じる症状の1つ。
検査・診断
症状、経過、診察の所見から大脳皮質基底核変性症を疑います。通常、血液検査や脳脊髄液検査では異常を認めません。そのため、以下のような検査が診断に有用とされています。
画像検査
頭部のMRIやCT検査で、脳の前頭葉と頭頂葉という部位に目立つ左右非対称性の萎縮がみられます。
また、脳血流SPECT*という検査では、同部位の左右非対称性の血流低下がみられることが特徴です。そのほか、ドパミントランスポーターSPECT**では脳の線条体という部位の片側に集積低下を認めます。
*脳血流SPECT:脳の血流を測定し、脳の各部位における血流の状態や血流低下を伴う脳機能の低下が起こっていないか調べる検査。
**ドパミントランスポーターSPECT:123I-FP-CIT SPECTと呼ばれる検査で、脳の線条体という部位でのドパミン神経の状態(密度)を調べる検査。パーキンソン病/レビー小体型認知症や大脳皮質基底核変性症など黒質のドパミン神経細胞が障害される病気では集積の低下がみられる。
治療
現在、大脳皮質基底核変性症の根本的な治療法はありません。そのため、それぞれの症状を和らげる治療(対症療法)やリハビリテーションが治療の中心となります。
具体的には、筋肉の硬さ、動作の遅さ、歩行障害などの症状(パーキンソン症状)に対してはパーキンソン病で用いられる治療薬(レボドパ製剤)が使用され、ある程度の効果がみられることがあります。筋肉のぴくつきなどの症状があるときは抗けいれん薬などを使用して症状を軽減させます。
そのほか、関節が硬くなるのを予防し運動機能を保つためにリハビリテーションを行うほか、病気が進行すると物を飲み込む機能(嚥下機能)も低下するため嚥下訓練を行います。
医師の方へ
「大脳皮質基底核変性症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
関連の医療相談が10件あります
爪が再度損傷し、再受診が必要か。
8/7に金曜日の夜にクローゼットの折れ戸に足を巻き込まれて指先が腫れたり爪が損傷をしました。 8/9に皮膚科を受診し、 まだ爪が縦半分残っていて、下から生えてきそうだから、抗生物質の塗り薬と髪の絆創膏(注射の後の止血のときの紙テープで代用)で様子を見てくださいと言われました。 どうしても絆創膏を剥がしてしまうので、塗り薬だけで様子をみていたのですが、今日の 夕飯のあと「いててー」と息子が足を見せてきました。 おそらく気になって爪を触っているうちに爪が剥がれてしまったようで、根元が少し出血してしまったようでした。 まだ足の指先も腫れているようです。 このまま爪がはえるまで塗り薬で様子を見るべきか再受診か悩んでいます。 本人は痛がる様子は無いのですが、 保育園に通っているので砂場やプールなど遊びがあるので少し心配でもあります。
尿漏れについて
最近、おしっこを限界まで我慢すると少しでてしまうよになってしまいました。若い頃耐えられたのに恥ずかしく誰にも相談できません。早めにトイレに行くように心がけていますが、仕事が忙しい時や大事な会議、商談中など信用を落としかねない時に困っています。何か良い対策はありますか?
弟がヒステリーっぽく、金銭感覚の無さや、空気を読めない所があります。
弟が何かしらの精神病ではないかと思うのですが、当てはまる病気があったら教えてください。 ちなみに私は双極性障害で、この病気には遺伝性があるので疑っていました。 ですが本人に聞いたところ、ウツのように落ち込んだ経験は無く、双極性障害では無さそうです。 まず今の状況ですが、弟が婿入りした家の部屋から出て来なくなりました。 お義母さんと性格が合わず、お義母さんを少しでも見ると怒鳴ってしまいます。 お義母さんにも性格に問題があるのですが、それを差し引いても怒り過ぎに感じます。 弟と接していておかしいと思う点がいくつかあります。 まず金銭感覚です。農業のための大きなビニールハウスを建て、多額の返済が残っています。 ですが返済計画が甘く、とても返せないのですが、なぜか何とかなると思っています。 実家であるウチに何度もお金を借りに来ます。 車検代10万円を10ヶ月滞納しています。 車検代としてお金をあげても「別の支払いをした」と言って滞納し続けています。 弟の奥さんも10万円渡したそうですが、「貰ってない」と言われたそうです。嘘なのか、本当に忘れてるのかは判断できません。 10万円すら返せていないのにビニールハウスの多額の支払いは何とかなるという考えです。 ギャンブルに関しては、毎日自宅の畑作業をしているので、行っている形跡はありません。 金銭感覚に加えて、空気を読めない所もあります。 弟は1人暮しをしていましたが、電気を止められるほど支払い計画を立てる事が出来ません。 実家に帰る事になったのですが、帰るための費用に5万円掛かるので振り込んで欲しいと言われました。 振り込んで数日後「更に5万円掛かる」と言われ振り込みましたが、その後「更に5万円掛かる」と言われ再度振り込みました。 その後帰ってきたのですが、そのとき「この前先輩と遊園地に行ってきた」と言われました。 「5万円掛かる」と言う時はとても申し訳無さそうに話していました。 なぜ遊園地に行ったなどという事を普通に言えるのか理解出来ませんでした。 最後になりますが、家族以外の人と接するときは全くの常識人です。控えめで気の利く性格になります。とても怒鳴るような人には見えません。 このような病気があるのか、また治療出来るのか教えてください。よろしくお願いします。
射精時出血
お世話になります。以下の件でご意見を頂ければ幸いです。 昨日、射精後に血が混じっていました。痛みは伴っていません。 どのような原因が考えられるのでょうか。 ご助言、よろしくお願い致します。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。