概要
後陣痛とは、分娩終了後数日間持続する、子宮収縮に伴う痛みをいいます。初産婦に比べ経産婦に強く起こり、授乳時には増強するといわれています。
原因
陣痛とは周期的に反復する子宮の筋肉の収縮のことをいいます。後陣痛のメカニズムは、分娩時の陣痛と基本的には同じであると考えられています。
脳の下垂体後葉というところから分泌されるオキシトシンというホルモンには、分娩中には子宮の収縮を促す作用があり、分娩後には赤ちゃんに授乳をすることでホルモン分泌が促され、子宮収縮を引き起こし、子宮を元の大きさにもどす作用があります。この、分娩後に子宮の筋肉を収縮させるときの痛みが後陣痛です。
オキシトシンホルモンの分泌による子宮収縮以外にも、内臓を冷やすような食品を摂った場合、腹部を冷やしすぎた場合、腸炎などで下痢が続く場合にも子宮の収縮が増強し、痛みもそれに伴って強くなる場合があるといわれています。
子宮の内臓痛は、ある知覚神経から脳に伝わります。お腹の皮膚や筋肉から出る神経も一部共通しているため、子宮が痛むとお腹の皮膚や筋肉の痛みも起こると考えられます。これを関連痛といいます。強い後陣痛を感じるとき、お腹の皮膚を触っただけでも強烈な痛みが生じるのはこのためです。
症状
産後から、お腹の周期的な陣痛に似た痛みがあれば、後陣痛と考えられます。
子宮が大きく引き延ばされた場合(双子、三つ子の分娩や羊水過多など)や、経産婦は、痛みが強くなる傾向があります。また、授乳の際に痛みが強くなるのが特徴です。
治療
内服や坐薬などの鎮痛剤の使用により痛みはいくらか緩和されます。後陣痛は子宮を元に戻すために必要な生理的現象(子宮復古といいます)ですので、時間の経過により徐々に痛みは少なくなっていきます。
また、一時的にお腹を温める、腹帯などを巻く、クッションなどを抱えた体勢をとることで、痛みが和らぐこともあります。
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