せいさくすいしゅ

精索水腫

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

胎児期に精巣が陰嚢内に降りてくる時期に、隣り合っている腹膜も内鼠経輪から精巣を包む形で鞘状突起として出てきます。精索水腫とは、精索を包む腹膜鞘状突起という膜の中に腹膜浸出液が溜まった状態です。精巣に溜まると陰嚢水腫と呼ばれます。精索部の鞘状突起に液の貯留があれば精索水腫ということになります。

原因

乳幼児の場合は腹膜鞘状突起の閉鎖不全(交通性)によるものが多いです。多くの場合自然消失するので経過観察を行います。学童期まで残存した場合は治療が必要です。
成人の精索水腫は浸出液の吸収障害が原因と考えられています。その他、炎症後やフィラリア感染後、精索静脈瘤術後などにより二次的に生じることもあります。
 

症状

陰嚢腫大で受診する場合がほとんどです。通常、陰嚢部分の皮膚の発赤や疼痛などを伴うことはありません。特に乳幼児の交通性の場合、泣いたときやお腹に力を入れたときに大きくなることがあります。

検査・診断

精索水腫では精巣は陰嚢内に蝕知され、上部に表面が滑らかで弾性のある腫瘤に触れます。診断をより確実にするため、腫瘤部にペンライトを当てて透過性(ライトが透けて見えるか)を確認します。

また、精巣腫瘍や鼠経ヘルニアなどでないことを確認できるため、超音波検査も有用な検査です。
 

治療

1歳未満の場合は自然治癒の可能性があるため、原則は経過観察となります。穿刺は治癒率を下げるため行いません。しかし、1歳を過ぎても症状が改善しない、もしくは停留精巣・鼠経ヘルニアを合併している場合には手術を実施します。

成人の精索水腫は穿刺を実施して経過を見ることもあります。しかし数か月で再発することが多いため、手術療法が勧められます。抗菌薬の局所注入による硬化療法もありますがあまり頻度は高くありません。

小児の場合と成人では手術法が異なります。特に小児が鼠経ヘルニアを合併している場合、鼠径部を切開して下降してきた腹膜鞘状突起を遮断します。次いで精巣が挙上してしまわないように精索を剥離したのち、陰嚢を切開して皮下にポケットを作成、この中に精巣を収めて固定します。精巣の発育が非常に悪い場合は摘出することもあります。

成人は腹腔と交通していないことが多いです。そのため鼠径部の切開はせず陰嚢の切開のみで、水腫の袋を切開したのち反転させて縫合します。
 

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