けつまくえん

結膜炎

最終更新日:
2021年06月14日
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2021/06/14
更新しました
2017/04/25
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概要

結膜炎とは、何らかの原因で目の結膜に炎症が起こる病気です。

結膜は、まぶたの裏側から折り返して角膜までを覆っている薄い膜で、眼球内への異物の侵入を防ぎ、表面を涙の薄い層で覆って目に潤いを与えるはたらきがあります。

しかし、目を開けている間は常に外界にさらされており、涙による水分や栄養が豊富なため、細菌やウイルスによる感染症を起こしやすい部位でもあります。

原因

結膜炎の原因は大きく分けて3つあります。

ウイルス性結膜炎

ウイルス感染によるものです。代表的なウイルス性結膜炎には、アデノウイルスによる流行性角結膜炎や咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)(プール熱)、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる急性出血性結膜炎があります。

細菌性結膜炎

細菌感染によるもので、原因となる細菌は多種多様です。免疫力が弱いと、インフルエンザ桿菌(かんきん)や黄色ブドウ球菌などの感染力が弱い細菌でも炎症を起こすことがあります。

また、クラミジアや淋菌(りんきん)に感染した人の体液が目に入ることでそれらの細菌に感染することもあり、これらが原因で生じる結膜炎は性感染症の病型の1つでもあります。

そのほかにも、コンタクトレンズの不適切な保存によって、保存液に(りょくのうきん)などが繁殖し、そのまま装着することで生じる結膜炎も問題となっています。

アレルギー性結膜炎

花粉やハウスダスト、動物の毛、コンタクトレンズの汚れなど、特定のアレルゲンにさらされて起こるものです。アレルギー反応の一種であり、季節性と通年性の両方があります。

その他

そのほかの原因として、長期間にわたってステロイド点眼薬を使用することにより真菌感染を生じることがあります。

症状

結膜炎はどのタイプでも以下のような症状がみられます。

  • 結膜の充血
  • 目やに
  • 目のかゆみ
  • 異物感
  • 涙の分泌過多

アレルギー性結膜炎では、目のかゆみに加えて鼻汁や鼻閉など、ほかのアレルギー症状が現れることもあります。

重症なアレルギー性結膜炎として、春季(しゅんき)カタルという病気があり、一般的な症状のほかにまぶたの裏に粘膜の盛り上がりができることがあります。これによって角膜が傷つき、重症な場合には角膜潰瘍(かくまくかいよう)を現し失明に至ることもあります。

一方、眼症状が重度で全身に症状が引き起こされるのは、ウイルス性結膜炎と細菌性結膜炎です。

ウイルス性結膜炎

発熱や喉の痛みを併発することが多く、頚部リンパ節が腫れることも多々あります。また、結膜の充血は重度で、なかには結膜下出血を起こして目が真っ赤になることもあります。

特に流行性角結膜炎では、角膜に点状の濁りができることがあります。改善することが多いですが、視力の低下を感じる人もいます。

細菌性結膜炎

結膜の充血よりも目やにが目立ち、眼痛が出現することもあります。感染力の強い細菌の場合には結膜だけでなく角膜にも炎症が波及することがあり、角膜が濁って視力障害を残すこともあるため適切な治療が必要になります。

検査・診断

結膜炎の検査には、目の状態を評価するものと、原因を探すものの2種類があります。

目の状態を評価するもの

視力検査

視力の測定によって、視力が低下していないかを評価する検査です。重症な細菌性結膜炎やアデノウイルスによる流行性角結膜炎などでは、角膜まで炎症が波及して視力低下を引き起こすことがあります。

細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査

結膜と角膜の状態を詳しく診察する検査です。結膜の炎症の程度や結膜下出血、角膜の混濁や潰瘍などを観察することができます。

また、眼球の断面に沿って水晶体や硝子体を観察することができ、ほかの病気との鑑別(見分けること)にも有用です。

原因を探す検査

眼脂検査

目やにの一部を採取して、原因となるウイルスや細菌を特定する検査です。

アデノウイルスは迅速診断キットにより陽性か陰性かを判断することが可能ですが、一般的には細菌培養検査などが行われます。

特に細菌性結膜炎の場合には、原因菌を特定することで適切な抗生物質を選択することができます。アレルギーの原因となるIgEを検出する迅速診断キットもあります。

血液検査

主にアレルギー性結膜炎で、アレルゲンを調べるために行われます。また、ウイルス性結膜炎などで高熱や咽頭痛などの全身症状がある場合には、炎症や脱水の程度を評価するために行われることもあります。

治療

結膜炎の治療は、原因によって異なります。

ウイルス性結膜炎

アデノウイルスなどの抗ウイルス薬がないものは根本的な治療法がなく、炎症を抑えるためのステロイド点眼や細菌感染予防のために抗菌薬の点眼が対処療法として行われます。

一方、ヘルペス性結膜炎では、抗ヘルペス薬の眼軟膏が使用されます。

また、ウイルス性結膜炎を発症すると細菌感染を併発することがあり、予防として抗生物質が含まれた点眼薬を使用されることがあります。

細菌性結膜炎

基本的には抗生物質が含まれた点眼薬の使用のみで治癒します。しかし、重度な炎症が起きている場合や、角膜に混濁が見られるような場合には抗生物質入りの眼軟膏で目を覆い、抗生物質の内服が行われることもあります。

アレルギー性結膜炎

アレルギー反応を抑えるステロイド点眼や抗アレルギー薬の内服が行われます。

アレルゲンが判明している場合には、できる限り生活の中からアレルゲンを排除することも必要です。

また、重症な春季カタルでステロイド点眼が効かないときには、免疫抑制効果のある点眼薬が使用されます。しかし、重度な細菌感染などの合併症を起こすこともあるため注意が必要です。

予防

ウイルスや細菌が付着した手指で目をこすったりすると結膜炎を起こすことがあります。うつる可能性のある結膜炎の感染を予防するためには、こまめに手洗いをする、タオルなどの顔に触れるものは共用で使用しないなどの対策が有効です。

アレルギー性結膜炎ではアレルゲンを避ける対策をするとよいでしょう。花粉症の時期にはゴーグルをかけて目に花粉が入らないようにします。ハウスダストの対策には週に2回は掃除を行う、ほこりが付きそうな物をあまり置かないようにする、ダニ防止用のカバーを使用するなどの方法があります。

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