きんし

近視

最終更新日:
2022年10月03日
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2022/10/03
更新しました
2017/04/25
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概要

近視とは、近くのものを見るときは目のピントが合うものの、遠くのものを見るときはうまくピントが合わせられずにぼやけて見えるようになる病気のことです。

私たちの目の構造はカメラに例えられます。光は、レンズのはたらきをする“水晶体”を通って目の中に入り、フィルムの役割を果たす“網膜”と呼ばれる目の奥の部位にピントを合わせます。そして、網膜に写し出された情報が脳へ伝わることで私たちは目に映るものを認識することができるのです。

近視は、網膜より前方でピントが合ってしまうことが原因で引き起こされます。ピントの位置がずれる原因は、眼軸長(がんじくちょう)(目の奥行)が長いことや水晶体の屈折力が強すぎることなどが挙げられますが、多くは眼鏡やコンタクトレンズなどを使用することで視力を矯正することが可能です。一方、網膜などに病的な変化が生じると視力を矯正できなくなるケースもあります。

原因

近視は、網膜より手前の位置で目に入った光のピントが合ってしまうことが原因で引き起こされます。ピントの位置が前方にずれる原因としては、目の奥行が通常よりも長いこと、レンズのはたらきをする水晶体の屈折力が強いことが挙げられます。

発症には、遺伝的要因が関与すると考えられていて、両親が近視の場合は5倍、片親が近視の場合は2倍ほど発症率が上昇することが分かっています。また、環境的な要因も発症に関わっているとされており、近くのものを見る時間が多いこと、室内での活動が多いことなども原因とされています。近年ではパソコンやスマートフォン、ゲームなどを見る機会が増えたことに伴い、低年齢での発症増加が問題となっています。

また、幼少期から強い近視が生じる原因としてはマルファン症候群家族性滲出性硝子体網膜症(かぞくせいしんしゅつせいしょうしたいもうまくしょう)、早発型緑内障などの先天的な病気や水晶体の発育不全などが挙げられます。

症状

近視を発症すると、近くのものはしっかり見えるものの、遠くのものはぼやけて見える症状が現れます。

一般的には成長に伴い目の奥行が伸びることで学童期に発症するケースが多いですが、多くは眼鏡やコンタクトレンズなどで視力を矯正することが可能です。このような近視を“軸性近視”と呼びます。

一方、まれに目の奥の変形が著しく、網膜や視神経がダメージを受けて機能が低下する“病的近視”を発症することもあります。病的近視の場合は、眼鏡やコンタクトレンズで視力を矯正することはできず、進行すると失明するケースも少なくありません。

検査・診断

近視が疑われる場合は、以下のような検査が行われます。

視力検査

視力の状態を調べるための検査です。近視の有無だけでなく、重症度などを評価することができます。また、水晶体の屈折力を正しく評価するため、水晶体の厚みを調整する毛様体筋と呼ばれる筋肉のはたらきを抑える目薬を使用して視力を測定することもあります。

眼底検査

倒像鏡などの特殊な機器を用いて目の奥にある網膜の状態を調べる検査です。病的近視の場合は網膜の状態に変化がみられるため、軸性近視と病的近視の鑑別をすることが可能です。

光干渉断層計検査

網膜の断面を調べることができる検査で、病的近視が疑われる場合に行われます。網膜剥離(もうまくはくり)などの合併症の有無を評価することができます。

蛍光眼底造影検査

特殊な蛍光色素を含んだ造影剤を腕の血管から注射し、目の奥にある血管の状態を調べる検査です。病的近視が疑われる際に行われます。

治療

近視の多くは成長とともに目の奥行が長くなることによる軸性近視であるため、眼鏡やコンタクトレンズなどを使用して視力を矯正する治療が行われます。また、眼鏡やコンタクトレンズの使用によって日常生活に支障をきたしているような場合には、角膜の一部をレーザーで切除して屈折力を変える“LASIK(レーシック)”や水晶体の前面に人工のレンズを挿入するICL(アイシーエル)という手術が行われることもあります。

一方、上述した病的近視は眼鏡やコンタクトレンズで視力を矯正することはできず、治療方法は現在のところ確立していません。しかし、病的近視は網膜剥離緑内障などを合併しやすいため、それらに対しては手術や薬物治療を行う必要があります。

予防

近視を確実に予防できる方法は残念ながらありません。しかし、近視の発症は環境的な要因も大きいとされているため、進行を予防するためには近くのものを長時間見ないよう注意することが大切です。また、明るい屋外で1日2時間以上の活動をすることが推奨されています。

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