PFAPAしょうこうぐん

PFAPA症候群

同義語
周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群
最終更新日
2024年02月19日
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2024/02/19
更新しました
2023/12/26
掲載しました。

概要

PFAPA(Periodic Fever, Aphthous stomatitis, Pharyngitis, cervical Adenitis)症候群は、アフタ性口内炎扁桃炎咽頭炎、頚部のリンパ節炎を伴い、周期的に発熱を繰り返す自己炎症性疾患の1つです。3~4歳で発症することが多く、成長するにつれて自然に治癒する傾向があるものの、成人で発症するケースもみられます。

PFAPA症候群の原因は不明ですが、自然免疫*に関係するサイトカインという炎症に関わるタンパク質が過剰に作られることで、発熱をはじめとしたさまざまな症状が周期的に起こると推測されています。3~6日ほど続く発熱を、約3~8週間の間隔で繰り返すのが特徴です。

PFAPA症候群の治療では、一般的に全身状態が良好な場合は解熱薬(アセトアミノフェン)で対応します。状態に応じて発作予防としてのシメチジンや発熱発作時の副腎皮質ステロイド薬などの薬物療法で症状の緩和を行うほか、薬物療法の効果が低い場合などは扁桃の摘出術が検討されます。ただし、副腎皮質ステロイド使用後は発作間隔が短縮する場合があるほか、自然治癒が多い病気であることも踏まえ、適応について考慮する必要があります。

*自然免疫:生まれつき備わっている免疫で、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を最初に攻撃し、排除する。主にマクロファージや好中球、NK細胞などがはたらく。

原因

PFAPA症候群は、自然免疫に関係する炎症性サイトカインが過剰に作られ炎症が生じることで発症するといわれていますが、詳しくはまだ解明されていません。

明らかな遺伝性は示されていませんが、家族内で3割程度の発症がみられるという報告もあります。

症状

PFAPA症候群の主な症状は発熱で、併せてアフタ性口内炎咽頭炎リンパ節炎のほか、頭痛や嘔吐などが生じることもあります。鼻水や咳の症状は通常みられません。一般的に発熱症状は3~8週間の間隔で起こり、一度発症すると3~6日程度続きます。

発熱時に上記の症状を全て伴う場合もあれば、伴わない場合もあります。また、発熱発作がない期間(間欠期)はまったくの無症状です。

多くは3~4歳ごろで発症しますが、一般的に4~8年ほどで自然に軽快して、発熱発作はなくなるとされています。成長や発達への影響はないと考えられています。

検査・診断

PFAPA症候群は、診断基準をもとに臨床的に診断されます。

診断基準としては、5歳以前に一定間隔で繰り返される発熱が現れるほか、上気道感染の症状がなくアフタ性口内炎・頚部リンパ節炎咽頭炎のうち少なくとも1つが発熱に伴って生じることなどが挙げられます。しかし、6歳以上で発症するケースもある点などを考慮し、厚生労働省の研究班は“5歳までの発症”とする基準を必須項目から外した診断フローチャートを提示しています。診断フローチャートでは、周期的な発熱の頻度を6~12か月に3回以上としています。

また、炎症物質の値を調べるために血液検査を行うこともあります。血液検査では、発熱時に白血球やCPR、血清アミロイドAなど、さまざまな炎症を反映する項目で高値を示します。

治療

PFAPA症候群の多くは自然に軽快するため、患者の状態によっては経過観察する場合もありますが、薬物療法による予防治療や対症療法、扁桃摘出手術を検討することもあります。

薬物療法

薬物療法としては、副腎皮質ステロイド薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬のシメチジン、ロイコトリエン受容体拮抗薬が挙げられます。発熱発作には副腎皮質ステロイド薬がもっとも有効とされていますが、発作間隔が短縮する症例があります。また、シメチジンやロイコトリエン受容体拮抗薬は主に発熱発作の予防薬として、発熱期間の短縮と頻度の減少のために使用されます。

扁桃摘出術

発熱発作抑制にもっとも効果的な治療で、7~9割の患者で発熱症状が生じなくなるといわれています。しかし自然に軽快する可能性がある点を考慮し、手術の適応は慎重に検討されます。

手術は全身麻酔下で行い、開口器を使って口を開いた状態にして電気メスなどで口蓋扁桃を切除・摘出します。手術自体は1時間前後で終わりますが、出血や咽頭(いんとう)痛による経口摂取不良のリスクがあるため、術後に1週間前後の入院が必要です。

PFAPA症候群の患者さんとご家族の方へ

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