生理の量が少ない:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

生理の量が少ない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

女性は初経を迎えて以降、50歳前後で閉経を迎えるまで女性ホルモンの作用によって定期的に月経が起こります。月経は、妊娠に向けて子宮内膜が厚く成熟したものが()がれ落ち、血液とともに排出されるものです。月経血の正常量は20~140g(20~140ml)とされますが、厳密に計測するのが困難なため、量から判断することはありません。月経2日目であっても生理用品の交換が必要ない程度であれば経血量は少ないと考えられます。

  • 月経中にごく少量の経血が5日ほど続く
  • 月経期間が2日と短く、1回の月経での出血量が少ない
  • 経血量が少ない状態が続き、不妊に悩んでいる

これらの症状がみられた場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

経血量の減少は日常生活上の習慣が原因になることがあります。主な原因とそれぞれの対処法は以下の通りです。

女性ホルモンの分泌バランスはストレスや睡眠不足などの影響を受けやすく、月経周期の異常や経血量の減少を引き起こすことがあります。

ストレスを溜めないためには

社会生活を送るうえでストレスを完全に排除することは難しいですが、なるべく心身ともに無理のない生活を心がけ、自分に合ったストレス解消法を身につけましょう。また、十分な休息や睡眠時間を確保することも大切です。

スポーツ選手や過激なダイエットに多くみられる過度な運動や食事制限は卵巣機能の低下の原因になることがあり、結果として経血量減少につながることがあります。

適度な運動とダイエットを行うには

過度な運動や食事制限は卵巣機能の低下を引き起こし、月経の異常の原因になるだけでなく、全身にさまざまな悪影響を及ぼします。日常的に運動を行っている場合も摂取カロリーと消費カロリーのバランスに注意して、過度な体重や体脂肪の減少が生じないようにしましょう。

不特定多数との性行為などは性感染症のリスクになります。性感染症では子宮内膜炎をおこして子宮内の癒着の原因になることがあり、経血量の減少を引き起こすことがあります。

安全な性行為をするには

性感染症を予防するためには、不特定多数との性行為を避けること、コンドームを適切に使用することが必要です。特に、経口避妊薬を服用している人は妊娠の可能性が低いため、コンドームを使用しない人もいますが、性感染症は経口避妊薬では予防できないため注意しましょう。

日常生活上の対処法を講じても、月経量が少ないままの場合には思わぬ病気が潜んでいる可能性があります。なるべく早めに、それぞれの症状に適した診療科を受診して検査・治療を受けるようにしましょう。

経血量には個人差があります。しかし、極端に少ない場合や急激に少なくなった場合などには、以下のような病気が原因となることがあります。

月経の周期や量などは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスによってコントロールされています。そのため、女性ホルモンの分泌に異常が生じる以下のような病気によって経血量が少なくなることがあります。

多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群

卵巣に多数の嚢胞が生じ、排卵障害を引き起こす病気です。女性ホルモンの分泌バランスが乱れがちになり、排卵障害のために35日以上の月経周期がみられることがあります。また、子宮内膜の成熟が正常に行われないために経血量も減少します。肥満やにきび、毛深さといった全身症状のみられることがあります。

多嚢胞性卵巣症候群
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橋本病(甲状腺機能低下症)

甲状腺機能が低くなり、甲状腺ホルモンの分泌が低下する病気です。甲状腺ホルモンが減少すると、脳の視床下部から下垂体を刺激してTSH(甲状腺を刺激するホルモン)の産生を促すTSH放出ホルモン(TRH)の分泌が増加し、それが下垂体におけるTSH分泌のみではなく、プロラクチンの分泌も上昇させます。プロラクチンは、乳汁分泌を促し、卵巣機能を抑制する作用をもつホルモンです。このプロラクチンの上昇によるエストロゲンの低下のため、子宮内膜が正常に成熟せずに経血量が少なくなることがあります。また、肥満や脱毛、抑うつ気分、疲れやすさ、過眠など、全身にさまざまな症状を引き起こすことが特徴です。

慢性甲状腺炎
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下垂体腺腫

脳の下垂体にできる腫瘍(しゅよう)のことで、下垂体からのホルモン分泌に異常を引き起こします。それらの中にはプロラクチンの分泌量が過剰になるものもあり、排卵抑制から経血量の減少を引き起こします。特に自覚症状がないこともありますが、腺腫が大きくなると頭痛や目の痛み、吐き気などを伴うこともあります。

更年期障害

女性は50歳頃に閉経を迎えますが、その前後の5年間を更年期と呼び、女性ホルモンの分泌量が徐々に低下することで全身にさまざまな症状を引き起こし、更年期障害を発症することがあります。突然の発汗やのぼせ、イライラ感などの症状がありますが、排卵障害や子宮内膜の成熟障害によって経血量の減少がみられることもあります。

更年期障害
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月経は、妊娠に向けて成熟した子宮内膜が()がれ落ち、(ちつ)口から体外へ排出されるものです。このため、以下のような子宮に生じる病気によって経血量の減少を生じることがあります。

子宮腔癒着(ゆちゃく)

子宮内膜炎や子宮内掻爬(そうは)術などの後遺症として、子宮腔内の癒着がおこる病気です。不妊症の原因になるだけでなく、流産癒着胎盤などの原因となることもあります。重症な場合には子宮内膜が十分に成熟できず、経血量が減少することがあります。

子宮発育不全

生まれつき、子宮が正常に発育しない病気です。ターナー症候群などの染色体疾患による性腺形成不全に伴って卵巣機能が成熟しないためにエストロゲン分泌量が低く、子宮が発育しないため子宮内膜の量も少なく、経血量が少なくなります。

子宮発育不全症
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経血量には個人差があり、自分の量が正常なのか異常なのか判断するのは困難なことです。経血量が少なくても、異常と認識されずに放置されているケースも少なくありません。しかし、経血量の減少は思わぬ病気が潜んでいたり、将来的に不妊症につながったりする可能性があるため注意が必要です。

特に、生理用品を交換する必要がないほど少量の出血しかない場合、月経が2日ほどで終了する場合、強い月経痛や普段から下腹部痛を伴う場合、乳汁分泌がある場合、日常的に性行為を行っているものの1年経っても妊娠に至らない場合などは、なるべく早めに病院を受診しましょう。

受診する診療科は婦人科がよいですが、不妊症を伴い妊娠・出産を希望する場合は不妊治療を行っている産婦人科で診察してもらうこともできます。また、明らかに甲状腺機能低下症などによる全身症状などがみられる場合には、内科で相談することも1つの方法です。

受診の際は、いつから経血量が少ないのか、月経周期や妊娠・出産歴、随伴症状などを詳しく医師に説明しましょう。また、月経周期が乱れがちの人は基礎体温を記録して持っていくと、診察がスムーズに進むこともあります。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 普段の月経とは時期や色合いなどが異なっている
  • 月経量が少ない・少なくなってきているように感じる

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 普段から低用量ピルを内服している
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。