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脳梗塞、脳出血、脳動脈瘤――脳外科手術の種類や術式について

脳梗塞、脳出血、脳動脈瘤――脳外科手術の種類や術式について
廣田 暢夫 先生

横須賀市立うわまち病院 第一脳神経外科 部長

廣田 暢夫 先生

目次
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この記事の最終更新は2017年02月14日です。

脳梗塞(のうこうそく)や脳内出血、脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)などは、脳外科手術によって治療が可能です。近年、カテーテル治療の発達により、脳外科手術の技術や質は大きく変わりつつあります。本記事では横須賀市立うわまち病院の脳外科専門医 廣田 暢夫先生に、脳外科手術の方法や、脳外科手術をより安心・安全に行うことを目指した取り組みを伺いました。

手術

脳外科手術とは、脳神経外科医が担当する領域であり、脳や脊髄、末梢神経といった神経系全般の病気に対して、外科的治療法を行うことを指します。病気や病態によっては手術療法のみでしか患者さんの命を救うことができないケースもあり、患者さんの一生を左右する可能性の大きい治療法といえます。手術療法の進歩により、従来手術方法がなかった病気が手術で治療可能になったものもあり、脳外科手術の対象となる病気は増えてきています。

脳

脳外科手術は主にどのような病気に対して行われるのでしょうか。日本脳神経外科学会広報委員会および日本脳神経外科コングレスが合同で作成した、「脳神経外科疾患情報ページ」では、脳神経外科疾患として下記が紹介されています。

脳外科手術というと、自宅などで倒れ、救急車で病院に運び込まれ、昼夜を問わず緊急の手術が行われるイメージが強いと思います。たしかに、脳出血や脳梗塞の急性期などは、どれほど早く治療できるかで生存率や後遺症の程度が大きく変わるため、緊急の対応が求められます。

その一方で、そういった病気と比べると手術の緊急性が低い脳神経外科疾患も多くあります。たとえば脳腫瘍脳動脈瘤、三叉神経痛や顔面けいれんなどは、いますぐ命に影響を及ぼす病気ではありません。脳外科手術では緊急性の高い病気だけではなく、こうしたさまざまな脳の病気も対象にしています。

脳外科手術の対象疾患には「緊急性の高いもの」と「緊急性の低いもの」がある

*三叉神経痛・顔面けいれんについては、記事2『顔が痛い、ピクピクする、けいれんする症状は手術で治るケースも――三叉神経痛・顔面けいれん手術について』をご覧ください。

実際に脳外科手術にはどのような手法があるのでしょうか。ここでは主要な脳外科手術を紹介します。

主な脳外科手術の種類

外科手術風景

くも膜下出血や頭部外傷では、脳の血管が破れたり、頭蓋骨内の出血によって脳が圧迫されたり、脳の血管が詰まるなど、患者さんは非常に危険な状態にさらされています。そうした状態に一刻も早く対応するため、夜間であっても緊急手術が必要です。

カテーテルとは、医療用に用いられるプラスチック製の管であり、体の中に差し込んで使用することで、体にメスを入れて開く手術に比べ、小さな傷口のみで外科治療を行うことができます。近年このカテーテル手術が進歩を続けており、脳外科手術の質が向上しています。よりよい治療を実現するためにこのようなカテーテル治療の技術の習得がどの病院にも求められています。

近年、脳梗塞への血管内治療の重要性が示され、どの病院でも標準治療として行われることが求められつつあります。

脳血管内治療とは、脳の病気に対して、頭を開かずに、血管内からカテーテルを入れることで治療をする方法です。2016年に発表されたHERMESという研究では、この血管治療を行わない患者さんよりも、血管内治療を行った患者さんのほうが社会復帰率、在宅復帰率が向上したという試験結果が報告されました。この研究発表を受け、2016年11月に神戸で行われた第32回日本脳神経血管内治療学会学術総会では「脳梗塞に対する血管内治療の普及に関する学会宣言(神戸宣言)」が発表されました。そのため、各医療機関がよりよい治療を患者さんに提供するために血管内治療の普及を目指しています。

*Goyal M, et al. Lancet. 2016.

広田先生

このような脳外科手術の治療体制や技術が求められるなか、病院ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。一例として、横須賀市立うわまち病院 脳神経外科の取り組みをご紹介します。

当院には現在脳外科医が6名勤務しています。このように多くの脳外科医が勤務していることは、とても充実した体制だといえます。このような充実したマンパワーのおかげで、365日24時間体制で毎日脳外科医が対応できる環境が整い、常に患者さんを受け入れられるシステムを構築しています。

日本では、多忙な脳外科医は比較的希望者が少ないことから、脳外科医の医師不足が懸念されています。しかし、当院ではカテーテル手術など高度な医療を学びたいという若い医師や、中堅の先生を中心に人材が集まり、充実した体制を整えることができました。

こうした充実した体制を構築できることで、大きなキャパシティを確保でき、患者さんを常に受け入れることができています。そして治療経験を多く積むことで、私たちの技術もより磨かれていきます。そうすることで患者さんによりよい医療を提供できると考えています。

日本脳神経血管内治療学会という脳血管内治療(カテーテル治療)の学会では、脳神経血管内治療を専門とする優れた医師を「脳血管内治療専門医」と定めています。脳血管内治療専門医は、治療経験の審査、筆記試験、口頭試問、実技審査を通過して初めて認定されます。さらに専門医の中で審査を通過し、定められた基準をクリアした医師は「指導医」になることができます。

脳血管内治療の指導医がいる医療施設は「脳血管内治療の指導施設」と定められ、脳血管内治療を積極的に行う治療体制が敷かれます。このような環境も、意欲の高い脳外科医が集まってくる要因の1つでしょう。

横須賀市立うわまち病院ホームページ(脳神経外科)はこちら
 

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    廣田 暢夫 先生

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