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未破裂脳動脈瘤における治療——カテーテル治療を中心に治療内容や治療の適応、横須賀市立うわまち病院の診療体制について解説

未破裂脳動脈瘤における治療——カテーテル治療を中心に治療内容や治療の適応、横須賀市立うわまち病院の診療体制について解説
廣田 暢夫 先生

横須賀市立うわまち病院 第一脳神経外科 部長

廣田 暢夫 先生

目次
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未破裂脳動脈瘤(みはれつのうどうみゃくりゅう)は、破裂すると“くも膜下出血”に至ります。これを予防するためにも、対処が必要と判断された場合は、それぞれに適した治療を行うことが重要です。横須賀市立うわまち病院では、未破裂脳動脈瘤に対する治療として、開頭して行う脳動脈瘤クリッピング術と、開頭しない脳動脈瘤コイル塞栓術(そくせんじゅつ)、いわゆるカテーテル治療を提供できる体制が整えられています。

また患者さんの状態によっては、経過観察で問題がないケースも少なくありません。そのため、同院では、病気の状態や医学的視点、および患者さんのニーズを含めて、治療方針を検討することを大切にしているといいます。

横須賀市立うわまち病院の廣田 暢夫(ひろた のぶお)先生に、カテーテル治療を中心に未破裂脳動脈瘤の治療の内容や適応条件、同院の診療体制についてお話を伺いました。

未破裂脳動脈瘤に対して行われる治療には、開頭して行う脳動脈瘤クリッピング術と、開頭せずに行う脳動脈瘤コイル塞栓術、いわゆるカテーテル治療があります。そのほか、2020年1月現在では、通常のステント*よりも網目の細かいフローダイバーターステントを使用するカテーテル治療も注目されつつあります。

当院においては、脳動脈瘤クリッピング術、および脳動脈瘤コイル塞栓術を中心に治療を行っており、未破裂脳動脈瘤の大きさや形、位置などにより、患者さんごとに適した治療をご提案しています。また、より患者さんの体への負担の少ない治療を提供するために、フローダイバーターステントを用いた治療を提供できる体制の構築を目指しています。

未破裂脳動脈瘤の主要な治療の1つである脳動脈瘤クリッピング術は、開頭して直接確認しながらコブの根元にクリップをかける治療方法です。脳動脈瘤クリッピング術によって完全にクリップがかかれば、コブ内への血流を遮断することができるため、破裂の危険性や、その部位が再発する可能性は低くなります。

しかし、脳動脈瘤クリッピング術は開頭手術であることから、カテーテル治療と比べて患者さんの体への負担がやや大きくなります。また、手術後に合併症や後遺症などが残ってしまうこともごくまれにみられますが、歴史の長い治療方法で長期的な治療成績が周知されていることから、2020年1月現在でも日本ではカテーテル治療と同様に取り入れられています。

クリッピング術

脳動脈瘤コイル塞栓術は、主に足の付け根からカテーテルを挿入して脳動脈瘤に到達後、コブの中にコイルを詰めて留置する治療方法です。コイルを詰めることにより、血栓ができ、破裂の危険性を抑えることができます。血管の中を通して動脈瘤への治療を行う血管内治療のため、脳の深い位置にある動脈瘤も治療の対象になります。また、開頭する必要がないことから、脳動脈瘤クリッピング術よりも患者さんの体への負担が少ない治療方法とされています。

脳動脈瘤コイル塞栓術

未破裂脳動脈瘤の中にはネック**がくびれていないものもあり、そのような場合に動脈瘤の中で巻いたコイルが正常な血管に出てきてしまうことがあります。そのはみ出してしまう状態を防ぐために用いられるのがステントと呼ばれるものです。コイルを入れた動脈瘤の入り口をステントでカバーするように入れることで、コイルがはみ出してしまうことを防ぐことができます。医療機関により多少異なりますが、脳動脈瘤コイル塞栓術を受けた場合には、手術後は翌日から歩行することが可能で、おおよそ3〜5日程度での退院ができます。

脳動脈瘤コイル塞栓術

また先述したとおり、近年ではフローダイバーターステントを用いた治療も注目されています。これは、通常のステントの網目をさらに細かくしたもので、動脈瘤への血流を止めやすいという特徴があるだけでなく、動脈瘤を血栓化することにもつながるとされています。そのため、患者さんへの負担が少ない治療として注目されており、カテーテル治療の選択肢として今後発展してくる分野となるでしょう。

*ステント:動脈瘤に置いたコイルがはみ出すのを防ぐために使用される網目状の筒。

**ネック:未破裂脳動脈瘤の入り口部分。

日本脳ドック学会によると、未破裂脳動脈瘤が発見された患者さんに対して、手術的治療をすすめるのは“脳動脈瘤の大きさや年齢、全身状態などの条件が手術の妨げにならないこと”という内容が示されています。

手術的治療をすすめるのは、以下の条件に該当する場合です。

  • 一般的に脳動脈瘤の大きさが5mm前後を超えること
  • 年齢が70歳以下であること(多少の前後あり)
  • 全身状態などのそのほかの条件が手術の妨げにならないこと

しかし、『未破裂脳動脈瘤とはどんな病気? 病気の概要や検査、治療について解説』でご説明したとおり、未破裂脳動脈瘤は動脈瘤の大きさや形、位置によって破裂する可能性が異なるため、条件に該当しない場合であっても総合的に判断して外科的手術をすすめることもあります。また、治療方針の決定は、患者さんのニーズや医学観点を踏まえて、話し合いながら決めていきます。

未破裂脳動脈瘤は動脈瘤の大きさや形、位置によって破裂するリスクが変わります。検査の結果、コブの大きさが5〜7mm以下で、かつ形や位置に問題がないと判断された場合などには、経過観察で様子を見る患者さんもいらっしゃいます。経過観察をご希望された患者さんは、基本的に半年〜1年を目処にMRIやCT検査を受けることが望ましいとされています。

当院では、患者さんから十分にご納得いただいたうえで、治療をすることを大切にしています。たとえば、未破裂脳動脈瘤と診断した際には今後の治療方針の選択肢について、しっかりとお伝えすることを心がけていますし、治療を選択された方には治療内容や治療のリスク、合併症についてなどを説明し、患者さんに十分に納得していただけるように努めています。さらに、患者さんのニーズやそのご家族、パートナーの方のニーズもお伺いし、そのうえで最終的な治療方針を決定しています。そのため、患者さんお一人で抱え込まずに、ぜひご家族やパートナーの方も一緒に来院してほしいと思います。

また、経過観察の患者さんに定期的に検診を受けていただくことはもちろん、脳動脈瘤クリッピング術および脳動脈瘤コイル塞栓術などの治療を受けた患者さんについても、状態が安定しているか否かを長期間にわたり診ていくようにしています。定期的な検診で異変がみられる場合には、再度治療方針について共に話し合う体制を大切にしています。

未破裂脳動脈瘤があると診断され、治療や経過観察をしている間、不安な気持ちで過ごされている方もいらっしゃると思います。その場合は、定期的な受診の際などに、医師に質問をしていただけたらと思います。

当院では紹介状を持参されている患者さんの受け入れを積極的に行うだけでなく、外来での受付も行っています。不安な症状や気になる症状がある方は、迷わずに受診してください。

そして、未破裂脳動脈瘤と診断された患者さんの中には、不安からほかの病院の先生にも意見を聞いてみたいと思う方もいらっしゃることでしょう。そのため、当院ではセカンドオピニオンの受け入れも行っています。「かかりつけ医の先生以外の意見を聞いてみたい」などの思いがある方は、ぜひ受診してください。

未破裂脳動脈瘤が将来破裂してしまうかどうかを予測することはできません。しかし、患者さんの状態を把握したうえで、医学観点からの意見をお伝えし、患者さんやそのご家族、パートナーの方のニーズを大切した治療方針を検討することはできます。「不安だからどうしても治療してほしい」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいますし、「今のところは問題ないのであれば、経過観察でいい」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。私は、その患者さんの思いを汲み取り、そのうえでより患者さんに適した治療を提供することを心がけています。そのため、体に異変を感じた際には、迷わず医療機関を受診してほしいと思います。

不安な気持ちはお一人で抱え込まず、当院を受診した際には私たちに相談してください。

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    廣田 暢夫 先生

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