うったいせいひふえん

うっ滞性皮膚炎

最終更新日:
2023年09月20日
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2023/09/20
更新しました
2017/04/25
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概要

うっ滞性皮膚炎とは、主に膝より下の血液や体液の流れが滞り、その部分の皮膚に炎症が起こる病気です。血液や体液が正常に流れなくなる下肢の慢性静脈不全症の症状がある人に発症します。慢性静脈不全症は、足のむくみのほか血管がこぶ状に浮き上がって見えるようになる下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)などが原因で生じる病態で、進行するとうっ滞性皮膚炎の発症につながります。

特に長時間の立ち仕事をする方に多くみられるほか、高齢者や肥満傾向にある女性に多く発症するといわれています。また、女性では妊娠も原因の1つとして知られています。

最初はかゆみや皮膚の赤み、角質の剥がれ(うろこ状のくず)が生じ、その後皮膚が暗褐色に変化して潰瘍(かいよう)(ただれ)ができるようになります。

治療は薬物療法や圧迫療法が行われますが、症状によっては外科的治療を行う場合もあります。

原因

うっ滞性皮膚炎は、慢性静脈不全症の患者に発症しやすいと考えられています。慢性静脈不全症の原因のとして知られる下肢静脈瘤の発症要因としては、長時間の立ち仕事や妊娠などが挙げられます。

慢性静脈不全症は、下肢静脈瘤や筋力低下、深部静脈血栓症などが原因で下肢の血流が悪くなり、静脈圧が上昇することにより発症します。静脈は全身を巡った血液が心臓に戻る血管であり、下肢の循環は、ふくらはぎの筋肉の収縮によってコントロールされています。そのため筋肉の収縮力が低下したり、血管が血栓(血の塊)で塞がれてしまったりすると、血流が滞って慢性静脈不全症やうっ滞性皮膚炎の発症につながります。

症状

発症早期には、足の皮膚に赤みや角質の剥がれ、かゆみが生じます。皮膚の赤みは数週間から数か月で黒みを帯びた褐色へと変色し、その部分の皮膚が破れて潰瘍ができます。うっ滞性皮膚炎自体は痛みを伴わない病気ですが、潰瘍ができた場合は皮下組織が露出した状態となり痛みを伴います。

そのほか、皮膚が硬く厚くなって痛みを伴う硬化性脂肪織炎(こうかせいしぼうしきえん)を合併することもあります。

検査・診断

うっ滞性皮膚炎の診断は、皮膚症状の外観や慢性静脈不全症などの有無によって行われます。病変部をより詳しく調べるため、超音波検査などの画像検査を行うこともあります。

治療

うっ滞性皮膚炎の治療は、保存的治療と手術治療の2種類に分けられます。

保存的治療は、弾性包帯や弾性ストッキングで下肢を圧迫する“圧迫療法”が中心となりますが、かゆみの強い場合などはステロイド外用薬を使用することもあります。

保存的治療と併せて、下肢静脈瘤の根治を図る場合には以下の治療を検討します。

  • 結紮(けっさつ)療法……病的血管を縛って切除する
  • 静脈抜去術……足を2か所切開してワイヤーを通し、病的血管を除去する
  • 血管内焼灼術……静脈瘤に対してレーザーや高周波を当て、血管を閉塞させる
  • 血管内塞栓術(グルー治療)……医療用のグルー(英語で接着剤の意味)を静脈に注入して静脈瘤を塞栓させる
  • 硬化療法……部分的に硬化薬を静脈内に注射し、病的血管を硬化させる

予防

慢性静脈不全症の予防が重要といえます。

慢性静脈不全症は、深部静脈血栓症の発症後にみられることがあります。深部静脈血栓症発症後には、抗凝固療法などの治療に加え圧迫ストッキングの着用が重要です。医師の指示に従い、指定の期間着用するようにしましょう。

また、生活習慣を改善することも重要です。体重が重過ぎる場合には減量を行い、減塩や適度な運動などを心がけましょう。

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