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スポロトリコーシス

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

スポロトリコーシスとは、真菌の一種であるSporothrix schenckiiに感染することで引き起こされる病気を指します。本菌は環境中に広く生息する真菌であり、土壌やプランター、干し草、水苔などあらゆるところに認められます。こうした分布環境のため、農作業従事者や土いじりをする小児に見られることが多くなります。

傷口を介してSporothrix schenckiiに感染すると、感染部位に一致して皮膚の盛り上がりや色調の変化などがみられます。またHIVなどの免疫不全状態があると、全身に病原体が広がり、咳や関節痛、けいれんなどの症状が現れることもあります。

原因

Sporothrix schenckiiは土壌を中心として広く環境中に生息する真菌であるため、土に触れる機会が多いと病気の発症リスクが高くなります。具体的には、農業に従事する方、プランターを扱う作業をする方、土で遊ぶことの多い小児などです。また、ネコやイヌなどの動物に噛まれることで感染することがあります。
 

症状

スポロトリコーシスの症状は、病原体がどの組織で悪さをしているかによって異なります。もっとも多いのは、皮膚に症状が現れるタイプです。傷口などからSporothrix schenckiiに感染して1〜12週間ほどの潜伏期間を経てから症状が現れます。皮膚の盛り上がりを呈し、大きくなった後に潰瘍(かいよう)形成に至ることがあります。痛みやかゆみなどの自覚症状を伴うことは、基本的にはありません。

皮膚局所から病原体が侵入すると、病変部位に位置するリンパ管の流れに乗って、傷口から離れた部位に病原体が広がることがあります。病変が広がる際には、先に述べたような皮膚所見が飛び石状に点在するようになります。

免疫不全患者などでは、Sporothrix schenckiiに感染すると全身症状が現れることもあります。肺に感染して咳や呼吸困難、胸痛などをみたり、、関節リウマチに類似する関節所見をみたりすることがあります。さらには中枢神経系に病原体が侵入することもあり、この場合には頭痛やけいれん、意識障害などの症状が現れます。

検査・診断

スポロトリコーシスの診断は、病変部位の生検を行い、Sporothrix schenckiiを証明することでなされます。病原体の証明のために、特徴的な変化を確認したり、直接的に培養をしたりすることがあります。

また、Sporothrix schenckiiは、ヒトの細胞が有していない特異的な遺伝子を有していることも知られています。病原体特有の遺伝子の存在によって診断をすることもあります。具体的には、PCR法と呼ばれる方法にて、病原体特有の遺伝子を増幅させます。

治療

スポロトリコーシスには、温熱療法や薬物療法が行われます。Sporothrix schenckiiは37度以上の温度では発育しにくくなる性質があり、この性質を利用して治療を行うのが温熱療法になります。具体的には、使い捨てカイロなどを用いて一定時間局所を暖めることになり、数か月間継続することで治癒を期待します。その他、内服薬としてヨウ化カリウムやイトラコナゾールなどの薬剤が使用されます。

皮膚所見に留まらないスポロトリコーシスの場合、アムホテリシンの点滴治療が必要となります。また肺に病変がある場合には、状況に応じて手術的に摘出を受けることが必要になります。

スポロトリコーシスは、長期的な治療介入が必要とされる疾患です。薬物治療による副作用が現れる可能性もあるため、医師の指導のもと適切な治療を受けることがとても大切です。また、治療終了後も病状が再燃することもあるため、注意深い経過観察も必要です。

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