どうみゃくこうか

動脈硬化

同義語
動脈硬化症
最終更新日:
2022年12月20日
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2022/12/20
更新しました
2017/04/25
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概要

動脈硬化とは、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われた状態のことを意味します。

動脈は心臓から送り出される血液を全身に運ぶ役目を担うため、本来は弾力性があってしなやかな組織でできています。しかし、加齢による組織の変化や高血圧糖尿病脂質異常症などの病気によって血管の内膜(内側の壁)にダメージが加わり続けることで新しい細胞が作られなくなると、動脈は弾力性を失って硬くなっていくのです。

また、ダメージを受けた動脈の内膜にはコレステロールなどが沈着しやすくなり、血管を細くして狭心症(きょうしんしょう)を引き起こすことが知られています。さらに、内膜に沈着した塊が剥がれると血管を詰まらせて、心筋梗塞(しんきんこうそく)脳梗塞など命に関わる病気を引き起こすことも少なくありません。一方で、動脈硬化が進行して血管が(もろ)くなると、血圧が上がったときなどに破けて脳出血を起こすリスクも高くなります。

動脈硬化は高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などのリスクが重なるほど発症率が高くなることが分かっています。10歳代から徐々に進行していくことも分かっており、発症を予防するためには生活習慣の改善と生活習慣病の適切な治療継続が必要です。

原因

動脈硬化の発症メカニズムは明確に解明されていない部分も多いのが現状です。

しかし、動脈硬化は加齢による動脈組織の変化、高血圧糖尿病脂質異常症、肥満などによって血管の内膜に長期間ダメージが加わり、血管の新しい細胞が作られなくなっていくことが原因と考えられています。

そのほかにも動脈硬化のリスクとしては、喫煙、運動不足、過度なストレス、偏った食事、飲酒などが挙げられます。一般的には、これらのリスクが複数重なるほど動脈硬化を発症するリスクが高くなります。

症状

動脈硬化は動脈が細くなり、弾力性が失われて硬く脆くなっていく状態のことを指します。

動脈硬化には、症状の現れ方にいくつかのパターンがあります。

大動脈など太い血管に起こりやすいのは“粥状動脈硬化(じゅくじょうどうみゃくこうか)”と呼ばれ、ダメージを受けた動脈の内側の壁にコレステロールが沈着して塊(プラーク)を形成します。動脈の壁に沈着したプラークが剥がれると血管を詰まらせ、心筋梗塞脳梗塞などを引き起こします。また、冠動脈にプラークが形成されると冠動脈が狭くなって血流が悪くなり、狭心症の原因となることも少なくありません。

一方、脳や腎臓などの細い動脈に生じる動脈硬化は“細動脈硬化”と呼ばれ、動脈が脆くなることで血圧の変化などに柔軟に変化することができずに破れて脳出血などを引き起こすこともあります。そのほか、動脈硬化には動脈の中膜と呼ばれる血管壁の内部にカルシウムが沈着することによる“メンケルベルグ型硬化”があります。

細動脈硬化やメンケルベルグ型硬化は血管の中膜が硬くなり、動脈瘤(どうみゃくりゅう)や動脈解離を引き起こすリスクが高くなるとされています。基本的に症状はありませんが、大動脈瘤破裂や大動脈解離などを引き起こして死に至ることもあるため注意が必要です。

検査・診断

動脈硬化が疑われるときには、以下のような検査が行われます。

血液検査

動脈硬化は糖尿病脂質異常症などの生活習慣病によって引き起こされることが多いため、それらの有無や重症度を評価するために血液検査を行うのが一般的です。

画像検査

血管の石灰化や変形の有無を調べるため、超音波、CT、MRIなどの検査が行われます。動脈解離や動脈瘤などが疑われる場合は、造影剤を用いた画像検査を行う必要があります。

また、超音波検査では、血管に沈着したプラークの大きさや動脈の厚さ、血流の速さなどを調べることも可能です。

血管機能検査

動脈硬化の診断に必要な検査の1つです。

血管機能検査には、血管の硬さを評価する心臓足首血管指数(CAVI)、脈波伝播速度(PWV)、足関節上腕血圧比(ABI)があります。

治療

一度、動脈硬化が生じた動脈を元の状態に戻す方法は残念ながら確立していません。そのため、動脈硬化と診断された場合は、進行を抑制して心筋梗塞脳卒中などの合併症を予防することが治療の主体となります。

具体的には、動脈硬化の原因となる種々の生活習慣を改善するために食事や運動習慣などを見直し、必要な場合は生活習慣病の適切な治療を継続していくことが大切です。

また、血流が悪い場合は血行を改善するための薬を使用した薬物療法、バイパス手術、カテーテル治療があります。動脈瘤などがある場合は手術で人工の血管に交換して破裂を予防する手術などが行われることもあります。

予防

動脈硬化は、高血圧糖尿病脂質異常症、肥満などの生活習慣病喫煙、運動不足、ストレス、偏った食事などの好ましくない生活習慣が原因で引き起こされます。発症を予防するには、日頃から食事や運動などの生活習慣を整えて生活習慣病を予防・改善することを心がけます。

なお、生活習慣の改善のみでは生活習慣病が改善できない場合は、適切な治療を続けていくことが大切です。

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