がいはいようけいせいいじょう

外胚葉形成不全症

最終更新日:
2018年09月06日
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2018/09/06
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概要

外胚葉形成不全症とは、皮膚や歯、毛髪など外胚葉(がいはいよう)と呼ばれる組織に由来する部位に異常を来たしている病気の総称です。「外胚葉形成異常」と呼称されることもあります。

外胚葉形成不全症には170種類以上の種類が存在しており、代表的なものでは汗をかきにくい無汗性外胚葉形成不全症があります。

また、皮膚や歯、汗の低下などの症状に加えて、免疫機能の低さから重篤な感染症を合併することもあり、これは、免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症(Anhidrotic ectodermal dysplasia with immunodeficiency; EDA-ID)と呼ばれています。

特に免疫不全を併発している場合には、感染症コントロールのため造血幹細胞移植療法が選択されることもあります。

原因

精子と卵子が受精した受精卵は、しばらくすると、外胚葉、中胚葉、内胚葉と呼ばれる3つの部分に分かれます。外胚葉からは、皮膚、汗腺、皮脂腺、毛、歯、水晶体、内耳などが形成されます。

外胚葉がこうした各種部位に発生する段階には数多くの遺伝子が関与しており、これらの遺伝子に異常が存在すると外胚葉形成不全症を発症します。

遺伝子異常の生じ方によって障害を受ける部位も異なるため、外胚葉形成不全症のパターン(異常のあらわれ方)は170種類以上にのぼります。

免疫不全を伴う外胚葉形成不全症(免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症)の原因として、これまで2つの遺伝子異常が報告されています。

X染色体劣性遺伝形式のNEMO異常症、常染色体優性遺伝形式のIKBα異常症が知られています。いずれもNF-κB活性化に関わる蛋白で、その異常により各種受容体からのシグナルによるNF-κB活性化の障害をきたします。

外胚葉の発生に重要な受容体(Ectodysplasin A receptor)からのシグナル伝達障害により外胚葉形成不全、自然免疫系の炎症に関わる受容体(TNF-α receptor、IL-1 receptor、Toll like receptor)のシグナル伝達障害により易感染性等の症状を伴います。

X染色体劣性遺伝形式では基本的に病気を発症するのは男性であり、女性が異常な遺伝子を有する場合は病気の保因者になります。常染色体優性遺伝形式では、両親いずれかが病気を有していると、次の世代に理論上50%の確率で病気が遺伝します。

症状

外胚葉形成不全症では、髪の毛、爪、歯、汗、皮膚など外胚葉系に由来する組織に異常を認めるようになります。

髪の毛はまばらに生え色素も薄くなります。爪は曲がって生えてくるだけでなく存在しないこともあります。健康な方の場合、歯は最大32本形成されますが、歯の本数が足りていなかったり形が変形したりすることもあります。

また、汗腺と呼ばれる汗を排出する穴が少なく、汗をかきにくいです。そのため、体温調節がうまくできず、体内に熱がこもって原因不明の発熱をたびたび起こすこともあります。皮膚には発疹が生じやすくなり、日焼けや感染症に弱くなります。

他にも、耳垢が溜まりやすく聴力障害を起こしやすい、涙が少なくドライアイになりやすいなど、さまざまな異常を抱えやすくなります。

外胚葉形成不全症では、さらに口蓋裂、免疫不全症、成長障害などをみることもあります。特に免疫不全症は重篤になることがあり、死につながることもあります。

検査・診断

外胚葉形成不全症の診断は、身体所見から得られる情報をもとになされます。外胚葉形成不全症は170種類以上が知られており、どの組織が障害を受けているかに応じて最終診断が下されることになります。

また、外胚葉形成不全症は遺伝子異常により発症するため、必要に応じて遺伝子検査が行われます。免疫不全症状が加わる場合には、免疫不全を伴う無汗性外胚葉形成異常症と診断されます。

治療

外胚葉形成不全症の治療では、症状に応じて対処する対症療法が中心になります。

たとえば、汗をかきにくいと熱を体内に溜め込むリスクが高くなるため、熱い環境を避けるような生活スタイルの構築、歯に異常を認める場合であれば歯科矯正や入れ歯インプラントなどによる歯科治療、ドライアイの傾向があれば目薬の使用による乾燥対策などがあります。

外胚葉形成不全症では免疫不全を伴うことがあり、細菌感染やウイルス感染を繰り返すほか、通常では問題にならない病原体が原因となる日和見感染症を発症することもあります。

こうした感染症の治療では、抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬などを選択しますが、重篤化する場合には造血幹細胞移植が行われることもあります。

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