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大腿骨骨幹部骨折

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

大腿骨骨幹部骨折とは、太ももの骨である大腿骨の中央部分にあたる骨幹部の骨折を指します。交通外傷などを原因として発症する骨折であり、骨折の発生は強い外的エネルギーが身体に加わったことを示唆しています。そのため、大腿骨以外の骨・内臓臓器にも同時に損傷を伴うことがあります。

大腿骨骨幹部骨折を発症すると、大腿部の痛みのために自立歩行をすることができなくなります。また下肢の変形がみられる場合もあります。成長期では、大腿骨幹部骨折が生じた場合、骨癒合能や自然矯正力が高く、多少ずれても問題なく治るため、保存的な治療方法を選択することも多いですが、成人では多くの場合、手術的治療が第一選択となります。

大腿骨骨幹部骨折では、受傷時の出血、長期臥床による深部静脈血栓症など多くの合併症が生じることも懸念されます。これら合併症に対応しながら治療がおこなわれます。

原因

太ももの骨を構成する骨を大腿骨(だいたいこつ)といいますが、部位に応じて大腿骨頚部、大腿骨転子部、大腿骨骨幹部などと名称がついています。大腿骨骨幹部とは大腿骨の中でももっとも長い中央部に相当する部位であり、この部分に生じた骨折のことを大腿骨骨幹部骨折と呼びます。

また、小児における虐待を原因として大腿骨骨幹部が生じることもあります。この場合も、全身各所にあざがみられたり、不自然な外傷・臓器損傷などが同時に確認されたりするケースが多いです。大腿骨骨幹部骨折が発症するまでの段階で栄養が充分与えられていないこともあり、身長や体重も同年齢のお子さんと比較して成長が乏しいこともあります。

そのほか、高所からの転落、銃器での損傷などによる外力も大腿骨骨幹部骨折の原因となります。高齢者においては骨の強度が弱いこともあり、より小さい外力で大腿骨骨幹部骨折が生じることもあります。

症状

大腿骨骨幹部骨折が生じると、発症直後からの急激かつ強い痛みを自覚するようになります。痛みのために自分自身の体重を受傷側の足にかけることができず、歩行をすることができなくなります。また、大腿骨には多くの筋肉が付いている関係もあり、大腿骨骨幹部骨折が生じると下肢の変形がみられます。変形をきたす結果、受傷側の足が直線ではなく大きく歪むこととなり、長さも健康側と比較して短く見えます。

大腿骨には多くの血液が流れており、大腿骨骨幹部骨折を生じると大量の出血(約1000~1500ml)が起こります。そのため、急速な経過で貧血を起こすことがあり、動悸や顔色不良、血圧低下などのショック状態をきたすこともあります。また、前述したように、大腿骨骨幹部骨折が生じる状況では全身各種に外傷による臓器損傷が生じていることもあります。こうした多発外傷の症状が出現していることもあります。

検査・診断

大腿骨骨幹部骨折の診断に際しては、受傷に関しての情報収集や詳細な身体所見を行うことが重要です。身体所見では皮膚を貫通して骨が出ていないかどうか、大腿部の変形の具合はどうか、大腿骨骨幹部骨折以外の受傷部位がないかを確認します。

引き続いて、レントゲン検査が行われることになります。大腿部のレントゲン写真を撮ることで骨折線や骨のずれ(転位)などの確認ができます。また、CT検査(エックス線を使って身体の断面を撮影する検査)を行うこともあります。画像検査では、局所の損傷のみならず全身各部位の変化を評価することもなされます。

また、大腿骨骨幹部骨折では貧血の進行をみることもあります。そのため、血圧の評価はもちろん、血液検査による貧血評価も重要となります。

治療

大腿骨骨幹部骨折では、年齢や重症度によって保存的療法をとるか手術療法をとるかが決定されます。成長期では骨折が生じた際、骨の治癒過程がとても早く保存的療法でも治癒が期待できます。骨の転位があれば可能な限り元の正しい位置に骨を整復し、固定をすることで治療します。

しかし、成人では治癒過程に時間がかることも予測され、長期臥床に伴う合併症が懸念されるため、多くは手術療法が選択されます。手術では髄内釘や金属プレートを用いた固定法が適宜選択されます。骨が皮膚から貫通してしまっている場合などは創部(損傷した部分)が汚染されており感染のリスクが高く、体表外から創部を固定する創外固定と呼ばれる固定法がとられます。

経過中には出血による貧血、長期臥床による深部静脈血栓症肺塞栓症、変形治癒や偽関節などの合併症も懸念されます。適宜に対応しつつリハビリを重ね、機能障害を残すことなく社会復帰できることを目指した治療を行います。

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