まんせいとうつう

慢性疼痛

最終更新日:
2024年04月10日
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2024/04/10
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概要

慢性疼痛とは、国際疼痛学会の定義によると3か月以上続いたり再発を繰り返したりする痛みで、一般的には治まると考えられる時間を超えて続く痛みとされています。

国際疼痛学会は痛みについて、不快な感覚と情動の体験と定義しており、それが持続する慢性疼痛は生物学的・心理社会的な要因によって引き起こされる病態と考えられています。

WHO(世界保健機関)が公表した『国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)』では、慢性疼痛は以下の2つに分類されています。

  • 生物学的に原因が明確な“慢性2次性疼痛(症候群)”
  • 生物学的な要素があってもそれだけでは説明ができない“慢性1次性疼痛”

前者には関節リウマチ変形性関節症などが、後者には線維筋痛症片頭痛などが代表としてあげられます。症状が長引いたり悪化したりすると、単純な要因で発症しても心理的に負担となり生活に支障が生じるため、薬物療法やリハビリテーション、心理療法などさまざまな角度から治療が行われます。

原因

慢性疼痛は複合的な要因で痛みが続く病態です。病気などで体に治りにくい要因があって痛みが続くと、痛みを感じ取る神経の活動が活発になることがあるため、刺激がなくなっても痛みを感じたり、痛みを感じないような些細な刺激でも痛みとして捉えたりすることがあります。

慢性疼痛は精神心理的な負荷が強く、強い痛みやそれに伴う身体的な負担・不安が悪循環を形成して、痛みが治りにくい状況に陥る場合もあります。

症状

慢性疼痛の痛みは、焼けるような痛み、持続性に締め付けられるような痛み、重く鈍い痛みなど病態によってさまざまで、天候や環境などによって症状が増悪することもあります。

慢性疼痛は不安やイライラ、恐怖などの精神的な不調が生じやすく、睡眠障害を招くケースも少なくありません。また、痛みを避けようと日常生活動作(ADL)が低下し、身体機能障害などが生じる可能性が高くなるといわれています。

検査・診断

慢性疼痛はさまざまな要因で複雑化されているため、身体的要因を検討するとともに、身体的に目立った異常がなくても多角的な問診と診察のほか、以下のような検査を行います。

画像検査

痛みを引き起こす病気や外傷がないか調べるため、超音波、X線、CT、MRIなどの画像検査を行います。

血液検査

痛みを引き起こす原因がないか調べるため、血液を採取して腫瘍(しゅよう)マーカーなど全身の状態を評価します。

神経伝導検査

皮膚の上から電気で神経を刺激し、末梢神経の伝達などに異常が生じていないかを確認します。

心理検査

精神的な要因が発症や症状の悪化に深く関わっていることが疑われる場合は、心理検査を行うことがあります。

治療

慢性疼痛ははっきりした原因が分からないことが多く、また原因が分かっても治療が難しいケースも多くみられます。

そのため、治療の目標としては活動性や生活の質(QOL)を向上させることが重要です。それぞれの症状や考えられる要因によって、一般的に以下のような治療を組み合わせて行います。

薬物療法

痛みを抑えるため、非ステロイド性抗炎症薬、アセトアミノフェンなどの一般的な痛み止めの服用が検討されます。神経へのダメージによる慢性疼痛にはプレガバリン、ミロガバリン、デュロキセチン塩酸塩、アミトリプチリン塩酸塩などの神経障害性疼痛治療薬が、精神的な要因が関係している慢性疼痛には抗うつ薬などが必要に応じて使用されます。

これらの薬物療法を行っても症状が改善されない場合は、オピオイドなどの医療用麻薬を使用して痛みを抑えることがあります。

神経ブロック注射

薬物療法で効果がない場合や非常に強い痛みがある場合は、痛みを引き起こしていると考えられる神経鞘内に局所麻酔薬を注射して痛みを和らげる治療を行うことがあります。

特に、頸椎(けいつい)や腰椎の神経根障害が原因とされる慢性疼痛に有効とされています。また、最近では薬物の代わりにパルスラジオ波などを用いた神経ブロックも数か月の治療効果があることから保険適用になってきています。

精神療法

慢性疼痛の多くは身体的な原因だけでなく、痛みが続いた結果として精神的・心理的な病態が関与しています。心理療法や認知行動療法などの心理的な側面からの治療が有効な場合もあります。

リハビリテーション

慢性疼痛では活動性の低下が生じて、筋力低下や関節拘縮(かんせつこうしゅく)(関節が硬くなること)などが引き起こされることがあるため、リハビリテーションは有効な治療となります。

また、運動そのものが神経系を介した痛みを緩和することから、最優先されるべき治療法とされています。

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