ちゅうないしょう

肘内障

最終更新日:
2023年07月18日
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2023/07/18
更新しました
2017/04/25
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概要

肘内障(ちゅうないしょう)とはいわゆる“腕が抜ける”“肘が抜ける”という状態を指し、手を引っ張られたときなどに肘の靱帯(じんたい)から橈骨頭(とうこっとう)という外側の骨が外れかかり、腕がうまく動かせなくなってしまうことをいいます。医学的には“肘関節の亜脱臼”ともいいます。特に骨が未発達である5歳以下の子どもに多くみられ、7歳以上になるとほとんどみられなくなります。また左側の肘に多く、女児に起こりやすいことも特徴です。

原因

肘内障の主な原因は、子どもが手を強く引かれたり、ひねったり、不自然な形で手をついてしまったりすることです。具体的に“保護者や家族などが子どもの手を引っ張った”といった明確な原因がある場合もあれば、原因がよく分からず気が付いたら肘内障が生じている場合もあります。

子どもの肘の骨は未発達で、多くの部分が軟骨です。また従来、肘の骨は“輪状靱帯(りんじょうじんたい)”と呼ばれる靱帯によって固定され動作が制限されていますが、子どものうちは固定力が不十分です。このような状態で子どもの手が強く引っ張られたりひねられたりすると、未発達の骨が靱帯から外れかけてしまうため肘内障が起こると考えられています。

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症状

肘内障が生じると、腕が内側を向いた状態で下に垂れてしまいます。肘を完全に伸ばすことができず、やや曲がった状態になっていることが一般的です。また、肘を動かそうとすると痛みが生じることが多く、発症した子どもは痛がって腕を動かさないことが特徴です。

患者の多くが自分の症状をうまく説明できない小さな子どもであるため、痛みで泣き出したり発症した側の手を使わなくなったり、手を触られることを嫌がったりします。このような異常から、保護者が子どもの異変に気が付くこともあります。

検査・診断

肘内障が疑われる場合、まずは診察を行い、腕を上げられるかどうか、どこが痛いのかなどを確認します。万歳の姿勢をしようとしても肩から上に腕を挙げられない場合、肘内障の可能性が強まります。ただし肩や手首の骨折でも似たような症状がみられるため、診察時に保護者などから症状の経過や発症の原因と思われる出来事があったかどうかも確認します。

骨折や完全な脱臼が生じていないかどうか確認するために、X線検査を行うこともあります。“親と歩いていて腕を引っ張られた”という肘内障の典型的な例で、肘に腫れがなくて骨折の疑いがない場合はX線検査を行う必要はありませんが、それ以外のケースではX線検査を行うのが一般的です。

治療

肘内障は自然に元に戻ることもまれにありますが、多くは治療が必要となります。具体的な治療方法として、肘の骨の位置を正しい位置に戻す“整復(せいふく)”が挙げられます。整復は基本的に麻酔が不要で、その場ですぐに行うことができます。骨の位置を正しく戻すことができれば痛みもなくなり、これまでどおり腕を使うことができます。泣いていた子どもも泣き止むことがほとんどです。整復後も泣き止まないときは、泣き止んで腕を動かし始めるまで様子を見ておくことも大切です。

整復後の注意点

肘内障は7歳以降の子どもにはほとんど起こりません。しかし、それ以前の子どもでは、一度肘内障が起こると再発しやすいことが分かっています。整復後もむやみに手を強く引っ張らないよう、注意しましょう。

また10歳を過ぎても肘内障を繰り返す場合などには、骨や腱などに異常がある可能性もあります。気になる症状があれば、医療機関を受診することを検討しましょう。

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