きょけつせいだいちょうえん

虚血性大腸炎

俗称/その他
虚血性腸炎
最終更新日:
2023年04月20日
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2023/04/20
更新しました
2017/04/25
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概要

虚血性大腸炎とは、なんらかの理由により大腸の血流が悪くなることで、炎症を生じる病気のことです。血流障害によって引き起こされる虚血性腸疾患の中ではもっとも頻度が高い病気で、高齢者、便秘体質の人、女性に多いといわれています。

主な症状は突然の強い腹痛や下痢で、血便がみられる場合もあります。

虚血性大腸炎の要因は血管側と腸管側にあり、それぞれの要因が影響し合うことで発症します。血管側の要因には動脈硬化など、腸管側の要因には便秘などがあります。

特定の原因によって虚血性大腸炎が引き起こされることはあまりなく、複数の要因が絡み合うことで発症につながると考えられています。

一般的には予後は良好で、安静を心がけることで回復しますが、重症の場合は手術が必要になったり、大腸が狭くなる後遺症が残ったりすることもあります。

原因

虚血性大腸炎の原因は大腸への血流が滞ることです。

大腸の血流障害が起こる要因は大きく分けて、血管側と腸管側にあります。どちらか一方のみが原因で虚血性大腸炎の発症につながることはあまりなく、それぞれが影響し合って発症すると考えられています。

血管側の要因

代表的なものは動脈硬化で、高血圧症糖尿病脂質異常症などの生活習慣病がある場合にリスクが高くなります。
このほかに、脱水による血流低下や、血液が固まりやすくなる病気が原因になることもあります。

腸管側の要因

代表的なものは便秘で、排便時に強くいきむことで大腸の血流が悪くなることがあります。
そのほかにも、浣腸によって大腸内の圧力が高くなったり、過敏性大腸炎患者のように腸管蠕動(ぜんどう)運動が盛んになったりすることが要因になることがあります。

症状

虚血性大腸炎の主な症状は腹痛です。突然起こることが特徴で、強い痛みであることが多いです。その後、症状が進むにつれて下痢や血便が生じるようになります。

虚血性大腸炎は大腸の左側の部位(下行結腸やS状結腸)に発生することが多いため、左側の腹部に痛みを感じることが多いです。

強い痛みにより、吐き気や冷や汗などがみられることもあります。

検査・診断

虚血性大腸炎の検査では、主に腹部CT検査や腹部超音波検査などの画像検査が行われます。

虚血性大腸炎では虚血状態(血流が滞っている状態)にある腸管にむくみがみられることが特徴です。このような所見は、画像検査や大腸カメラ(内視鏡検査)で確かめることができます。

また、血液検査では炎症を示す数値の上昇を認めることができ、炎症の程度を判断する際に役立つことがあります。

治療

虚血性大腸炎は一般的に予後良好で、症状が強くない場合は食事の工夫によって腸管を安静にすることで回復します。

症状が強くない場合は、絶食する必要があるため、入院して点滴治療を行います。絶食は腹痛や血便などの症状が落ち着くまで続け、その後は軟らかいものから少しずつ食事を再開します。

重症の場合は、大腸の一部が狭くなる後遺症(狭窄(きょうさく))がみられることもありますが、頻度は高くありません。狭窄が起こってもほとんどの場合は機能に支障をきたすことはなく、特別な治療が必要になることは多くありません。

また、大量の出血や腸管の穿孔(せんこう)(穴が開くこと)、大腸の壊死(えし)などの重い症状がみられる場合は手術が必要になることもあります。

予防

虚血性大腸炎は、動脈硬化や便秘などの要因によって引き起こされることが知られています。動脈硬化のリスクとなる生活習慣病糖尿病高血圧症脂質異常症)の予防や治療に努めるとともに、水分や食事の内容、運動習慣に留意し、便秘をしないような生活習慣を送ることが大切です。

虚血性大腸炎は再発しやすい病気であることが知られているため、虚血性大腸炎の治療を受けた人は特に便秘や生活習慣病に注意し、再発を予防するようにしましょう。

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