せきついそんしょう

脊椎損傷

最終更新日:
2018年09月05日
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2018/09/05
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概要

脊椎損傷とは、交通事故や転落、スポーツなどにより強い外力が加わることで脊椎が骨折脱臼などの損傷を受ける外傷のことです。

脊椎は、いわゆる背骨を構成する骨であり、7個の頚椎(けいつい)、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨がそれぞれクッションの役目をする椎間板を挟んで連なった状態で縦に並んでいます。

体を支え、直立二足歩行に適した形状をしていますが、脊椎には脊柱管という管状の構造があり、その中を脊髄(せきずい)が通り、脊柱管の穴からさまざまな神経が全身に分岐しています。

受傷のきっかけや症状などはどの部位の脊椎が損傷されたのかによって大きく異なりますが、脊椎の損傷によって脊髄や神経に障害が加わると、呼吸障害や手足の麻痺などの重篤な症状を引き起こすこともあります。

原因

脊椎に垂直性圧迫、過度な屈曲、回旋(かいせん)、伸展などの外力が生じることが原因です。受傷のきっかけは、交通事故や転落などの高エネルギー外傷、ラグビーやアメリカンフットボールなどの激しいコンタクトスポーツなどが挙げられます。脊椎は硬く、太い構造をしているため、非常に強い外力が働いたときに発症します。

しかし、骨粗しょう症を発症している場合や、脊椎にがんの転移が生じている場合には、強い外力が働かなくても転倒などの軽度な外力のみで脊椎骨折を生じることもあります。

また、関節リウマチが原因となって上位頚椎が亜脱臼を生じることもあり、原因は多岐に渡ります。

症状

脊椎には脊髄やそこから分岐する多くの神経が通っているため、損傷を受けると脊髄や神経にもダメージが加わり、種々の神経症状を生じることがあります。

損傷部位の症状としては、強い痛みが生じ、体を支える役目を果たす脊椎の機能が破綻して、立位や座位の維持が困難になることもあります。

また、損傷部に斜頸や腰曲がりなどの外見からも判別できるような大きな変形が生じることもまれではありません。

一方、脊髄にダメージが加わるケースでは、損傷部位によってさまざまな神経症状が現れます。特に上位頚椎の損傷では、呼吸筋を司る神経が障害され、呼吸困難が生じるため注意が必要です。頚椎の損傷では、手足に大きな麻痺や痺れを生じたり、膀胱直腸障害を生じたりすることもあります。

また、胸椎や腰椎の損傷では膀胱直腸障害や下肢の強いしびれ・痛み・麻痺などを生じることもありますが、胸椎の損傷ではさらに腸管の運動が障害されて腸閉塞を生じることもあります。

脊髄に大きなダメージがある場合にはショック状態となり、低血圧・頻脈といったバイタルサインの乱れも生じることがあります。

また高エネルギー外傷が原因で脊椎損傷を生じるような外傷では、他部位の骨折や血気胸、血管損傷、臓器損傷などを生じていることがあるため、全身の検査が必要となります。

検査・診断

脊椎の骨折脱臼の有無を評価するだけでなく、脊髄への損傷の程度も検査する必要があります。

また多くの場合、他部位の損傷も併発している可能性が高いため、脊椎損傷に対する検査と同時に全身の検査も行われます。

レントゲン検査

脊椎の骨折や脱臼だけでなく、他部位の骨折や血気胸などを観察することができます。簡便に行える検査であり、第一に行われることが多いでしょう。

CT検査

脊椎損傷が疑われるような外傷の場合には、頭部から骨盤までの撮影を一気に行い、頭蓋内病変や血気胸、腹部内臓損傷などの有無を評価します。また、脊椎損傷もレントゲン検査より詳しく観察することが可能です。

MRI検査

脊髄や神経への損傷を観察することができ、何らかの神経症状がある場合には必須の検査です。また、脊椎周囲の腫れや血腫などの把握にも有用です。

治療

脊椎損傷は、損傷部位や損傷の仕方、程度によって治療法は異なります。軽症の場合、基本的にはギプスや特殊な装具を装着することによって骨を固定し、時間をかけて安静を保てば回復します。

しかし、偏位が大きい場合や高度に脊髄を圧迫しているような場合には、手術によって損傷部位を整復し、脊髄や神経への圧迫を解除する治療が必要です。

また、腰椎の圧迫骨折などでは骨折部位が変形して癒合したり、骨折部位が治らずに偽関節となったりすることがあり、その後に周辺の脊髄や神経を圧迫して痛みや痺れ、麻痺などの症状が引き起こされることもあります。このような場合にも手術が行われることがあります。

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